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週休3日制(週4日勤務)のメリット・デメリットとは?~様々なモデルの週休3日制の長所と短所も紹介~

[投稿日]2021/06/03 / [最終更新日]2023/08/14

週休3日制(週4日勤務)のメリット・デメリットとは?~様々なモデルの週休3日制の長所と短所も紹介~

政府も「選択的週休3日制」の普及に本腰を入れ始めた!?

2021年4月、本人が希望すれば週に3日を休日にできる「選択的週休3日制」について、自由民主党の一億総活躍推進本部は普及に取り組むよう政府に提言をしました。提言では子育てや介護と仕事の両立や大学院進学などの学び直しの機会創出にもつながるとされています。政府も提言を受け、普及に対して前向きな印象を持っているようですので、「選択的週休3日制」が今後普及していくことが考えられます。

参考:自民党1億活躍本部、週休3日制を議論(産経新聞)

2021年6月、政府は「経済財政運営と改革の基本方針2021」(骨太の方針)を閣議決定し、「選択的週休3日制」について、「育児・介護・ボランティアでの活用、地方兼業での活用などが考えられることから、好事例の収集・提供等により企業における導入を促し、普及を図る」と盛り込みました(経済財政運営と改革の基本方針 2021 )。

参考:「骨太の方針」に選択的週休3日制 休み増3パターン

政府はこれまでにも働き方改革などを進めてきましたが、厚生労働省の「令和2年就労条件調査」では「完全週休2日制より休日日数が実質的に多い制度」は全体のわずか8.3%に過ぎず、週休3日制の普及には程遠い状況となっています。業務の特性によって導入の向き不向きはあると思いますが、政府が予算措置を講じるなど普及に向けて本腰を入れるようになれば、選択的週休3日制の普及は進んでいくのではないでしょうか。

参考:令和2年度就労条件総合調査

週休3日制の導入にあたっては、生産性が向上せず、結果的に残業時間が増加するというような懸念もありますが、アイスランドでの実証実験の結果を見る限りでは、生産性の低下は見られず、職場でのストレス低下など、労働者の健康面でプラスの影響があったようです。

参考:アイスランドで週休3日の実験…生産性の低下は見られず、幸福度が向上

週休3日制には主に4つのモデルがあります!

以前、下記の記事で詳細をまとめましたが、週休3日制には大きく分けて4つのモデルがあります。それぞれのモデルによって従業員や企業のメリット・デメリットは変わってきますので、「選択的週休3日制」の普及を考える際は、まず4つのモデルについて理解しておくと良いでしょう。

このモデルは、1日の労働時間と週休2日制と比較した場合の給与水準という2つの軸を用いて4つのモデルに分類するものです。

モデルに関しては下記の記事をご参照ください。

正社員の週休3日制(週休4日制)の分類と比較~みずほFG・佐川急便・リクルート・ナレッジソサエティの違い~

 

モデルAは1日の労働時間が増加し給与は減少する、モデルBは1日の労働時間が増加し給与水準は維持される、モデルCは1日の労働時間は維持され給与が減少する、モデルDは1日の労働時間は維持され給与水準も維持されるものになります。なお、短時間勤務制度の一環で取り入れられている場合など、このモデルに当てはまらないケースも存在しますが、ほとんどの企業が採用する週休3日制や週休4日制についてはこの分類で整理することができます。

従業員にとっての週休3日制のメリットは自由時間の増加

週休3日制が導入された場合、従業員にとっての大きなメリットは自由時間が増加することでしょう。モデルAやモデルBを採用する企業では週当たりや月当たりの労働時間は維持されることになるので勤務日の自由時間は減ってしまうことにはなりますが、週当たりで休日が1日増えることで自由時間は増加するように感じるのではないでしょうか。

 

趣味に費やせる時間が増加する

週当たりで休日が1日増加すれば趣味に費やせる時間も増加するでしょう。1日の労働時間が増加するモデルAやモデルBの働き方であっても休日数が増えることによって自由時間は増えた感覚になると思います。また、3連休の取得が可能な職場であれば、旅行する際の選択肢もこれまでより拡がることになるでしょう。

正社員として働きながら育児や介護にも対応できる

育児や介護などを理由に正規雇用を断念する人も一定数存在すると聞きますが、週休3日制での勤務が可能になることで、これらに対応しながらも正社員として働き続けることが可能になるケースがあるでしょう。短時間勤務制度との併用で給与が減っても勤務日数を減らしたいというニーズも一定数あると考えられるため、モデルCやモデルDを採用する求人は評価が高いのではないでしょうか。

副業・兼業に充てる時間を確保できる

週休3日制を希望する従業員の中には副業・兼業に積極的な人も多いと考えられます。2021年5月に当社が実施した「副業の実態に関するアンケート」では、副業をしていない人のうち約70%が「副業をしたい」と回答しています。また、副業していない理由について、「会社が副業を許可していない」が約33%、「本業が忙しく時間がない」が約13%となっており、副業をできない理由として本業の勤務先の影響が大きいことがわかっています。

副業の理由は「収入不足を補うため」副業に関するアンケート調査報告【2021年5月度】

現時点で週休3日制を採用している企業については、様々な働き方に対する理解がある企業が多いと感じており、週休3日制を採用している企業で働くことで副業・兼業に充てる時間を確保できるようになるのではないでしょう。現に、当社ナレッジソサエティでは2017年より週休4日制起業家正社員®という人事制度をスタートさせており、将来的な起業を目指す社員を週休4日制で働きながらサポートするという取り組みも行っています。

また、ライフワークバランスの観点から完全週休2日制で残業が少ない求人の人気が高まっているようですが、たとえ定時退社であっても本業を終えて帰宅した後や、週2日の休みだけで十分な時間が確保できるとは考えられません。そのため、副業や兼業に対して理解がある週休3日制や週休4日制を導入する企業で働くことがベストな選択だと感じています。

従業員のデメリットは給与減少のリスクと残業の常態化

週休3日制の導入にあたっては、勤務日数の減少に伴う給与の減少に対する不満や、業務量が変わらないことから実質的には残業や休日出勤が常態化するのではないかという不安の声が出ているようです。まず知っておくべきことはすべての週休3日制で給与が減少するということではないため、モデルBやモデルDを採用する職場では週休2日制の場合と比較して給与が減ることはありません。

また、業務量が変わらないという前提に対しても、週休3日制に適用しようとする過程で効率化が進み、生産性が向上することも考えられます。特に日本は諸外国と比較して労働生産性の低さが指摘されていますので、週休3日制の導入がカンフル剤になる可能性もあるでしょう。

 

給与減少のリスクがある

モデルAは1日の労働時間が増加し給与は減少する、モデルCは1日の労働時間は維持され給与が減少するものになります。自由民主党の一億総活躍推進本部や政府が普及を検討している選択的週休3日制はモデルCが一番近いと考えられており、今後新たに週休3日制を導入する多くの企業ではこのモデルCが普及する可能性が高いです。なお、あくまでも「選択的」という形で導入されるのであれば問題ありませんが、雇用における力関係を背景に実質的な賃下げの制度として導入されてしまうことがないように注視する必要はあるでしょう。

残業・休日出勤が常態化するリスクがある

モデルCやモデルDでは1日の労働時間が変わらずに週休3日になることから、週当たりや月当たりの労働時間は減少することになります。業務量が変わらずに労働時間が減少することになれば、当然当初はこれまでの仕事の処理が追い付かないことが発生します。もちろん週休3日制の導入をきっかけに労働生産性が高まる効果も期待できますが、業種や業態によって時間数の減少をカバーしきれない可能性もあるでしょう。

企業にとって週休3日制は人材確保につながるメリットがある

全体の1割弱の企業しか採用していない現段階では、週休3日制を導入することは「ワークライフバランス」や「多様な働き方」への理解がある職場としてのブランディングにつながります。優秀な新規人材を確保したり、他社への人材流出に歯止めをかけたりという効果があるでしょう。

また、週休3日制の導入によって総人件費を抑制する狙いを持った企業を出てくると思われます。

 

優秀な人材確保につながる

いち早く週休3日制を導入することは「ワークライフバランス」や「多様な働き方」への理解がある職場としてのブランディングにつながります。今後副業や兼業に取り組むことがスタンダードになり、入社した企業に必要以上に依存しない人材が増加することを考えると、むしろ優秀な人材を確保するためには自社の福利厚生を充実することよりも、自社以外で働ける仕組みと時間を提供することが求められることでしょう。そのため、週休3日制がスタンダードになる前に、週休4日制などの雇用形態も準備しておくと良いと考えます。

人材流出に歯止めをかけられる

以前より日本では子育てや介護による離職が問題になっています。特に女性の出産や育児に伴う離職と子育て終了後に働き始める現象は「M字カーブ」として問題視されていました。また、高齢化が今後さらに進むと親の介護に伴い週休2日制のフルタイムでの働き方を継続できない従業員も増加することが予想されます。

企業としても自社で長期間勤めてもらった人材が流出することや、子育てや介護に対応できない旧態依然とした職場だというレッテルを貼られてしまい求職者が減ってしまうことは大きなデメリットになります。そのため、なるべく早い段階で週休3日制の導入でこのような早期離職を防ぐことや他企業から人材流入を期待することができるでしょう。

人件費を削減できる

モデルAやモデルCに関しては1日の労働時間を増加させ、あるいは維持しながら給与の支給額を抑えることができます。残念ながら業務が縮小傾向にある企業では従業員の休日を増やしてでも人件費を抑えたいケースもあるでしょう。そのため、週休3日制を導入することで従業員と確執なく人件費を削減できるというメリットがあるでしょう。

週休3日制の導入で企業はビジネス機会を損失するリスクがある

週休3日制の導入にあたって企業が恐れることの1つが取引先とのコミュニケーション不足によりビジネス上の機会損失を招くことです。週休3日制になることでコミュニケーション機会が減ってしまうことは考えられ、今まで以上に従業員同士でそれをカバーしあう必要が生じるでしょう。

また、人件費の抑制を狙って導入した結果、一時的に残業や休日出勤が増加し、むしろ総人件費が増加するという事態を招く可能性も考えられます。

 

取引先とのコミュニケーション不足によりビジネス機会を損失する

稼働する日数が減少することで既存の取引先とのコミュニケーション機会が減少し、新規顧客の開拓などでも影響があることが想定されます。そのため、社内の従業員同士のコミュニケーションをより活発にしてこれらの事態に対処する必要がありますが、従業員ごとに休日が異なるような環境となればそれもなかなか難しいことでしょう。

週休3日制の導入にあたっては、まず職場のコミュニケーション環境を把握し、現時点の課題や導入後に生じるであろう課題を整理し、社内のコミュニケーションツールを充実させておく必要があるでしょう。

一時的に人件費が増加してしまう可能性もある

1日の労働時間を維持し給与水準も維持されるモデルDでは、これまでと変わらない業務量を毎週1日分減った労働時間で処理しなければなりません。そのため、長期的には業務の効率化が進んで労働生産性が向上するという可能性もありますが、短期的には残業や休日出勤によって残業代などの人件費が高騰してしまうケースもあります。そのため、試験的に週休3日制を導入して課題を探るなどしてから本格的に移行すると良いでしょう。

週休3日制(4つのモデル)の長所と短所を紹介します

最後にナレッジソサエティが独自に提唱する週休3日制の4つのモデルについて、従業員の視点で長所と短所を整理していこうと思います。

 

モデルAは実質的な給与減が大きく感じやすい

1日の労働時間が増加し給与減少するモデルAの長所に関しては休日数が増加することのみと言えるでしょう。

モデルAでは週当たりや月当たりでの総労働時間は変わらないことから、1日の所定労働時間が増加することで残業時間が長くなっても残業代の支給額が抑えられてしまい、実質的な給与が減少してしまいます。この給与減少を大きな負担に感じてしまうことが短所だと言えます。

週休3日制そのものが珍しい時代においては注目されると思いますが、週休3日制が普及していく過程では労働者から選ばれにくい求人になってしまうことが予想されます。

モデルBは本業で無理することなく給与水準を維持できる

1日の労働時間が増加し給与水準が維持されるモデルBの長所に関しては休日数が増加することと、週当たりや月当たりでの総労働時間が確保されるため、これまでの業務量を同じ労働時間で処理し続けることができる点です。ただし、業種や業態によっては週5日の稼働と週4日の稼働で業務に大きな影響が出るケースもあるので注意する必要があるでしょう。

モデルBの短所に関しては1日の労働時間が長くなることです。8時間×5日間勤務の職場の場合、週休3日制に移行すると1日の勤務時間が10時間となります。休憩時間を含めた拘束時間は11時間となるので通勤に時間がかかる人などは負担を大きく感じる可能性があります。

ちなみにナレッジソサエティの週休4日制はモデルBに分類されます。1日の働き方に興味がある方は下記の記事をご覧ください。

モデルCは給与減を受け入れられるかどうかがカギになる

1日の労働時間が維持され給与が減少するモデルCの長所に関しては休日数が増加することと、1日の労働時間が維持されることから時間的なゆとりも生まれることです。このモデルは政府が検討する選択的週休3日制に近いモデルと考えられており、今後普及が見込まれています。親世代の介護で時間が必要になった中高年層や、副業や兼業での収入を見込める若年層を中心に肯定的な意見もあると考えられます。

モデルCの短所に関しては減った労働時間分の給与がそのまま減ってしまうことです。そのため、介護と子育ての両方の負担がのしかかり収入確保も必要な中高年層や、副業や兼業での収入確保を検討していない若年層にとっては受け入れにくい制度だと思います。

モデルDは何もシワ寄せがなければ最も理想的な制度

1日の労働時間が維持され給与水準も維持されるモデルDは問題なく実現されれば労働者にとって最も理想的な制度だと感じます。給与水準が維持されて休日も増えるのであれば、ゆとりある休日を過ごすことが可能でしょう。

しかし、週1日分の労働時間が減ったうえでこれまでの業務量を同じように処理することは大変なことですので、場合によっては平日の残業時間が増えたり、休日出勤で対応しなければならなかったりとなる可能性もあります。

実際、このモデルDに関しては試験的な導入に留まっているケースが多く、それだけ本格的な導入へのハードルが高いと言えると思います。本格的な導入で上手くいっているケースとしては600株式会社の事例がありますが、この企業は創業時から週休3日制を採用しているということもあり、週休2日から週休3日に移行したわけではないので、少し異なるケースと考えておいた方が良いでしょう。

参考:週休3日でエンジニアの最低年収1000万円。600株式会社に聞く「生産性の保ち方」

まとめ

本人が希望すれば週3日を休みにできる「選択的週休3日制」が話題になっていますが、1日の労働時間と週休2日制と比較した場合の給与水準という2つの軸によって、週休3日制は大きく4つのモデルに分類されます。

週休3日制を導入した場合、それぞれのモデルによって少々異なる部分はありますが、従業員には趣味に費やす時間を増やせる、正社員として働きながら育児や介護に対応できる、副業・兼業に充てる時間を確保できるというメリットがあります。一方、企業にも優秀な人材確保につながる、人材流出に歯止めをかけられる、人件費を削減できるというメリットがあります。

ただし、従業員には給与減少や残業や休日出勤が常態化するリスクがあり、企業にも取引先とのコミュニケーション不足によるビジネス機会の損失や一時的な人件費増加のリスクがあります。

現在、週休3日制を導入している企業は少数派ですが、今後導入企業は増加していくでしょう。土曜に昼まで仕事をし日曜が休みとなる、いわゆる半ドンが主流だった時代、週休2日制の普及は想定していなかったことだと思いますが、現在は週休2日制が一般的になっています。今後、週休3日制導入の流れが加速すると、今度は週休4日制が話題になるときもそう遠くはないと感じています。

さて、当社ナレッジソサエティでは、既に週休4日制の正社員制度を導入しています。将来的に起業したいという方を応援する制度となっており、正社員としての最低限の待遇を確保しながら、起業にチャレンジできる環境を整えています。以下のブログで週休4日制の働き方を紹介していますので、興味があったらぜひご覧ください。

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