東京千代田区九段下にあるシェアオフィス、バーチャルオフィス運営会社、
株式会社ナレッジソサエティの水野です。
ナレッジソサエティでは日頃多くの方が入会されるとともに、卒業されていく方もいます。
今回は、ナレッジソサエティを卒業して新たに自社オフィスを構えることになった株式会社ONE FOR ONEの広瀬信一さんと鈴木隆平さんに、起業に至った経緯やシェアオフィスをどのように活用してきたか、などのお話を伺いました。
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広瀬 信一さん
株式会社ONE FOR ONE 代表取締役社長
元保育士。鶴見大学短期大学部保育科に首席入学。
卒業後、2002年に世田谷区役所入所。入所後、保健福祉部保育科(現子ども科)配属、
世田谷区立三軒茶屋保育園の保育士として勤務。
2008年、SEMコンサルティング会社の株式会社ロージー入社、メディア事業部長として広告代理事業に従事。
退社後、2015年1月28日に株式会社ONE FOR ONEを設立、代表取締役社長に就任(現任)。
鈴木 隆平さん
株式会社ONE FOR ONE 執行役員
日本電子専門学校ネットワークセキュリティ科卒業。
その後、不動産管理会社、イベント警備会社、人材派遣会社、WEBコンサルティング会社を経て、株式会社ONE FOR ONEの立ち上げに参画。
広告運用最高責任者兼執行役員(現任)。
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Q.どのような事業をしていますか?
広瀬:主な事業は4つあります。
1つ目がメディア事業です。自分たちでサイトを作り、その広告を運用してクライアントにお客さんを送るというのがメイン事業です。
2つ目はコンサルティング事業です。グーグルやヤフーなどの広告を運用しているクライアントに対して、顧客を獲得するための単価予算をより下げたりといった改善のご提案をしたりしています。
3つ目がASP事業です。アフィリエイトサービスプロバイダーといって、クライアントとメディアを持っているサイト運営者をつなぐシステムを持ち、クライアントからの案件をそのサイトに渡して手数料をいただくというシステムを運用しています。
4つ目はweb制作と企画です。大学のwebサイトなどの運営や管理を行っています。
Q.起業に至った経緯を教えてください
広瀬:もともとは公務員として保育園の先生をやっていました。しかし、公務員として引かれたレールのような所で、60歳までの未来が見えてしまっている部分に当時少し違和感を感じていました。
その後、自分が1人で入って行っても無限の可能性があるインターネットというものにすごく興味をもって、インターネットのベンチャー系の会社に入りました。この会社で広告運用や代理店業、ASP事業などに関わらせていただく中で「インターネットで広告を行っていく」という事に大きな興味を持ち、このあたりから「より自由にやるのであれば、代表として自ら経営していきたい」という思いが強くなっていきました。したがって、この企業で修行をさせていただきながら、タイミングを見計らって独立したというのが起業に至った経緯です。
Q.起業時点から現在に至るまで、どのように会社を成長させていきましたか?
広瀬:一言でいうと、「器を大きくする」ということのような気がします。
とにかく色々と経験し、場数を踏むことで人間としての器が大きくなり、携わっている事業もそれに比例して大きくなっていき、使うお金も少しずつ大きくなっていき…という具合です。人に会って色んな話を聞いたり、本を読んだりセミナーに参加したり、またそれらの知見を生かすためにとにかく色々と試してみたり。こういった経験を通して自らの器を大きくしない限り、成果はついてこないと僕は思っています。
創業当時は毎月使う広告費が50万円くらいでヒーヒー言っていましたが、現在は数千万円を使っていけているので、そういう意味だと成長はできているのかなと思います。
ただ、現状の規模感にはまだまだ満足していません。もっと大きなことをやっていきたいですし、インターネット広告業界の中で私たちの存在感をさらに大きくしていきたいと考えています。
Q.鈴木さんは、起業時から社長の広瀬さんと二人三脚で会社を成長させてきた中でどのような役割を意識しましたか?
鈴木:前職で広瀬と一緒だったときは、言われたことに対して「はい」としか言わない役回りでしたが、起業後は女房のようなスタンスで接しています。広瀬が抜けている部分に対してつっこみを入れたり、ルールを改善していったり。スタッフに何か言う時も、まずは自分から言うように意識しています。「鈴木はうるさいやつだ」という立場を演じるのが会社としてはプラスになるのかなと。立場的には全力で2番手。2番手ではあるんですが、トップにあえて噛みついていく2番手。それが彼にとっては心地良く仕事をする環境に繋がると思っています。
Q.会社の2番手として鈴木さんがバランスをとっていることについて社長の広瀬さんはどう感じていますか?
広瀬:すごく助かっています。僕が積極的にいけないところ、「どうしよう」って思っているところを汲み取って「いや、やってくださいよ」って言ってくれるんです。そう言われたらすぐできるのですが、1度鈴木に背中を押してもらいたいという気持ちがあって。1つの決断をする際に鈴木がトリガーになってくれています。
あと、私からは他のスタッフに対して厳しいことをあまり言わないようにしているのですが、それでも心の中で言いたいと思っていることを鈴木が感じ取ってスタッフに言ってくれます。こういうことを意識的にやってくれているのは非常にありがたいですね。
Q.起業してから現在に至るまで、「失敗した」や「あの時こうしておけばよかった」という点はありますか?今後起業しようと考えている方にとって大きな参考になると思います。
広瀬:正直なところ、これまで失敗したという感覚はあまりありませんでした。
というのも、自分が選んだ行動がベストなはずなので、「ああしておけばよかった…。」というのもないのだと思います。
私たちの中でよく言っているのが、「事実は1つしかないけど、捉え方はたくさんある」ということです。1つの事実をポジティブに捉えるだけで絶対上手くいくというか、次もポジティブに変換できるようになるので、長い目で見たら「失敗したな」ということはないんです。なので、その場では「失敗した」と感じてしまうことがあったとしても、それを失敗とは捉えないでほしい。
また、先の話とは少し変わりますが…
「自分のやりたいこと」だけを先行させて起業するのは危険だと思います。
例えばパスタ屋さんを開きたいと考えた時、求められている立地やその場所に見合った価格帯というものが必ず存在するはずなんです。そういったことを俯瞰して考えずに、「私はこれをやりたい!」だけを先行させて始めるのは、失敗してしまうリスクが高いんじゃないかと思います。
逆に、「求められていること」をまず考えて、それに対して価値を提供していくことができれば、高確率で上手くいくのではないかと思います。
- Q.起業するにあたって働く場所はどのように決めましたか?
広瀬:最初は電源のある有楽町のマクドナルドで2人で作業をしたこともありました。しかしこれではさすがに集中できないと思い、シェアオフィスを検討するようになりました。
まだまだ事業が上手くいくかどうか分からない状態の中では、なるべく固定費をかけずに気軽に利用できるシェアオフィスがいいと考えて、この時点では占有スペースを借りるという考えはありませんでした。
「シェアオフィスを」と決めてからは合計10件ほど見学に行きました。渋谷のシェアオフィスなど色々とリストアップして検討しましたが、ナレッジソサエティのシェアオフィスを訪れた時に、「ここにしよう」と直感で決めてしまいました。
決めた理由として、まず使える住所が「東京都千代田区」という点に惹かれました。もう1つの理由は個人的な決め手ですが、靖国神社の近くにいると「気の良さ」のようなものを感じたためです。現在はナレッジソサエティから自社オフィスに移転しましたが、今も靖国神社の前です。靖国通りを上がって行った所にいるのでこの場所がすごく良いなと感じています。もともと私たちは六本木ヒルズで仕事をしていたのですが、もう少し落ち着いた環境の中で集中して仕事がしたいという思いがありました。ですので「千代田区のシェアオフィス」はそういう意味でも候補に挙げていました。
具体的にナレッジソサエティのシェアオフィスが良いと思った点として、①清潔さ、②明るさ、③イスや机などのオフィス家具の良さ、です。
普段仕事をする場として、これらはすごく大事です。特に③は個人的に大事です。(笑)
鈴木:私は、①駅の近さ、②神保町も近くてご飯屋さんに行きやすい、③スタッフさんの感じが良い、の3点です。
また、当社の顧問として入ってもらっている栗原先生(栗原啓悟氏/中小企業診断士)とはナレッジソサエティを通じて出会いました。起業当初に栗原先生から融資制度について詳しく聞き、「それだったらこうやってこの融資制度を使いなさい」と具体的にアドバイスを受け、実際に300万円の融資を受けてから事業規模やスピード感が大きく変わりました。
現在も栗原先生には様々な相談に乗ってもらっています。新たにスタッフを雇い入れる際の人事に関することや、事業そのものに関することなど、困った時に具体的なアドバイスを受けられるのは私たちにとって非常に心強いです。このような出会いができたというのも、ナレッジソサエティを利用していて良かった点の1つですね。もし、個室のオフィスや、シェアオフィスでもあまり会員間のコミュニケーションが活発ではないところだったら、こういう出会いがなかったかもしれません。
Q.具体的にどのようにナレッジソサエティのオフィスを利用していましたか?
広瀬:私は営業のフロントとして電話のやり取りが多いので、基本的にコラボレーションエリア(電話会議や打ち合わせが可能なワークスペース)で過ごしていました。ただ、1人でがっつり集中してやらなきゃいけない時は、時間を決めて窓際のコラボレーションエリア(私語禁止の集中スペース)を使っていました。
スタッフが増えてからは、説明をしながら仕事を進める必要があったので、コラボレーションエリアにいる時間が増えました。
▼コラボレーションエリア
鈴木:私は基本的にコンセントレーションエリアに1人でいて、必要に応じて呼んでもらって話すというのを繰り返していました。
また、打ち合わせや採用説明会の際には会議室を予約して利用しました。
▼コンセントレーションエリア
広瀬:フリーシート(誰でも利用できるミーティングシート)もたくさん使いました。
「気分を変えて集中して話したい時はフリーシートを使おう」という感覚です。
また、ナレッジソサエティの営業時間は22時までなのですが、会員にとって22時で終わるのは良いことだと私は思います。現在の自社オフィスは使おうと思えば24時間使えてしまいます。ベンチャーとしてガツガツ働く中でも、自分の時間や家族の時間も持つということを考えると、22時で終わるというのはおすすめです。
Q.ナレッジソサエティのシェアオフィスを卒業して自社オフィスを構えられましたが、今後の展望をお聞かせください
広瀬:2025年にはマザーズに上場したいです。上場することのメリットデメリットはあると思いますが、規模として大きくありたいですし、20億、30億といった規模感になった上で、私たちが「上場したくないからしない」と言える状態までは持っていきたいと考えています。
また、「(法人設立から5年となる)2020年までに10億円、社員8~10人」というのを直近の目標にしています。さらに、7年後には20億円で社員も20人ぐらいまでにはしていきたいです。
鈴木:私は、2年後までに自分たちと同じレベルで仕事が出来る仲間がほしいというのが1つの展望です。売上などの数字は全て広瀬に任せていて、私の中では2年後にここにもう1人右腕がいてくれればいいかなと思います。
Q.最後に、これから起業を考えている方へ、先輩としてメッセージをお願いします
広瀬:どの目線から言ってるのってなっちゃうので少し言いづらいですが…
「やりたければやろう」ということはお伝えしたいです。やりたいと思っているのであれば、僕は今すぐやった方が良いと思います。小さいことでもいいので、やり始めた方がいいんじゃないかと。実際に動いていったら、色々なことを考えだして、「次こうしなきゃ、ああしなきゃ」となってくると思うんです。別に最初からお金をもらわなくてもいいと思いますし、企業に勤めている人で、食えなくなってしまうのが心配なら、勤めながらでも、まずは無料でもいいからやればいいと思います。動き出すのが怖ければ、怖くない程度の動きから始めていけばいいんです。私は起業当時「最低限1人で食えればいいや」と思っていました。当時から家族はいましたが、「自分1人で20万円稼げるようになったら起業しよう」ぐらいの気持ちで考えていたんです。そういう自分の中の約束事を達成するための努力を少しずつ重ねて起業していけば、安心なんじゃないかなと思います。
鈴木:私が伝えたいのは「 1人で起業しない方がいいんだろうな」という経験です。私自身、個人でやってきた経験がありますが、個人だとできることがすごく小さくて面白くないと感じました。同じ価値観を持つ仲間がいない孤独というのはかなりつらいというのを前職の社長からも聞いていましたし、私も本当にそうだと思います。仲間がいれば、自分がつらい時に手を差し伸べてくれるし、相手がつらい時には自分が助けられる。こういうバランスが取れるのは大事なことなのかな、と思います。
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二人三脚でスタートし、段階に応じて少しずつ人数を増やしていく中で自社オフィスへ移るという流れで事業を進めてきた広瀬さんと鈴木さんのインタビューでした。
お話を聞いていると、お2人の仕事に対するビジョンや考え方がピタリとハマった、まさに名コンビ!と感じました。
ナレッジソサエティは今後も株式会社ONE FOR ONEの活躍を陰ながら応援していきます。
これから独立起業していこうと考えている方、また既に個人や少数で活動している方は、人数の柔軟性に富んだ”シェアオフィス”という選択肢をぜひ一度考えてみてはいかがでしょうか。
東京都千代田区のシェアオフィス・バーチャルオフィス「ナレッジソサエティ」
この記事の執筆者
ナレッジソサエティ編集部
ナレッジソサエティ編集部
2010年設立の東京都千代田区九段南にある起業家向けバーチャルオフィス「ナレッジソサエティ」です。2010年からバーチャルオフィス・シェアオフィス・レンタルオフィスの専業業者として運営を行っております。バーチャルオフィスのこと、起業家に役立つ情報を配信しています。「こういう情報が知りたい」といったリクエストがあれば編集部までご連絡ください。
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