キャッシュレス時代にクレジットカード払いができないお店がある理由とは?
日本政府は、2027年までに日本のキャッシュレス決済比率を40%にまで高めようとしています。
しかし、世の中にはクレジットカードや電子マネーが使えないお店はまだまだ存在します。
それだけでなく、実はクレジットカードよりも「現金払いの方がいいかもしれないシチュエーションもある」ということはご存知でしょうか?
「そんなこと気にしたことなかったな……」という方も意外と多いかもしれません。
消費者としては便利な方、お得な方に向かっていくのは当然のこと。
ここでは、一呼吸おいて、カードや電子マネーが使えないお店・現金払いが望ましいシーンをご紹介させていただきます。
なぜ「キャッシュレス決済よりも現金が望ましいシーン」があるのでしょうか?
※本記事はあくまで筆者の意見であり、消費者全体を代表したものではないことをご理解ください。
実はクレジットカード払いより現金が好まれるかもしれない:小さなお寿司屋さんや個人経営店
意外と知られていないのですが、お寿司屋さんや個人店ではたとえクレジットカードが利用できるお店であっても現金払いが喜ばれることもあります。
- せっかくクレジットカードが使えるのになんで?
- ポイントたくさん貯めたいよ!
という方も多いでしょう。
一般的にはクレジットカードを使えるようにすると、お店には高額な商品を買ってもらいやすくなるメリットが生まれます。
このメリットを捨ててまで、あえて現金払いにこだわるのはなぜでしょうか?
実は、クレジットカードを利用すると「お店側に手数料の負担」がかかっています。
そのため、大手企業やチェーン店が運営していない個人店などでは、現金で支払ってもらった方が実は喜ばれる可能性があります。
クレジットカードや電子マネーをかたくなに導入しない店舗は、「手数料負担を気にしている」というケースが非常に多いです。
クレジットカードで支払うとお店側はどうなるの?
では、クレジットカードでの支払いはお店側にどのような負担をかけることになるのでしょうか。
大きく分けて次の2つのことが考えられます。
1.手数料がかかる
クレジットカードを利用するとき、カードを使う側は1回払いで支払うと手数料はかかりませんよね。
当たり前のこと過ぎて考えたことが無い方も多かったと思いますが、手数料がかからないのはクレジットカード会社的にはどうなのでしょうか。
もちろん、クレジットカード会社もボランティアではありませんので、何かしらの方法で収益を上げないといけません。
そこで、クレジットカード会社はカード会員からではなく、お店から手数料を取ることにしています。
クレジットカードを使うと、お店側がカード会社に手数料を負担しなくてはいけません。
2.入金サイクルが遅れる
クレジットカードで支払うと現金のやり取りがありませんよね。
そこがクレジットカードの魅力ではあるのですが、実はそれが店側の負担になることがあります。
なぜかというと、お店は仕入れなどで先に現金を使っているのに、クレジットカードで決済がされると入金が後日以降になります。
すると入金タイミングにタイムラグが生まれ、「仕入れで現金を使ったけど、入金はしばらく先」という事態が発生します。
これでは、ある程度の蓄えや余力がないと店側の手持ちの現金がピンチになってしまいますよね。
そうなると、次の仕入れができず、経営自体も困難になり、最悪のケースではお店が潰れるということにもなりかねません。
そのため、大手チェーンと比べて体力の少ない個人店は現金での決済が好まれる傾向にあります。
お店によってはクレジットカード払いを断られることも・・・
飲食店によっては、クレジットカードでの支払いを断られる店舗もあります。
- クレジットカードが使えるお店だと書いている
- クレジット会社のステッカーが貼ってある
カードが使えると書いていても「当店はお昼はクレジットカードが使えないんです」と言われてしまった、なんてことがあります。
たとえば、夜は高級な店であっても、ランチは安くしていることが一般的です。
これには安いランチでお店を体験してもらい、メインの夜営業で利用してもらいたいという意図があります。
店側は、ただでさえ利益率が低いランチにあまりコストをかけたくないはずです。
このようなコスト面から、ランチ時にクレジットカードの利用を嫌がるのでは?と考えられます。
お昼はあくまで夜にお客さんを呼び込むための広告のようなものであるということですね。
※カード会社の規約では、クレジットカードは使用できるにもかかわらず他の支払い方法を促すことは基本的に禁止されています。
カード払いにすることで追加で手数料を取れることもある
クレジットカードでの支払いを断られなくても、7%や10%などの手数料またはサービス料を取られる可能性もあります。
このような上乗せ徴収をするのも、お店側がカード会社に納める手数料を気にしているからです。
支払う手数料は業種やカードブランドにより異なりますが、約3%~7%程度を手数料としてカード会社に支払っています。
減ってしまう利益をカバーしようと、苦肉の策としてサービス料として上乗せしているお店は少なくありません。
この場合、結局多く払うのは私たち利用客ですし、クレジットカードで支払うより現金で支払った方が良い気がしてきますよね。
※カード会社の規約では、クレジットカードの支払いに手数料を上乗せするのは認められていません。
クレジットカード払いを断られた時の体験談
▼ランチタイムだとキャッシュレス決済が使えないケース意外と多くあります
今日行った飲食店
「ランチは現金のみです」って言われた。
レジには、PayPayとクレカのマークあるのに…
これは…違反……?— サリー@自分のペースでポイ活楽しんでます (@V9f0I5B4MZ6AzrG) November 28, 2024
ランチで通ってる居酒屋、昼間は現金のみだったんだけど、値上げ後にクレカとかの決済もOKになった。
こういうのでいいと思う。— どら (@dokerail) November 5, 2024
ちなみに、仮に手数料を上乗せさせられたとしても、その件をカード会社に連絡すれば適切に対応(手数料分の返還)してもらえます。
とはいえ、お気に入りの店では申し訳なくて言えないケースもありますし、カード会社に電話する時間も余分にかかってしまうので迷いますよね。
クレジットカード会社の規約を確認してみよう
第11条 (加盟店の義務、禁止行為等)
2.加盟店は、有効なカードを提示した会員に対し信用販売を拒絶し、または現金払いや他社の発行するクレジットカードその他の決済手段の利用を求めてはならないものとします。
また、加盟店は、会員に対し、現金払いその他の決済手段を利用する顧客と異なる金額を請求したり、カードの取扱いに本規約に定める以外の制限を設ける等、会員に不利となる差別的取扱いを行わないものとします。
引用:JCB加盟店規約の全文
上記はJCBの規約です。
簡単に表現すると「カード払いを拒否して他の支払い方法を求めてはダメですよ」・「カード払いに上乗せ手数料をかけてはダメですよ」と書いています。
厳密には規約違反ではありますが、お気に入りの店や財布に現金があるときは、現金払いをしてお店に協力するのもいいかと思います。
特にお寿司屋さんではカード払いより現金が好まれる!?
個人店ではクレジットカードよりも現金決済が好まれる理由がなんとなくご理解いただけたかと思います。
これがお寿司屋さんだと特に顕著になります。
なぜか?
お寿司屋さんが仕入れるものはほとんどが鮮魚ですよね。
つまり仕入れから販売までのサイクルが他の飲食店にくらべても特に短く、在庫としても保存がきかないわけです。
早く売り上げの入金がないと現金がすぐに底を尽いてしまうので、すぐに現金が手に入らないカード決済はまさに死活問題というわけです。
経営に影響する、無視できない問題です。
大手の回転寿司チェーンであってもクレジットカードが利用できないお店が多かったりするのはこのためです。
お店によってはカードが使える場所でも現金で払ったりするのがちょっとした配慮なのかもしれませんね。
▼個人店では現金払いをするように意識している人や手数料の負担を考えている人もいます
たまに行く個人飲食店がペイペイ決済を始めた。いいお店なのでペイペイ手数料分もお店に渡すべく現金払いにするか
— misopan (@misopanda) December 13, 2024
個人店では意識して現金払いにしている人もいますね。
こういう心遣いも大人な対応でスマートです。
まとめ:カード払いができなくても大人の対応を
クレジットカードが使えても、あえて現金で支払うことが推奨されるシチュエーションについてご理解いただけましたでしょうか。
クレジットカードを利用すると、お店側はカード会社に手数料を支払うことになります。
しかも現金の入金タイミングが遅れるので、個人店ではそのことが経営を圧迫する可能性すらあります。
もちろんカードが使えるお店でカードを使うのは決して悪いことではありません。
ですが、個人店では現金払いにするとお店の負担軽減につながることをぜひ覚えておいてください。
理想としては、個人店ではあえて現金で支払うことで、お店への感謝とリスペクトを伝えていると考えられる素敵な大人を目指したいですね。
これからはお店側の背景も考慮した支払い方法を選択するようにしてみてはいかがでしょうか。
※※筆者あとがき※※
考えすぎるのもよくないですが、筆者には絶対的に好きなお店・何年先も通いたいお店がいくつかあります。
そういうお店では、応援の気持ちを込めて…
こんなちょっとした工夫をしています。
自分の大切な「居場所」なので、潰れてほしくないですからね。
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