▼作りやすく失敗しない法人カード2選▼
>>もっといろいろな種類の法人カードを知りたい方はこちらをクリック
犯罪収益移転防止法とは?
犯罪収益移転防止法の世紀式名称は「犯罪による収益の移転防止に関する法律」と言います。
名前のとおり犯罪による収益の移転を防止するために作られた法律です。
通称名の「ゲートキーパー法」と呼ばれることもあり、ゲート(門)をキープ(守る)するという意味からこの通称名は来ています。
法律では非常に難しい文章で目的が説明されていますが、簡単に説明すると「指定された書類で本人確認される」というだけです。
犯罪移転防止法はカード会社や銀行など「特定事業者」の義務となっています。
特定事業者はサービス利用者に対して本人確認を確実に行わなければなりません。
この法律は、犯罪による収益が組織的な犯罪を助長するために使用されるとともに、これが移転して事業活動に用いられることにより健全な経済活動に重大な悪影響を与えるものであること、及び犯罪による収益の移転が没収、追徴その他の手続によりこれを剝奪し、又は犯罪による被害の回復に充てることを困難にするものであることから、犯罪による収益の移転を防止すること(以下「犯罪による収益の移転防止」という。)が極めて重要であることに鑑み、特定事業者による顧客等の本人特定事項(第四条第一項第一号に規定する本人特定事項をいう。
第三条第一項において同じ。)等の確認、取引記録等の保存、疑わしい取引の届出等の措置を講ずることにより、組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律(平成十一年法律第百三十六号。以下「組織的犯罪処罰法」という。)及び国際的な協力の下に規制薬物に係る不正行為を助長する行為等の防止を図るための麻薬及び向精神薬取締法等の特例等に関する法律(平成三年法律第九十四号。以下「麻薬特例法」という。)による措置と相まって、犯罪による収益の移転防止を図り、併せてテロリズムに対する資金供与の防止に関する国際条約等の的確な実施を確保し、もって国民生活の安全と平穏を確保するとともに、経済活動の健全な発展に寄与することを目的とする。
概要
※クリック(タップ)で拡大できます。
上記画像は警察庁刑事局 組織犯罪対策部の資料です。
資料の内容をまとめると、「マネーロンダリング(資金洗浄)防止のために特定事業者はしっかり義務を果たそう」となります。
マネーロンダリングは収益の出所を解明するのが困難です。
これを放置すると犯罪組織の拡大や強化に繋がってしまいます。
そのため、あらかじめ「犯罪による収益の移転を防ぐことが何よりも重要」というわけです。
法律制定の流れ
※クリック(タップ)で拡大できます。
犯罪移転防止法は2007年(平成19年)に成立し、その後、何回かの改正を経て現在の内容に至っています。
※利用者側が法改正を事前に調べる必要はとくにありません。
そのため、この法律を熟知しなければならないのは特定事業者です。
懲役や罰金などの罰則も設けられているため、これから特定事業者に該当する事業を行う法人はしっかり把握しておきましょう。
送金は、多くの金融機関どうしがつながって協力しあうネットワークを前提にした業務です。特定の金融機関が、きちんとチェックせず、犯罪者による口座利用を許していることがわかれば、極端な場合、金融機関どうしのネットワークから排除されるかもしれません。
マネーロンダリングに関する規制は、国際的な犯罪やテロの防止のため、世界全体で強化されてきました。本人確認等の手続きは、顧客にとっても金融機関にとっても手間がかかる面倒な事務ですが、「国際社会を守るため」という気持ちで対応していただきたいです。
日本銀行OBとして、地域金融機関のビジネスモデルや組織改革に関する勉強会・連載を行う傍らで、金融を通じて日本の成長を促す「熱い金融マン協会」の主宰を務める。
本人確認書類
本人確認書類に関しては各サービス(特定事業者)のもとで、「何の書類を用意すればいいのか?」が説明されています。
サービスごとに若干の違いはありますが、以下のような書類が主に利用できます。
- 運転免許証
- 運転経歴証明書
- 在留カード
- 特別永住者証明書
- 個人番号カード
- 住民基本台帳カード
- 身体障害者手帳
- 精神障害者保健福祉手帳
- 療育手帳
- 戦傷病者手帳
- その他、写真あり証明書
サービス利用者にとって犯罪収益移転防止法は「申し込みや契約に向けて用意すべき書類はどれか?」が一番重要なポイントです。
対象サービスの利用前には必ず利用できる本人確認書類を用意しましょう。
運転免許証がある方は、免許証を持っていくのが無難です。
※顔写真入りの書類がない方は必要書類が複雑になるため注意が必要です。
実質的支配者とは?
犯罪収益移転防止法では、あわせて「実質的支配者の確認」も行われます。
実質的支配者とはそのままの意味で、「実質的に法人を支配している人」を指します。
実質的支配者の確認方法
※クリック(タップ)で拡大できます。
資本多数決法人の場合、「議決権50%超の人」→「議決権25%超の人」→「支配的な影響力が認められている人」→「法人代表者」という順番で実質的支配者を探せます。
資本多数決法人でない場合、「収益総額50%超の人」→「収益総額25%超の人」→「支配的な影響力が認められている人」→「法人代表者」の順です。
重要な確認項目のため、もし自分だけの判断では正しいか不安な場合は、上司やさらにその上の上司に聞くなどして、正しい回答ができるようにしてください。
そのため、「議決権50%超を保有する人」とか「収益総額25%超えを保有する人」など、確認方法の内容を事前に熟知する必要はありません。
例:三井住友カードの場合
犯罪収益移転防止法は、特定事業者のもとで「どのように説明されるのか?」を三井住友カードを例に見てみましょう。
2016年に施行された犯罪収益移転防止法改正についても、しっかり説明されています。
犯罪収益移転防止法改正に伴う対応について
2016年10月1日(土)施行の「犯罪による収益の移転防止に関する法律」の改正に伴い、クレジットカードのご入会時のお手続きやお借り入れの申し込み時に、「本人確認書類のご提出」や「ご職業」や「取引を行う目的」について確認させていただく「取引時確認」のルールが一部変更となりました。
顔写真のない本人確認書類の取扱い
※クリック(タップ)で拡大できます。
改正によって健康保険証などの顔写真がない書類を使う場合に別の書類が必要となりました。
顔写真がない書類では、「他の本人確認書類(顔写真なし)を2点提示」や「住所補完書類(電気料金の領収書など)を2点提示」が必要です。
基本的に顔写真のある「運転免許証」・「個人番号カード」などを利用した方がスムーズに取引を進められるはずです。
※マイナンバーを取得していない人はまだ多くいますが、顔写真付きの本人確認書類としての使い方もあることを考慮してみるといいですね。
外国の重要な公的地位にあるかたの各種申し込みやサービス利用
※クリック(タップ)で拡大できます。
外国の重要な公的地位についている方には、別途追加の確認などが行われるケースがあります。
該当される方は多くはないと思いますが、気になる方はホームページに確認に加え電話や窓口でも相談してみてください。
▼外国の重要な公的地位にあるかたとは?
※クリック(タップ)で拡大できます。
資本多数決法人の場合
実質的支配者に関しても、説明がなされています。
資本多数決法人の場合、「議決権50%超えを保有する人物がいるかどうか?」からYES or NO方式で答えを探せるようになっています。
資本多数決法人以外の場合
※クリック(タップ)で拡大できます。
資本多数決法人以外の場合も同じです。
議決権の間接保有について
三井住友カードでは、実質的支配者に関して6つの例が紹介されています。
実質的支配者は法人によって状況が大きく異なるため、自社の実質的支配者がわからない場合の参考にしてみるといいですね。
>>具体例についてはこちら(三井住友カード 公式サイト)をクリック
どのような契約の際に必要とされるか?
犯罪収益移転防止法は、特定事業者に課せられた義務です。
- 銀行(金融機関)
- クレジットカード事業者
- ファイナンスリース事業者
- 宅地見物取引事業者
- 宝石貴金属等取扱事業者、など
特定事業者は「銀行」や「クレジットカード事業者」など、該当する事業者がたくさんあります。
身近なサービスでは「買取」があります。
買取は「古物営業法」により本人確認の義務がありますが、同時に「犯罪収益移転防止法」からも本人確認を行う必要があります。
古物営業法は健康保険証など顔写真のないで本人確認できますが、犯罪収益移転防止法改正によって別の書類を提示しなければなりません。
「買取」の場合、顔写真のある運転免許証等ならそれ1つで両方の本人確認ができます。
このように業種によっていろんな法律の義務があることから、事業者にとっては該当する法律を熟知しておくことが大切です。
まとめ
犯罪収益移転防止法は、金融機関を中心にさまざまなサービスに関係のある法律です。
利用者は事業者の指示に従って申し込みを行うだけなので、「何のために本人確認や実質的支配者の確認が行われるのか?」を理解しておけば問題ありません。
法律の内容や言葉は難しいものの、サービス利用者の義務はとても単純です。
手続きの際は書類不備・再提出を避けるためにも落ち着いて対処しましょう。
▼作りやすく失敗しない法人カード2選▼
>>もっといろいろな種類の法人カードを知りたい方はこちらをクリック
日本銀行OBとして、地域金融機関のビジネスモデルや組織改革に関する勉強会・連載を行う傍らで、金融を通じて日本の成長を促す「熱い金融マン協会」の主宰を務める。
コメント