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副業がスタンダードになる時代が到来?
「働き方」改革によって副業・兼業を容認する企業が増加しているものの、2021年2月に帝国データバンクが実施した調査では容認する企業は全体の2割弱と現時点では少数派であることがわかります。一方、2018年2月に独立行政法人労働政策研究・研修機構が実施した調査では副業・兼業を望む労働者の割合は全体の約4割となっており、まだまだ副業をしたい人の受け皿となり得る企業が少ないことがわかります。ここでは、副業を取り巻く企業や労働者の環境をまとめ、副業と類似の言葉である、複業や兼業の定義を確認していきたいと思います。
「働き方」改革により副業を容認する企業が増加している
2010年代後半から2020年代初頭にかけて、国レベルで副業・兼業を推奨する動きがみられています。2018年1月、厚生労働省は「副業・兼業の促進に関するガイドライン」を策定し、「モデル就業規則」から副業禁止規定を削除しました。また、2020年11月には副業・兼業規定に関する解説を追記し、企業に対して労働者の副業・兼業を認めることを促しています。
帝国データバンクの調査によると、兼業・副業を認めている企業の割合は「モデル就業規則」から副業禁止規定を削除する以前の2017年2月には10.4%でしたが、2021年2月には18.1%まで増加しており、政府の働きかけが副業・兼業の容認に一定の効果をもたらしている印象を受けます。
参考: 新型コロナウイルス感染症に対する企業の意識調査(2021 年 2 月)(株式会社帝国データバンク)
労働者が副業する目的は「収入を増やしたいから」が8割以上
独立行政法人労働政策研究・研修機構が2018年に行った調査では、今後、5 年先を見据えて副業・兼業を「新しくはじめたい」、「機会・時間を増やしたい」と回答したは 37.0%となっており、全体の4割弱の労働者が副業・兼業を希望していることがわかります。
副業する目的(複数回答)については同調査で「収入を増やしたいから」という回答が85.1%と高い割合を示していますが、その他の理由でも「自分が活躍できる場を広げたいから」が53.5%、「様々な分野における人脈を構築したいから」が41.7%、「組織外の知識や技術を積極的に取り込むため(オープン・イノベーションを重視)」が36.6%と、収入以外の理由でも副業を検討している人が一定数存在していることがわかります。
当社ナレッジソサエティでも2021年5月、2401人を対象に「副業に関するアンケート」を実施しています。こちらの調査では、現在「副業をしている」と回答した人が全体の24.2%に上り、副業の目的(単数回答)については「収入の不足を補うため」が57.6%、「趣味と実益を兼ねて」が25.3%、「スキルアップのため」が9.3%、「起業のため」が6.4%と続きました。目的を1つに絞ると、本業の収入を補填するという理由が際立つ結果となったと考えられますが、趣味と実益を兼ねるという形で、自分の好きなことを副業にしている層も一定数存在することがわかりました。
参考①:「多様な働き方の進展と人材マネジメントの在り方に関する調査(企業調査・労働者調査,2018年2月)(独立行政法人労働政策研究・研修機構)」
参考②:副業に関するアンケート調査報告【2021年5月度】(株式会社ナレッジソサエティ)
副業の定義とは?複業・兼業との細かな違い
副業とともに、兼業や複業という言葉も耳にするでしょう。副業と複業はともに「ふくぎょう」という響きですが、漢字が異なることからなんとなく異なる印象を持つことでしょう。ここでは、これらの言葉の定義を簡単にまとめていきたいと思います。
【デジタル大辞泉(出典:小学館)】
副業:本業のかたわらにする仕事。
複業:複数の本業を持つこと。副業のような片手間仕事としてではなく、生業として別の業種を二つ以上兼務すること。
兼業:本業のほかに他の事業・仕事を兼ね行うこと。また、その事業・仕事。「会社勤めと塾の教師を兼業する」
デジタル大辞泉で調べたところ、複業と兼業が似たような概念であることがわかりました。また、「副」業と「複」業の違いは、特定の仕事1つを本業とするか、複数の仕事をそれぞれ本業と捉えるかという部分にあることがわかりました。
また、近年、幅業や伏業と書いて「ふくぎょう」と読む造語も登場しています。幅業は、本業で得た専門性を公共のために生かすため、ボランティア活動やNPO活動などに従事することを指し、伏業は本業の勤務先に伏せて内職やアルバイトなどの仕事を行うことを指すようです。
なお、いずれの言葉も結果的には2つ以上の仕事に関わるという部分では共通点があるため、今回はあまり細かな違いには着目せず、今の仕事とは別に並行して仕事をすることを副業と定義していきたいと思います。
あなたが副業する目的はどれに近い?目的別のタイプ分け
副業の目的については、複数回答式で行った独立行政法人労働政策研究・研修機構の調査(2018年2月)においても、単数回答式で行った当社ナレッジソサエティ(2021年5月)の調査においても、「収入を増やしたい」や「収入の不足を補うため」という回答が一番多いことがわかりました。しかし、双方の調査でも、「自分が活躍できる場を広げたいから」、「様々な分野における人脈を構築したいから」、「組織外の知識や技術を積極的に取り込むため(オープン・イノベーションを重視)」、「趣味と実益を兼ねて」、「スキルアップのため」、「起業のため」というその他の目的でも回答も一定数を占めていました。
ここでは、当社ナレッジソサエティが2021年5月に実施した「副業に関するアンケート」の中で副業の目的として尋ねた4つの項目を参考に、タイプ分類をしていきたいと思います。あなたが副業を望む場合、どの理由が最も近いものか、整理してもらうと良いでしょう。
収入補填型
1つ目のタイプは、本業収入の補填のために行うという「収入補填型」です。収入を増やしたいという理由で副業を希望する人は調査結果からも一番多く存在していますが、本業だけでは生活が難しくダブルワークをせざるを得ないというケースから、隙間時間に少しお小遣いを稼ぎたいケース、将来的な収入源の確保のために今から投資などを始めておきたいというケースなど、「いつまでに」、「どの程度」の収入を得たいのかということでさらに細かく分類することが可能です。今回は本業収入ありきであくまでも副業として行う人、そして収入の確保を最大の目的としている人をこのタイプに分類したいと思います。
趣味追求型
2つ目のタイプは、自分自身がやりたいことを追及するという「趣味追求型」です。自分の好きなことや得意なことを活かしてビジネスを始めるケースは多いと思いますが、どこまでビジネスとして本気で取り組むのかといったところで温度差があると思います。今回はビジネス上の収益も考えるが、あくまでも自分自身がやりたいことを優先する人、そして将来的に起業するなどという独立志向は薄い人をこのタイプに分類したいと思います。
スキルアップ追求型
3つ目のタイプは、外部の知識や技術を学び本業に還元するために行うという「スキルアップ追求型」です。社内での昇給や昇進などを目的にしたり、自分自身のスキルアップを図ったりするなど、あくまでも本業に還元する形で副業を行う人をこのタイプに分類したいと思います。
独立志向型
4つ目のタイプは、将来的な独立に向けた起業準備として行うという「独立志向型」です。本業のスキルを活かしたり、または自分の好きなことや得意なことに取り組んだりと取り組み方はさまざまですが、あくまでも将来的に独立したいという人をこのタイプに分類します。そのため、趣味追求型が収益よりも自分がやりたいことを重視するのに対し、独立志向型はやりたいことよりもビジネスとしてしっかりと生計が立てていけるくらいの収益を確保できるかという点を重視することを特徴にしたいと思います。
副業のおおまかな分類!稼ぎ方によるタイプ分け
先ほど労働者の目的によって、収入補填型、趣味追求型、スキルアップ追求型、独立志向型の4つのタイプに分類しましたが、ここではお金の稼ぎ方によって3つのタイプに分類したいと思います。
時間労働型
1つ目のタイプは、時給や月給という形で、働いた時間に対して報酬が支払われる「時間労働型」です。具体的には、本業が休みの日に別の会社でアルバイトをし、その働いた時間に応じて給与が支払われるというように直接雇用されるケースのほか、ある特定の作業を業務委託等で受注し、稼働した時間に対して報酬が支払われるというケースもあります。
時間単位での働き方は短期的な収入確保を目的とする「収入補填型」と最も相性が良いと言えます。なお、やりたいことがマッチするのであれば「スキルアップ追求型」や「趣味追求型」と相性が合い、開業資金を貯めたいなどの理由で高時給の仕事を選ぶのであれば「独立志向型」とも相性が合うでしょう。
成果報酬型
2つ目のタイプは、働いた時間に関わらず、労働の成果に対して報酬が支払われる「成果報酬型」です。具体的には、記事のライティングやホームページの制作など、依頼された仕事が完成することで報酬が支払われるというケースになります。ライティングはテーマ出しや構成案の作成から参画して報酬を得るケースもあれば、指定されたテーマや構成に沿って執筆をし、字数単価で報酬を得るケースもあります。
近年はクラウドワークスやココナラ、ランサーズといったクラウドソーシングサービスのプラットフォームが成熟したことで、多くの人がウェブ上で自分のスキルを提供することができるようになりました。スキルというと特殊な能力を思い浮かべる人もいるようですが、勤務先で当たり前のように取り組んでいる仕事や趣味程度だが相対的には得意なことなど、ちょっとしたことが仕事につながるケースもあります。ただし、ある程度実績が積むまでは稼働時間に対して収入が割に合わないといったケースもあるでしょう。
成果報酬型の仕事に関しては自分のスキルで稼ぐという側面が強いため、「スキルアップ追求型」、「趣味追求型」、「独立志向型」と相性が合います。仕事内容や報酬額によっては「収入補填型」と相性が良いケースもありますが、案件によっては稼働率が高く時給換算であまり報酬が得られなくなってしまうケースもあるので、収入補填を目的に働く場合は稼働時間と報酬額を強く意識すると良いでしょう。
ビジネスオーナー型
3つ目のタイプは、自分自身がビジネスのオーナーになり稼ぐという「ビジネスオーナー型」です。ビジネスオーナー型は、自らが労働しなくても収入を得られる仕組みを作って稼ぐタイプになります。具体的には、不動産による賃貸収入を得る、Youtubeやブログで広告収入を得るなどの方法があります。不動産を購入するための資金を得たり、Youtubeやブログのコンテンツを制作したりする過程では時間をかけることが必要になりますが、不動産の購入後やYoutubeの収益化後などは自らの時間をかけずに定期収入が得られるメリットがあります。
ビジネスオーナーになるためには、収入源となる資産が必要になります(Youtubeに投稿する動画コンテンツも広い意味での資産と捉えてください)。そのため、短期的な収入補填を目的とする場合はあまりおすすめできませんが、中期的、長期的な視点での収入補填や将来的な独立や開業という視点では検討しても良いと思います。また、Youtubeやブログで自分の好きなことをコンテンツにするのであれば趣味追求型とも相性が良いでしょう。
選択する副業のミスマッチを防ぐ
副業を行う際に大切なことは自分が副業を行う目的を明確にし、ミスマッチを防ぐことです。今すぐに収入を得たいのに自分自身がやりたいことにこだわり過ぎては収入補填という目的が達成できませんし、将来的な独立に向けて準備したいのにその分野に関係ないことで短期的な収入を得てもあまり意味はありません。ここでは、副業をする目的別に、どのような稼ぎ方がマッチするかを見ていきたいと思います。
収入補填型は「いつまでに」、「どの程度」を明確にする
収入補填型のタイプの人が副業を選ぶ際に考えるべきことは、「いつまでに」、「どの程度」の収入を得たいのかという点です。
「時間労働型」は確実に収入を得られるがフルタイム労働者の雇用は敬遠される?
今すぐ収入を補填したいという場合であれば、本業の時間外にアルバイトをするなど、「時間労働型」が最も相性が良いと言えます。ただし、フルタイムで働く労働者の場合、別の会社では雇用が敬遠されてしまう場合があります。なぜなら、1日8時間以上、週40時間以上は法定労働時間を超えてしまい、その分の残業代は後から働き始めた会社が支払う必要があるからです。
例えば、A会社で1日8時間働く労働者が退勤後、B会社で2時間働いた場合、B会社での2時間は法定外労働となるため、B会社は割増賃金を支払わなければなりません。そのため、1日8時間、週40時間で働いている方に関しては、2ヵ所目の就業先を探すことが難しくなることを覚悟したほうが良いでしょう。
上記のほかにも、本業の休日が固定されていなかったり、定時退社が難しかったりする場合は敬遠されてしまう可能性があります。そのため、業務委託などで隙間時間に稼働できる仕事を探したり、Timee(タイミー)などのアプリを活用して単発でアルバイトを探したりする方法がおすすめです。
本業や趣味のスキルが活かせるのであれば「成果報酬型」が稼ぎやすい?
フルタイムで働く方に関しては残業代が発生するため、2ヵ所目で雇用してもらうことが難しいケースが多いです。そのような場合は、本業のスキルを活かしたり、自らが得意なことを活かしたりして業務委託で仕事を受注することをおすすめします。
例えば、ライティングやパワーポイント資料の作成、データ入力などはある程度オフィスワークを経験している方であれば、自分が思っている以上の収入を得られることもあります。クラウドワークスやランサーズ、ココナラなど、クラウドソーシングサイトのプラットフォームが成熟してきていますので、手数料は発生しますが、気軽に取り組みことが可能になると思います。
また、ウェブ制作や動画制作など、趣味でかじった程度でも対応できるような案件もあるため、受注できれば次へのスキルアップも図りながら隙間時間で収入を得ることができるでしょう。
将来的な定期収入を見据えるのであれば「ビジネスオーナー型」がベスト?
数年前に話題となった「老後2,000万円問題」などの影響もあり、老後の収入に対する漠然とした不安を持ち、今の収入は十分でも老後に定期収入を得られる手段を検討している人も多いでしょう
このように長期的な視点での収入補填を検討している人には、不動産投資がおすすめです。「マイホームもないのに投資用の物件を買うなんて…」と思う人もいるかもしれませんが、購入当初は自宅として住んで将来的に賃貸物件にするという選択肢もあります。また、リバースモーゲッジといわれる融資制度を導入する金融機関もあり、老後に自宅を手放すことなく定期収入(厳密には融資)を得ることも可能になります。
また、これまで年功序列型賃金制度の下で定期昇給が見込めていたような大企業においても、給与体系などの見直しによって定期的な昇給が見込めないケースも増えてきているようです。そのため、今すぐにではなくても比較的近いうちに本業以外の定期収入を確保したいが、本業以外に時間を割くことが難しいという状況の人もいるかと思います。そのような方にはシェアリングビジネスや自動販売機やコインロッカーの設置なども選択肢の一つになるでしょう。
趣味追求型は本業に悪影響を与えずに続けられることを最優先にする
趣味追求型のタイプの人が副業を選ぶ際に考えるべきことは、「本業との両立が可能であるか」ということです。自分のやりたいことで副業を始めればよいわけですが、副業による収入をメインで考えないため、本業に悪影響を与えてしまうことを何よりも避けなければなりません。
収入を得る方法よりもやりたいことを明確にする
趣味追求型はあくまでも自分のやりたいことを追求するべきですので、どのような形で収入を得るかということは度外視で考えても基本的は問題ありません。ただし、自分の本業の収入を圧迫するようなコストがかかってしまう場合は今一度本当にやりたいことなのかということを真剣に考える必要があります。
せっかくやるのであれば収益も確保できる手段を考える
収益ばかり考えてやりたいことを追えなくなってしまうことは避けるべきですが、せっかくやりたいことで副業をするのであれば、より収益を得られる方法を検討すると良いでしょう。
例えば、自分の制作した動画コンテンツを多くの人に視聴してもらいたいのであれば、Youtubeに投稿して終わりにせず、TwitterやFacebook、InstagramといったSNSと連携することで、視聴してもらえる機会を増やせるでしょう。
また、アクセサリーやポーチ、カバンなどハンドメイドで作ったものに関しても、実店舗を設けることなくネットショップを開業して販売することが可能です。もちろん自分が売りたくないものは売る必要はありませんが、自分が趣味で作ったものを欲しいと言ってもらえることは嬉しいのではないでしょうか。同じ趣味を持って大切にしてもらえる人に対して限定的に販売するという方法も良いと思います。
スキルアップ追求型は「本業との両立が可能な範囲」で副業を選ぶ
スキルアップ追求型のタイプの人が副業を選ぶ際に考えるべきことは、「高めたいスキルを明確にしておく」はもちろん、「本業との両立が可能であるか」ということです。あくまでも本業に還元するという視点を忘れず、本業にマイナスの影響を与えないような自己管理が大切になってきます。
スキルアップのために始めたのに収入確保が目的とならないように!
スキルアップのために副業を始めた人は、副業に追われてしまい本業が疎かになってしまうことは絶対に避けなければなりません。本業とは別の会社で働いたり、業務委託等で仕事を受注し時間単位で稼働したりすることで得られるスキルもあると思います。
しかし、あくまでスキルアップのために始めたのであれば、副業にのめり込み過ぎて気が付けば収入を追うようになっていたということは避けなければなりません。そのため、時間単位で働く場合は、自分の中で副業に充てる時間の上限を設定するなどして自己管理を徹底しましょう。
スキルアップを図るためには納期に追われない環境づくりを!
本業でライティングやウェブ制作、動画制作などに携わり、これらのスキルアップを図るためには、クラウドワークスやランサーズ、ココナラなどのクラウドソーシングサービスを利用して、個人でスキルを高めていくという方法もあります。職場で担当できる以上の案件をこなすことで自分の成長につながることは間違いないと思いますが、受注する仕事選びと納期に追われない環境づくりは意識する必要があります。
なお、会社の就業規則で同業種での副業が禁止されている場合もありますので、本業のスキルアップが目的なのであれば、トラブルを避けるために副業を始めるにあたって会社側と事前に相談することも重要です。場合によっては勤務する会社から業務委託でスキルアップにつながるような仕事を受注できる可能性もあるでしょう。
独立志向型は将来的な独立にプラスになるかどうかで副業を選ぶ
独立志向型のタイプの人が副業を選ぶ際に考えるべきことは、将来的な独立にとってプラスになるかということです。独立資金を貯めるために本業と並行して長時間アルバイトなどに従事する人もいますが、個人的にはその際のアルバイトに関しても将来的な独立にプラスになるかという視点で吟味する必要があると思っています。
開業資金も大切だが、独立後に仕事を受注できることはもっと大切
独立志向型は将来的な起業、開業のために副業を行うわけですが、起業や開業はゴールではなくあくまでスタートです。開業資金を貯金などの自己資金で確保することも大切ですが、開業時に資金があっても仕事を受注できなければキャッシュはすぐに回らなくなります。そのため、副業に関しては単に開業資金を貯めるためという目的に偏り過ぎず、将来的に起業、開業する分野につながることで行うことをおすすめします。
例えば、飲食店を開業するとなった場合、事業計画をしっかりと立てて融資を受けることができれば開業資金は調達することができます。しかし、自己資金がそれなりにあったとしてもお金と引き換えに開業時に料理のスキルや常連客を獲得することはできません。これは極端な話に聞こえるかもしれませんが、開業資金の貯金だけを目的に高時給の収入源を選ぶのではなく、開業後に顧客をつけるスキルを身につけておくことや、自分を助けてくれる見込み顧客をつけておくことも考えて副業をすることのほうがベターな選択肢と言えるのではないでしょうか。
会社員(サラリーマン)だからこそできることはすべて準備しておく
よく「起業にフライングはない」と言われます。裏を返せば会社員(サラリーマン)の間に起業の準備をどれだけ進めておくことができるかが成功の鍵になるということもできます。例えば、個人事業主になるとクレジットカードは作りにくいと言われていますので、事業に役立つクレジットカードを事前に作成しておくことは独立後にプラスに働きます。また、住宅ローンなども会社員(サラリーマン)のほうが有利に進められますので、自分自身や家族のライフステージに合わせて、住宅や賃貸用の物件などの購入を済ませておくことなども必要になります。思いついたままに起業をすることをすべて否定するわけではありませんが、起業を成功させることはもちろん、自分自身や家族の生活を守るためにも会社員(サラリーマン)時代にある程度の準備をしてから独立することをおすすめします。
副業をするためには正々堂々と副業できる職場選びも重要
「働き方」改革によって副業・兼業を容認する企業が増加しているものの、副業を容認する企業は全体の2割弱という調査結果が出ています。そのため、この記事をご覧いただいている方の多くが今すぐに副業・兼業することが可能ではない環境にいることでしょう。職場に黙って副業・兼業を始めようとしている方もいるかと思いますが、以前執筆した以下の記事において副業は必ず職場にバレるのでコソコソすることはやめるべきと記しています。
会社にバレない(ばれない)で副業はできるのか?~正々堂々と副業できる会社を選ぶという選択~
そもそも、副業すること自体が法的に悪いことでもないにも関わらず、いろいろなことを気にしながら副業しなければならない環境では、本業にも副業にもプラスがないのではないでしょうか。個人的には職場にも認められながら正々堂々と副業に取り組める環境が副業の成果にもつながると考えています。
最後に当社の週休4日制起業家正社員®という求人を紹介し、どのような目的で副業する人材を求めている制度なのかをお伝えできればと思います。
ナレッジソサエティの週休4日制起業家正社員®は独立志向型とマッチする求人になります。そもそも、この人事制度は入社後3年程度を目途に当社での雇用から卒業し、起業して独立していくことを応援するものになっています。起業したいと思っていてもなかなかその一歩が踏み出せない人の多くは、会社員(サラリーマン)としての安定した収入源を断つことへの恐怖心を持っていると考えており、会社員としての一定の収入(月給20万円)を得ながら、週4日の休日を活用して起業にチャレンジできる人事制度を2017年に整備しました。既にこの人事制度を活用して起業された方も複数名います。詳しい働き方に関しては下記の記事をご覧ください。