東京千代田区九段下にあるシェアオフィス・バーチャルオフィス運営会社、
株式会社ナレッジソサエティの水野です。
当社のシェアオフィスは日頃様々な業種の方にご利用していただいております。
今回は、9月をもって当社のシェアオフィスを卒業して自社オフィスを構えることになったDECO・マーケティング株式会社の林 英彦さんに、「独立時のオフィスの選び方や働く環境」などを中心にお話を伺いました。
————————
林 英彦さん
DECO・マーケティング株式会社 代表取締役
Q.現在の仕事内容
主に建設業界を専門にマーケティングのお手伝いをしています。具体的にはweb制作や雑誌広告、ネット広告の出稿や集客のサポートなどを行っています。
独立にあたっての準備
Q.独立にあたってどのような準備をしましたか?
現実的な話として「食っていかなければならない」というのが初めにあると思います。
そのためにまず、約1年間みっちりと時間をかけてお客様とコミュニケーションをとり、関係作りを行ってきました。独立にあたっての準備という面では、とにかくこの部分に時間をかけました。
Q.お客様との関係作りを具体的にどのように行いましたか?
とにかく会うこと。そして自分を信頼してもらうこと。
どの業種にも言えることですが、市場にはいろいろなサービスがあって大なり小なり競合という存在が必ずいます。例えば私たちは広告代理店ですが、“広告の代理店”というサービス自体は他の会社とどうしても被ってしまうんですよね。その中でどのように差別化がなされるかと考えたとき、「人と人とのつながり」しかないと思うんです。これに関しては何にもまして重要な要素だと思って入念に準備してきましたし、今でも変わらず大切に思っていることです。
Q.仕事をする場所はどのように決めましたか?
まず、自宅を仕事場にするというのは考えていなかったです。
また、独立の初期段階では固定費を最小限に抑えないといけないと考えていたので、自社オフィスを最初から持つという選択肢はありませんでした。
そんな中、独立準備の一環でナレッジソサエティ主催の独立起業者向けのセミナーに参加するためにナレッジソサエティのオフィスに行った時、「ここのシェアオフィスにしよう」と決めました。オフィス内の雰囲気が良く、人を呼んで打ち合わせをしたり社員を雇って一緒に仕事をしたりすることを想定したときに、感覚的に「ここにしよう」と即決することができました。
東京都千代田区のビジネスをするためのシェアオフィス「ナレッジソサエティ」
Q.他のシェアオフィスとの比較は行いましたか?
ネット上では他のオフィスもいくつか見ました。
値段だけで比較したらナレッジソサエティよりも安いシェアオフィスはたくさんありましたが、安さにはそれなりの理由もあるのだろうと考えました。
私自身、できるだけ「安いなりにしたくない」「中途半端な仕事はやりたくない」という思いがあります。こういった思いに照らし合わせて考えたとき、安さを売りにしたオフィスは選択肢から外し、実際に足を運んで見に行くこともしませんでした。
シェアオフィスの使い方
Q.具体的にどのようにオフィスを利用してきましたか?
日々の作業は他のスタッフも含めワークスペースで行い、取引先の方などとの打ち合わせの場面では無料の打ち合わせスペースを使うことが多かったです。
また、お客様先に行く機会が基本的には多いのですが、「そっちに行きたい」というお客様もけっこういたので、そういう場合には有料の会議室を予約して利用していました。
▼打ち合わせも可能なワークスペース
▼人数や用途に応じた様々な会議室やセミナールーム
ビジネスシーンに合わせたミーティング・セミナールーム「ナレッジソサエティ」
Q.シェアオフィスやバーチャルオフィスを使っていることをお客様にあまり知られたくないという声もあります
そういう方は、お客様を実際に呼んでみればいいと思います。
「シェアオフィスだけど普段こういう良い環境で仕事をしていますよ」というのを見てもらえれば、来ていただいたお客様からはだいたい「良いですねえ」と言っていただけましたし、シェアオフィスを利用していることに対して否定的な印象を持つ方はいませんでした。
今回自社オフィスへ移転することになりましたが、お客様の中には「僕、実はここ好きだったんです」と言ってくださる方もいます。
小さい会社なんかはだいたい雑居ビルに入ったりすることも多いかと思いますが、そういうところを借りるのであれば、綺麗なシェアオフィスを利用する方がいいのではないかと個人的に思います。
また、シェアオフィスだと横の机には自分と同じように独立して頑張っている人がいるので、モチベーションを保つことができました。皆さん業種は様々ですし具体的なつながりがあるわけではないですが、志は一緒といいますか、気持ちの面での支えになりますね。
Q.同じ業種(広告代理店)で独立していこうと考えている方に対してシェアオフィスはおすすめできますか?
スタート時点ではとても良いと思います。
たとえ小さくてもいきなり専用のオフィスを構えるとなると、内装含めて数百万円くらいかかってきますし…。
ただ、スタッフを雇う段階になってくると、どうしても不都合が出てきてしまうこともあります。例えば、新しく入ってきた人がシェアオフィスのような環境(同じ空間に他社の人が多くいる環境)に馴染めないというリスクもあります。実際に、シェアオフィスという環境が合わなくて辞めてしまったスタッフの方も過去にはいました。これはどの会社であろうが、その会社の環境に合わなければ辞めてしまうものなので仕方がない部分もあるとは思いますが、同じ会社ではない人が横で仕事をしていて、自分の営業の電話がしにくいとか、そういう感覚は人によってあると思います。
したがって、ずっと自分1人でやっていこうと考えているのであればシェアオフィスを使い続けてもいいと思いますし、スタッフを雇ってそれなりの大きさの組織にしたいのであれば、どこかの段階で自社オフィスを構えるなど別の選択肢を用意する必要が出てくるでしょう。
Q.林さんは「いずれ自社オフィスを」と考えていましたか?
入会する時から「3年でシェアオフィスを出よう」という目標のもとでやってきました。
実際にちょうど3年でナレッジソサエティのシェアオフィスを退会して自社オフィスを持てるようになったので、当初の目標を達成して次のステージには上がれたかなと思っています。
今後の展望と独立を目指している方へのメッセージ
Q.今後の展望をお聞かせください
そんなに会社を大きくするつもりはなくて、5人~10人くらいの規模でやっていきたいと思っています。現在2人なので、さらに3人、4人と増えていけば、また次のステップへ行けそうですね。その中で、普通よりもちょっと良い給料体系にしてあげられる会社にできればと考えています。
また、仕事場の環境はとても重要だと思っていて、小さい会社なりにそこはすごく大切にしたいです。仕事場は1日の長い時間を過ごす場所なので、ただ机があって、パソコンがあって…というのではおもしろくありませんよね。働く人たちのために居心地の良さはできるだけ確保したいと考えています。
ビジネス自体については、これだけインターネットというもののプレゼンスが高まる中でもアナログ的な仕事はまだまだ残っていくと思いますし、むしろそこが価値に結び付くのではないのかと考えています。かといってデジタルの側面を疎かにするわけではなく、その両輪を強化していきたいですね。
Q:独立してから現在に至るまで、「失敗した」や「あの時こうしておけばよかった」という点はありますか?今後独立しようと考えている方にとって大きな参考になると思います。
その点で言うと実はないんですよね。
独立する1年前に「いつ独立する」って決めて入念な準備をしたので、独立のタイミングやお金の面についても良かったと振り返っています。
「70%くらいの準備でもいいからまずは動き出すことが重要」という意見もありますが
たしかに、実際に始めてみないとわからないこともあります。
例えば、独立した後に本当にお客様が選んでくれるかどうかなんてわからないじゃないですか。わからないからこそ、私は「お客様とのコミュニケーション」というのが一番大切なことだと思っています。お客様との契約が今日決まったとしても、次回の打ち合わせの約束をしてまた訪ねたりしてお客様との関係性を深くする。こういう過程では無駄も多い。でもそれを無駄と捉えるかどうかですよね。結果的には無駄にはならないと思っているので、つまり失敗があったとも考えません。
そういった知見はスタッフの方にどのように伝えていますか?
「まずはお客様とたくさんコミュニケーションをとるようにしてください」と言います。
簡単に仕事をとれるとは思っていないので、いきなり「売上をいくらあげてほしい」とかそういうことは言わないですし、求めてもいないです。そう簡単にはいかないことはわかっているので。
お金にならなくてもいいので、多くのお客様とコミュニケーションをとっていく。そうした中で、そのうちお客様が悩みを話し始めてくれたりするんですよ。そうなると、お客様は心を打ち明けてくれたわけですから、そこで初めて何もしなくても売れていくんだと、スタッフにはこのように伝えています。ものを売るのではなく、人を売るしかないんですよね。私はそう考えています。
Q.最後に、これから独立を考えている方へ先輩としてアドバイスをお願いします
現実的な話になってしまいますが…お金は持っておいた方がいいです。
あくまで私の知っている中ですが、お金がない状況で始めた人で上手くいっている人はあまりいないです。やはり余裕がないというか、どうしても「売り上げが欲しい!」という感じになってしまうんですよね。それだと相手都合で考えられないじゃないですか。こうやって自分都合で考えだしてしまうと、長続きするのは難しいと思います。
あとは、スタート段階で専用のオフィスを借りたりして無理をしないことだと思います。シェアオフィスなどをうまく利用したりして無駄な費用かからないようにしつつ、次のステップを狙いにいけばいいと思います。
————————
「3年でシェアオフィスを出て自社オフィスへ移る」という目標のもとスタートし、その目標通りに事業を成長させてきた林さんのインタビューでした。
独立にあたって仕事環境をどのように構築していくか悩まれている方、初期段階ではなるべく固定費を抑えて本来かけるべき部分に資金を回したいと考えている方は、ぜひシェアオフィスやバーチャルオフィスを検討していただければと思います。
▼林様の移転後の新しい事務所
働く環境や、お客様が集まることを考えたリゾートテイストなオフィス
ナレッジソサエティは引き続き林英彦さんの活躍を応援していきます。
東京都千代田区のシェアオフィス・バーチャルオフィス「ナレッジソサエティ」
この記事の執筆者
ナレッジソサエティ編集部
ナレッジソサエティ編集部
2010年設立の東京都千代田区九段南にある起業家向けバーチャルオフィス「ナレッジソサエティ」です。2010年からバーチャルオフィス・シェアオフィス・レンタルオフィスの専業業者として運営を行っております。バーチャルオフィスのこと、起業家に役立つ情報を配信しています。「こういう情報が知りたい」といったリクエストがあれば編集部までご連絡ください。
起業のノウハウ
バーチャルオフィス
九段下駅徒歩30秒!?超好立地シェアオフィス「ナレッジソサエティ」
東京のバーチャルオフィス徹底比較(1)ナレッジソサエティ
【満員御礼】公益財団法人まちみらい千代田主催 公的支援機関の制度・助成金・融資活用講座