何歳で起業するのがいいか、と聞かれたときの答えは気が抜けるかもしれませんが「何歳でもいい」です。10代であろうが50代であろうが、重視すべきは年齢ではありません。年齢に付随する「社会的制約」や「環境的制約」が重要です。どういうことか、年代別で詳しく見ていきましょう。
目次
10代で起業する場合のメリット・デメリット
最近は学生起業家など、10代で起業するケースも珍しくなくなってきました。若い世代の豊かな発想とあふれる情熱は、世の中に新しい風を吹かす原動力になっています。
さて、そんな10代で起業する場合のメリット・デメリット、制約ポイントはどんな部分にあるのでしょうか。
【メリット】
・柔軟な発想と機動力でテンポ良くビジネス展開を図れる
・時間に融通が利きやすく、ビジネスに集中できる
・注目を浴びやすく、賛同者を得られればスポンサーを得られる場合も
・失敗してもライフプランを組みなおしやすい
【デメリット】
・未成年のため、保護者の同意が必要になるケースが多い
・学生であれば学業との両立が必須
・社会的信用力は低い
・トラブル時の責任の所在
・資金確保が難しい
メリットを見れば10代の若者らしい強みがあり、勢いに乗れば社会進出も可能です。10代ならではの目線や鋭い切り口は大きな武器と言えます。10代の起業家はメディアからも注目されやすいので、支援を得られるケースもあります。
デメリットでは、未成年がネックになる場合もあります。10代という若さの武器は、ともすれば社会的信用の低さにつながり、ウイークポイントになってしまうのです。
本気で起業していても未成年であることには変わりません。別世代から見ても、社会経験や知識力は発展途上にある場合が多く、対企業間では相手にされないことも珍しくありません。
ビジネスにおける社会的信用力を得るには、10代では難しいというところが現実でしょう。とはいえ、たとえ失敗してもライフプランの組み直しがきくのも10代の利点です。学生であれば学業に勤しむことで、新たな道を切り開くことが可能です。
20代で起業する場合のメリット・デメリット
近年は男女関係なく、20代で起業する人が増えていますが、経済産業省のデータによると、男性よりも女性が起業する傾向にあるようです。
【メリット】
・責任能力を持てるようになる
・理解者、賛同者が増えたり、同年代の仲間が増えやすい
・果敢に挑戦することができ、注目を集めれば投資を受けやすくなる傾向も
・スタートアップ事業後のエグジット(投資資金回収)を行いやすい
【デメリット】
・就職活動や離職などでライフプランに迷うことがある
・兼業の場合はバランスをとるのが難しいこともある
・社会経験が少ないと相手にされない場合もある
・資金確保が難しいこともある
20代で起業するメリットは10代同様、機動力や柔軟な発想、行動力にあります。20代になることで起業に対する理解者や賛同者が増え、自身のビジネス展開に意欲が湧く世代でもあります。勢いがある若い世代のベンチャーは注目を浴びやすく、支援者や協力者が現れることも珍しくないでしょう。
また、20代で始めた事業はエグジットが見えやすい世代でもあります。20代前半でスタートアップし、20代後半でエグジットするというビジネスプランが組みやすいのも強みと言えます。スティーブ・ジョブズ氏は25歳でアップルを上場、堀江貴文氏は27歳の時にライブドアを上場させるなど、20代起業家のロールモデルが多く存在します。
この世代のデメリットは、実はそう大したことはありません。上記にいくつか記載していますが、10代、30代と違って一番のびのびと起業できる世代であるとも思います。
もちろん20代後半までは、社会経験の乏しさや信用力において苦労することは否めませんし、起業時に収入源がないと生活の不安定さはあるでしょう。しかしそれらを差し置いても、20代で起業することはチャレンジそのものが資産になると言っても過言ではないでしょう。
30代で起業する場合のメリット・デメリット
年齢的なことで言えば、30代は20代よりメリットを享受しやすい年代です。社会的制約や環境的制約も薄れ、自分の力を試すには最適のステージでしょう。腰を据えて、じっくりと自身のビジネスに取り組める年代でもあります。
30代で起業する場合のデメリットや、制約ポイントはどんな部分にあるのでしょうか。
【メリット】
・社会人経験やビジネススキルが付いている
・働いていれば資金力が付いている
・自身の領域のスキルが身に付いている
・対企業の信用を得やすい
・協力者の支援を得やすい
・スタートアップ事業後のエグジット(投資資金回収)を行いやすい
【デメリット】
・経済困難になると生活や社会的信用のダメージが大きい
・結婚や出産等、ライフプランに大きく影響する
・ライフプランに影響する出来事があれば、モチベーションを保つことが難しい場合もある
30代は10~20代に比べて社会的信用を確立し、自身の可能性を大いに発揮できる年代です。資金力やある程度の社会的地位を手に入れているので、協力者の支援も受けやすくなるでしょう。30代になれば多くの能力を身に付けている人が増えるため、起業するにも着実に切り開いていけるケースが多いです。
デメリットとしては結婚や出産など、人生の節目となるイベントを迎えライフプランにも大きな変化が出てきます。起業するビジネスがうまくいけば問題ありませんが、収入が偏ってしまうなどのトラブルが家族を巻き込むケースも珍しくありません。
また、子育て世代であれば事業と育児、家庭の両立なども大変に感じる場合があるでしょう。
40代で起業する場合のメリット・デメリット
40代の起業も30代とあまり変わりませんが、身体的に少々しんどくなってくる年代です。若い世代に比べて経験値や社会的地位は圧倒的に有利でしょう。データでも30代の次に40代の起業家が多いです。
【メリット】
・社会的地位が確立されている
・資金力がある
・自身のスキルを発揮しやすい
・対企業の信用を得やすい
・協力者の支援を得やすい
【デメリット】
・転職など働き方や生き方自体を変えにくくなる
・家族の同意が得られない場合がある
・身体的に少々無理がききづらくなる
40代は資金面、経験値面でも若い世代とは比べ物にならない力が蓄えられています。温めてきた計画を十分に発揮できる年代です。
メリットが増える半面、ライフプランに大きく影響するのは30代と同じです。結婚して家族がいる、自分が家計を支えている、子どもが小さいなどさまざまな環境があるでしょう。環境に問題点を感じる場合もあるでしょうが、それらが糧になることもあります。
50代で起業する場合のメリット・デメリット
最後は50代で起業するメリット・デメリットです。50代ともなれば他の年代に比べてかなりの社会経験があり、実績や地位を確立している人が多いです。40代同様、身体的には無理がきかなくなってくる年代ですが、起業家としてはどうでしょうか。
【メリット】
・社会的地位が確立されている
・資金力がある
・対企業の信用を得やすい
・人脈が広がっている
・知識や経験が豊富
【デメリット】
・経験が邪魔をして柔軟な発想や捉え方ができなくなることがある
・介護や自分たちの老後等、ライフプランに大きく影響する
・転職やライフチェンジがしづらくなる
・家族の同意が得られない場合がある
・身体的に少々無理がききづらくなる
50代は起業に必要な知識やノウハウ、人脈等が豊富にそろっている頃です。社会経験も、他の世代よりも豊かです。起業するにも万全の準備を整えられるでしょう。どんなビジネスを展開するにしても、引き出しが多く対応できるのも強みです。
ただ、50代は経験があるがゆえにそれらが邪魔をして、ビジネスの妨げになることもあります。長年積み重ねた社会経験が、柔軟な発想の邪魔をしてしまう可能性もあります。
自身の身体も無理はききづらくなってきますが、親の介護の問題なども出てくる年代です。
それぞれの年代の強みを生かした起業が吉
10~50代で起業するメリット・デメリットを見てきましたが、いずれの年代もそれぞれの強みや弱み、特徴があります。
何歳で起業してもメリット・デメリットはありますし、制約はあります。何歳で起業するかを決めるのは自分次第ですが、どのタイミングで起業するのが自分にとってベストなのかを考えると準備もしやすいと思います。
起業のタイミングやビジネス展開に悩んだら、交流会やシェアオフィス、コワーキングスペースなどに行って起業家たちと話してみるのもおすすめです。
現役コンサルタントがコンサル転職やポストコンサルキャリアについて情報を提供しています。 気になる方はチェックしてみてはいかがでしょうか。
この記事の執筆者
久田敦史
株式会社ナレッジソサエティ 代表取締役
バーチャルオフィス・シェアオフィスを通して1人でも多くの方が起業・独立という夢を実現し、成功させるためのさまざまな支援をしていきたいと考えています。企業を経営していくことはつらい面もありますが、その先にある充実感は自分自身が経営をしていて実感します。その充実感を1人でも多くの方に味わっていただきたいと考えています。
2013年にジョインしたナレッジソサエティでは3年で通期の黒字化を達成。社内制度では週休4日制の正社員制度を導入するなどの常識にとらわれない経営を目指しています。一児のパパ。趣味は100キロウォーキングと下町の酒場めぐり。
【学歴】
筑波大学中退
ゴールデンゲート大学大学院卒業(Master of Accountancy)
【メディア掲載・セミナー登壇事例】
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