クレジットカード誕生の歴史、カード会社設立や日本での普及はどのように進んだのか?【お勉強記事・書籍も】

※本記事はプロモーションを含みます。

クレジットカード誕生の歴史、カード会社設立や日本での普及はどのように進んだのか?

ここではクレジットカードの歴史についてご紹介します。

 

※記事の最後で参考文献・書籍も紹介しています。
大学の授業等で必要な方はこちらの文献等も参考にしてみてください。

クレジットカードのような「あと払い」の仕組みは昔からあった

クレジットカードに近い仕組みとして、昔から「ツケ払い」が存在していました。

古くは江戸時代の文学『東海道中膝栗毛』にもツケ払いを表すシーンが登場しています。

顔なじみのお店で、その都度会計をするのではなく、あとでまとめて支払う方法です。

ツケ払いは、その人個人をお店の人がよく知っている(=信用できる人かどうかがわかる)から成り立っています。

よって、あと払いという観点ではクレジットカードと同じでも、ツケ払いは顔なじみの店でしかできず、急に行ったはじめてのお店ではできません。

はじめてのお客さんを店主は信用できる人かどうか判断できないからです。

この信用を「審査」で担保しているのがクレジットカードだと言えますね。

ポイント!

クレジットカードが持ち主の信用力を担保してくれるので、カードユーザーはどこでもカード払い(あと払い)をすることができます。

最初の純粋なクレジットカードの会社と言えば…

クレジットカードの発祥であるダイナースクラブ

純粋なクレジットカード会社の歴史としては、「ダイナースクラブ」が最も古いと言えそうです。

1950年代(第二次世界大戦が終わり、朝鮮戦争が終わった頃)にアメリカのダイナースクラブが設立されました。

きっかけは、ニューヨークのレストランでのこと。

食事を終えたマクナマラは財布を忘れてきたことに気づき、あわてて郊外の自宅に電話、夫人に現金を届けてもらいました。

なんとか支払いは済ませたものの財布の到着を待っているのはかなり気まずいものでした。

そこで彼は友人のシュナイダーに相談し、二人で1万ドルずつ出し合い、ツケで食事ができるクラブをつくることにしました。

引用:ダイナースクラブの歴史(公式サイト)

ダイナースクラブの公式サイトには上記のストーリーが記されています。

ようは「顔なじみでないお店でもツケ払いができたらいいのにな」という気持ちからダイナースクラブカードは設立されたわけです。

こうして、今のようなどこでも使えるカード作りへの第一歩がスタートしました。

ダイナース神話は実は嘘!?

このようなダイナース創業のいきさつは、ダイナース神話とも呼ばれています。

多くの人がこの話を信じていますが、『アメリカクレジット産業の歴史』という書籍ではこのエピソードを次のように否定しています。

同社の広報係M.シモンズの作り話が新聞報道され神話化したもの

出典:L.マンデル著,根本忠明,荒川隆訳(2000年)『アメリカクレジット産業の歴史』p.285

それだけでなく、この神話はダイナースクラブ創業者の偉大さや本質を正しく伝えられていないと指摘しています。

この書籍の原著者は、ダイナース創始者の一人であるアルフレッド・ブルーミングデールにインタビューをしており、実際の創業の様子を正しく伝えることに努めています。

実際のダイナース創設までの流れ

同著によれば、実際の話し合いもレストランで行われたそうです。

  • アルフレッド・ブルーミングデール:超一流百貨店 創始者の孫
  • フランク・マクナマラ:ブルーミングデールの友人。金融会社の社長
  • ラルフ・スナイダー:弁護士。マクナマラにオフィススペースを提供

この日は、マクナマラが経営している金融会社の問題について話していました。

その話題の中で、新たなビジネスのアイデアが出てきたのです。

それは、すでに流通していた「チャージ・プレート(掛け買い許可証)※1」を参考にした方法でした。

チャージ・プレートとは、持ち主の情報が刻まれている小さな金属片のこと。

プレートを機械に通すと、紙に顧客情報が転記され、掛け買い(ツケ払い)ができる仕組みです。

3人はこのチャージ・プレートこそレストランで使うにふさわしいと考え、早速レストランの経営者に交渉に行きました。

ニューヨークのセールスマンがレストランでツケ払いできるようにしたい、と考えたのです。

経営者は新しいサービス(レストランでのツケ払い)に対して、「7%の手数料を払うことができる※2」と答えアイデアを受け入れました。

(Mandell,1990 根本忠明,荒川隆訳,2000)

レストランでの話し合いや非常連客がツケ払いできるようにする点など、公式サイト掲載のエピソードと同じ部分もありましたね。

完全な嘘というより、話をよりわかりやすくするために、大げさに作り替えたという感じでしょうか(これは本記事筆者の見解です)。

※1:もともとはチャルガ・プレート(charga-plates)という商品名で、これが一般化してチャージ・プレート(charge-plates)となり、現在ではクレジットカードと呼ばれるようになりました。

※2:この7%とはクレジットカード業界の基準値として長らく維持されてきました。この経営者が7%と答えたのは、旅行代理店の手数料(10%)をヒントにしたとのことです。

同時期にアメックスも誕生

クレジットカード誕生においてダイナースに続いたAMEX

さて、ほぼ同時期の1958年にアメリカンエキスプレスも設立されています。

当時からダイナースと同様に富裕層をターゲットとして会員数を増やしてきたようです。

VISAとMastercardの歴史

VISAとMastercard

VISA

VISAは前身である、バンクオブアメリカが1958年に発行した「バンクカード(BankAmericard)」から歴史がはじまります。

バンクカードは初の一般消費者向けのカードであり、現在のクレジットカードに近く、さまざまな商品が購入できました。

ただし、上限額は300ドルと決まっており、カードも紙製と現在のカードとはかなり異なります。

その後、1976年に名称をBankAmericardからVISAに変更し、現在のブランド名となりました。

※全世界で同じ発音ができるようにとこの名前になったとのこと。

Mastercard

Mastercardはもともと1940年代後半から、消費者が地元の商店で現金と同じように使える券を発行するようになったところからはじまりました。

1966年には、この仕組みをより進化させるべく前身会社であるICA(ンターバンク・カード・アソシエーション)が設立され今に至ります。

クレジットの仕組みは昔からあった?日本編

日本では戦前から「月賦販売」(読み:げっぷはんばい)という、商品代金を月々の支払いにする販売スタイルができていました。

19世紀の終わりに、呉服屋の丸善が毎月分割で商品を販売していたのが最初と言われています。

この頃の、割賦や月賦と称されていた支払いシステムをクレジットと呼ぶようになったのです。

そして1960年に入り、従来から月賦販売を行っていた会社がクレジットカード事業に参入しました。

  • 丸井(現在のエポスカード)
  • 丸與(現在のOMCカード)
  • 緑屋(現在のクレディセゾン)
ポイント!

米国ではレストランでの「ツケ払い」がきっかけだったのに対して、日本では、意外にも呉服屋での「分割払い」からスタートしているのは興味深いポイントですね。

銀行系がクレジットカードに参入する1960年代

銀行系クレジットカードの普及

1960年代に入り、呉服屋以外の業種もクレジットカード業界に参入してきました。

いよいよJCBが誕生

国際ブランドJCBの前身は日本信販と三和銀行(三菱UFJ銀行)

ここで登場するのが、三和銀行(現:三菱UFJ銀行)と日本信販(現:三菱UFJニコス)が作った「日本クレジットビューロー」です。

この日本クレジットビューローこそが現在のJCBです!

日本唯一の国際ブランドは1961年に誕生しました。

カードの基本的な仕組みは、発祥地のアメリカを手本にしつつ、日本的な要素を加えてカードの普及を図ったそうです。

▼JCB最初のクレジットカード
JCB最初のクレジットカード

ポイント!

JCBは1968年にクレジットカードの代金を銀行口座から自動引き落としにする制度を導入し、社会に大きな影響を与えました。
※今では当たり前の制度ですね。

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ダイナースクラブカードも日本に進出

アメリカ本国から遅れること10年、1960年にダイナースクラブは日本にやってきました。

現在のJTBと富士銀行(現:みずほ銀行)によってダイナースクラブの日本法人が設立されています。

ここで1960年当時の入会方針を見てみましょう。

【1960年当時のダイナースの入会方針】

  • 収入
  • 生活の安定性
  • 社会的信用の高い方

引用:ダイナースクラブの歴史

今と変わらず当時から富裕層をターゲットにしていることがわかりますね。

ポイント!

プラスチック製のクレジットカードの発行を世界で最初にはじめたのは日本ダイナースクラブです。

クレジットカードの国際化が見える1970年前後

当初日本国内で発行・流通していたクレジットカードは日本国内のみの利用に限定されていました。

今ではカード1枚で日本でも海外でも買い物できることを考えるとずいぶん不便に感じますね。

1967年にJCBとアメックスが提携し海外で1ヶ月だけ使える海外専用カードを発行しました。

以降も何社か海外で使えるカードをだしましたが、それらは「海外専用カード」であり、国内外共通で使えるものではありませんでした。

1980年代、ついに国内外共通カードが誕生!

1978年、日本ダイナースクラブから国内外共通カードが発行されたのを皮切りに、続々と国内外共通カードが誕生します。

とくに住友クレジットとVISAが提携をして生まれた、「住友VISA」カードは、今でも三井住友カードとして有名ですね。

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国際ブランドが定着

住友カードがVISAと提携したように、UCカードなどはMastercardと提携しました。

この頃には、クレジットカードがもはや珍しいものではなくなるとともに、現在の有名ブランドが定着しはじめています。

この変化は、銀行法の改正により、銀行におけるクレジットカード業務が付帯業務として認められるようになったからです。

ポイント!

当初、カード会社はVISAかMastercardの一方のブランドのカードしか発行できない決まりがありましたが、それも後になくなります。

流通系カードの台頭

1980年代は「流通系カード」と呼ばれるクレジットカードが台頭した年でもあります。

現在の西部クレジット(クレディセゾン)、日本クレジットサービス(イオンクレジットサービス)が設立された時代でもあります。

身の回りの商業施設などが続々とクレジットカードの発行に乗り出しました。

1987年には日本国内で発行されるクレジットカードの枚数がはじめて1億枚を突破しました。

ゴールドカードも登場

そしてこの時代に、アメックスがはじめてのゴールドカードを作成しました。

ゴールドカードはアメックスが世界で初めて発行した

もともとアメックスは旅行と娯楽に特化したカードであったからこその更なるハイステイタスなカードという発想になったのでしょうね。

年会費は当時の価格で1万円で、国内外問わず使える仕様でした。

1980年代までくると、今のクレジットカード業界にかなり近づきましたね。

他業種や新商品が開発される2000年代

2000年に入るとバブル崩壊により多くの会社が倒産し合併をしました。

バブル崩壊の影響は銀行にもおよび、3大メガバンクの完成とともに銀行系カード会社も再編が進みました。

現在は、三菱UFJ銀行の「三菱UFJニコス」、三井住友銀行の「三井住友カード」、みずほ銀行の「UCカード」の3社で落ち着きました。

このころからクレジット会社でなく異業種の参入が増えてきました。

2001年にはトヨタファイナンスがクレジットカードを発行したり、ビューカードなどの交通系クレジット会社も台頭しました。

同年はアイフルによる信販大手ライフの買収も話題になりましたね。

2000年代はクレジットカード会社の再編・誕生が相次いだ年代でした。

まとめ:今後もっとクレジットカード・キャッシュレス決済が普及するはず!

クレジットカード・キャッシュレス決済が普及

今後ますます支払方法としてのクレジットカードが一般に普及したり、カードレス・キャッシュレスの手段が増えるでしょう。

さらには新しい業種の会社がクレジットカードを発行し始めることが予測されます。

アメリカに比べて日本はまだまだ現金社会と言われています。

今ではクレジットカードが当たり前になっていますが、今後もっと予想もしないところで使えるようになるでしょう。

一気にキャッシュレス決済は浸透するか!?

消費税10%への歴史的な増税によって一気にキャッシュレスにふれる機会が多くなりました。

店頭でも現金の受け渡しを避け、キャッシュレス決済が推奨されることが増えてきました。

キャッシュレス決済はお店側にとっても、現金管理の手間が省ける(=人件費を削減できる)メリットがあります。

今後もキャッシュレス決済は世界規模で広がっていくものと予想されます。

1枚目クレジットカードにオススメ!三井住友カード(NL)

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情報の出典

  • 日本銀行-第1章 2.決済する理由 ツケ払いというもの
  • Mastercard-ブランドの歴史
  • VISA-Visaの歴史
  • ダイナースクラブの歴史
  • JCB-沿革
  • 三井住友カード-沿革
  • オリコ-クレジットカードの歴史
  • 一般社団法人 日本クレジット協会-クレジットの歩み
  • L.マンデル著,根本忠明,荒川隆訳(2000年)『アメリカクレジット産業の歴史』,日本経済評論社
  • 画像の出典

  • JCB-JCBの歴史

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