本記事では、法人の印鑑証明書について以下の内容を解説しています。
・基本情報
・手続き先
・必要なもの
・取得方法
・よくある質問
法人を運営するにあたって印鑑証明書の提出を求められる機会は多々あります。
印鑑証明書は法務局で取得できますが、取得方法はさまざまです。
それぞれの手続きや特徴を確認して、個々の都合に適した取得方法を選んでください。
法人の印鑑証明書とは
法人の印鑑証明書とは、重要書類等に押印した印鑑が本当に企業の代表印であることを証明するための書類です。
法人運営において、印鑑証明書の提出を求められる主な場面は以下の通りです。
・法人口座の開設
・運営資金の融資
・オフィスの賃貸
・不動産登記
・バーチャルオフィスの契約 など
重要な契約や手続きを行う際に印鑑証明書を添付することで、トラブルの防止や不正のリスクを下げる効果に繋がります。
なお、企業の代表印は法人の設立時に法務局に登録するケースがほとんどです。
そして、必要となった際に請求を行うことで印鑑証明書を発行してもらえます。
法人の印鑑証明書はどこで取れる?
法人の印鑑証明書は全国の法務局(登記所)で取得できます。
法人の管轄に関係なく、最寄りの法務局(登記所)で申請・取得が可能です。
また、法人の印鑑証明書の請求方法は以下の4つです。
・法務局窓口での発行
・法務局の証明書発行請求機での発行
・郵送での発行
・オンラインでの発行
それぞれの請求方法で手続きや取得までの日数、手数料などが異なるため、利便性や個々の都合に合わせて選択しましょう。
なお、最寄りの法務局は以下の参考ページから確認できます。
東京ならびに近郊の法務局・出張所一覧
名称 |
住所 |
最寄り駅 |
証明書請求発行機 |
千代田区九段南1-1-15九段第2合同庁舎 |
各線:九段下駅 |
〇 |
|
港区東麻布2丁目11番11号 |
各線:麻布十番駅 |
〇 |
|
渋谷区宇田川町1番10号(渋谷地方合同庁舎) | 各線:渋谷駅 |
〇 |
|
新宿区北新宿1丁目8番22号 |
各線:大久保駅 |
〇 |
|
豊島区池袋4丁目30番20号(豊島地方合同庁舎) | JR各線:池袋駅 |
〇 |
|
台東区台東1丁目26番2号 |
JR各線:秋葉原駅、御徒町
|
〇 |
|
墨田区菊川一丁目17番13号 |
JR各線:両国駅、錦糸町駅 |
〇 |
|
品川区広町2丁目1番36号(品川区総合庁舎) |
各線:大井町駅 |
〇 |
|
中野区野方1丁目34番1号 |
JR中央線:中野駅 |
〇 |
|
大田区鵜の木2丁目9番15号 | 東急多摩川線:鵜の木駅 |
〇 |
|
世田谷区若林4丁目22番13号 世田谷合同庁舎2階 | 東急世田谷線:松陰神社前駅 |
✕ |
|
杉並区今川2丁目1番3号 |
各線:荻窪駅 |
✕ |
|
練馬区春日町5丁目35番33号 | 都営大江戸線:練馬春日町駅 |
〇 |
|
板橋区板橋1-44-6 |
都営三田線:新板橋駅 |
〇 |
|
北区王子6丁目2番66号 |
各線:王子駅 |
✕ |
|
葛飾区小菅4丁目20番24号 | 東京メトロ千代田線:綾瀬駅 |
✕ |
|
江戸川区中央1丁目16番2号 |
JR線:新小岩駅 |
〇 |
|
町田市森野2丁目28番14号 町田地方合同庁舎 |
各線:町田駅 |
〇 |
|
立川市緑町4-2(立川地方合同庁舎)6階 |
各線:立川駅 |
〇 |
|
西東京市田無町4丁目16番24号 | 西武新宿線:田無駅 |
✕ |
|
府中市新町2丁目44番地 |
各線:府中駅 |
〇 |
|
八王子市南大沢2丁目27番地 フレスコ南大沢10・11階 | 京王相模原線:南大沢駅 |
〇 |
|
さいたま市中央区下落合5丁目12番1号(さいたま第2法務総合庁舎) | JR埼京線:与野本町駅 |
〇 |
|
千葉市中央区中央港1丁目11番3号 |
JR京葉線:千葉みなと駅 |
✕ |
|
横浜市中区北仲通5丁目57番地 横浜第2合同庁舎 |
みなとみらい線:馬車道駅 |
✕ |
法人の印鑑証明書の取得で必要なもの
法人の印鑑証明書の取得で必要なものは、大きく以下の4つです。
・印鑑カード
・印鑑証明書交付申請書
・手数料等
・電子証明書(オンライン請求の場合)
ただし、請求方法によって必要なものが変わります。
ここでは、事前に準備する書類等について解説します。
印鑑カード
印鑑カードとは、印鑑証明書の交付請求を行う際に提示するカードです。
提出により、法務局は印鑑登録した本人と同一人物である旨を判断できます。
印鑑カードは、印鑑登録と同じタイミングで発行するケースが一般的です。
もし印鑑カードを持っていない場合は、印鑑証明書の発行の前に取得を行いましょう。
印鑑カードの取得手順は大きく以下の通りです。
1.印鑑届出書の提出(印鑑登録)
2.印鑑カード交付申請書の提出
窓口での申請はもちろん、郵送での申請手続きも可能です。
ただし郵送で請求する場合は、一度印鑑カードを受け取ってからでないと印鑑証明書の請求手続きは行えない点に留意してください。
印鑑カードの取得に必要な「印鑑カード交付申請書」は法務局窓口にも備えなられていますが、ネットからダウンロードもできます。
参考:印鑑カード交付申請書
印鑑証明書交付申請書
印鑑証明の請求を行う際、印鑑カードと一緒に提出が必要な申請書です。
印鑑証明書交付申請書は以下の2つの手段で入手できます。
・法務局窓口で受け取る
・オンラインでダウンロード
法務局窓口で発行する場合はその場で受け取っても問題ありませんが、ダウンロードして事前に記載を行えばスムーズに手続きが進みます。
また、郵送の場合は基本的にダウンロードで対応することとなります。
なお法務局に足を運び証明書発行機を利用する場合や、オンラインで請求手続きを行う場合は不要です。
参考:印鑑証明書交付申請書
手数料等
印鑑証明書の発行には発行手数料がかかります。
法務局窓口で取得 | 450円 |
法務局窓口(証明書発行機)で取得 | 450円 |
郵送で取得 | 450円 |
オンライン申請(郵送受け取り)で取得 | 410円 |
オンライン申請(窓口受け取り)で取得 | 390円 |
基本的に発行手数料は現金でなく収入印紙で収めます。
ただし、オンライン申請の場合はインターネットバンキングを利用した支払いです。
収入印紙は法務局窓口に加えて、郵便局や一部のコンビニなどでも購入可能できます。
また郵送で印鑑証明書の取得を行う場合は、切手代や封筒代(返信用封筒含む)も発生します。
商業登記電子証明書(オンライン請求の場合)
オンラインで印鑑証明書を請求する場合は、商業登記電子証明書が必要です。
電子証明書とは、オンライン申請を行った方が本人である旨を証明するものです。
窓口で申請を行う際の印鑑証明書のような役割を果たします。
電子証明書の取得はオンラインと書面のどちらでも可能ですが、一定の証明期間が設けられています。
証明期間が切れた場合は再度電子証明書の取得が必要となる点に留意してください。
電子証明書の詳しい発行方法は法務省の以下のページをご覧ください。
【法人 印鑑証明書】法務局窓口での取得方法
ここでは法務局窓口で法人の印鑑証明書を取得する方法を紹介します。
法務局窓口での手続きは印鑑証明書を即日発行できるため、急ぎ取得したい方にもおすすめです。
1.印鑑証明書交付申請書の記入
最寄りの法務局に足を運んだら、備え付けの印鑑証明書交付申請書を記載します。
印鑑証明書交付申請書はネットでダウンロードして先に記載したものを持参しても問題ありません。
申請書には以下のような項目を記載します。
・会社等の名称
・会社等の住所
・支配人等を置いた事務所等
・印鑑提出者
・印鑑カード番号
・請求通数
・申請人
2.収入印紙の購入
手数料分の収入印紙を購入します。
申請時に法務局窓口でも購入できますが、事前に郵便局やコンビニなどで準備すると手続きがスムーズに進みます。
法務局窓口で印鑑証明書を取得する場合、450円分の収入印紙が必要です。
3.印鑑カードと必要書類の提出
収入印紙を貼った印鑑証明書交付申請書に印鑑カードを添えて窓口に提出します。
窓口の混雑状況にもよりますが、早ければ10~15分程度で印鑑証明書を受け取れます。
【法人 印鑑証明書】証明書発行請求機での取得方法
ここでは、法務局にある証明書発行請求機を用いた印鑑証明書の取得方法を紹介します。
請求書の記載が不要で待ち時間も短くなる点が大きな魅力です。
ただし一部の出張所では証明書発行請求機が設置されていない場合もあるため、事前に確認してください。
1.発行請求機で請求情報の入力
まず証明書発行請求機に印鑑カードを挿入します。
そして請求情報を入力すると整理番号表が発券されます。
請求情報の入力では、印鑑登録者の生年月日が必要なので、代理で取得する場合は事前に把握しておきましょう。
2.収入印紙の購入・提出
発行請求機を使って印鑑証明書を発行する場合は、450円の手数料がかかります。
収入印紙は事前に郵便局などで購入することをおすすめしますが、用意していない場合は法務局窓口で購入できます。
窓口から番号を呼ばれたら、その場で受領する申請用紙に収入印紙を貼り付けて提出し、印鑑証明書を受け取る流れです。
【法人 印鑑証明書】郵送での取得方法
ここでは、郵送での印鑑証明書の取得方法を解説します。
印鑑証明書を受け取るまでの時間はかかりますが、法務局まで足を運ぶ必要がない点が大きなメリットとなります。
1.必要書類の準備
郵送で印鑑証明書を取得する場合、以下の書類を準備してください。
・記載した印鑑証明書交付申請書
・印鑑カード
・450円分の収入印紙(同封または申請書に貼り付け)
・切手を貼った返信用封筒
返信用封筒については、A4判大の証明書がそのまま入る定型外のものであれば証明書を折られずに受け取れます。
また印鑑カードのやり取りを行うため、返信用封筒は書留やレターパックなど追跡できる方法にしましょう。
2.必要書類の郵送
必要書類を発送したら2~4営業日程度で印鑑証明書が発行・返送されます。
他の方法よりも時間がかかるため、急ぎで取得したい場合は郵送以外の方法も検討しましょう。
【法人 印鑑証明書】オンラインでの取得方法
ここでは、オンラインで印鑑証明書を取得する方法を解説します。
オンラインでの取得は事前準備に多くの時間が必要となります。
しかし一度事前準備を行えば2度目以降の手続きをスムーズに進められるため、印鑑証明書の発行頻度が高い方などにおすすめです。
1.事前準備
オンラインでの印鑑証明書の発行は、申請用総合ソフトを用いて行います。
初回は申請用総合ソフトのインストールと、申請者情報の登録が必要です。
また、印鑑カードと電子証明書も準備してください。
参考:申請用総合ソフト
2.請求書様式の入力
申請用ソフトを起動して以下の流れで選択していきます。
1.申請書作成
2.申請様式一覧選択>商業登記申請書>交付請求書(印鑑/登記事項証明書)【署名要】
表示された申請書作成・編集画面に沿って各項目を入力していきます。
その後、チェックボタンをクリックして形式チェックを受けた後に「完了」ボタンを押す流れです。
3.電子署名の付与
申請用総合ソフトの「処理状況表示」画面で作成した請求書を選択して、署名付与を行います。
署名に用いる電子証明書を選択してパスワードを入力することで電子署名を付与できます。
電子署名を付与したら署名対象申請一覧画面に戻るので「署名付与完了」の状態であることを確認してください。
4.データの送信
電子署名を付与した請求書を選んで「申請データ送信」を選択します。
送信前申請一覧から送信対象を選択し、送信を行います。
5.手数料の納付
手数料の納付は以下のいずれかの方法で可能です。
・インターネットバンキング
・モバイルバンキング
・電子納付対応のATM
請求手続きを行うと「電子納付情報」が発行されるので、手数料の納付を行ってください。
手数料は郵便受取の場合410円、窓口受取の場合390円です。
6.印鑑証明書の受け取り
印鑑証明書の受け取りは以下のいずれかの方法で可能です。
・郵送受取
・窓口受取
郵送受取の場合、手数料の納付が確認された後に印鑑証明書が発行・送付されます。
一方で窓口受取の場合は、申請用総合ソフトの電子納付画面を印刷のうえ、請求通数を記載し窓口に持参します。
印鑑証明書を受け取る際は、印刷した書面に加えて印鑑カードも必要です。
法人の印鑑証明書のよくある質問
ここでは、法人の印鑑証明書でよくある質問にご回答していきます。
法人の印鑑証明書はコンビニで取れる?
法人の印鑑証明書はコンビニでの取得ができません。
個人の印鑑登録証明書の場合はマイナンバーカードがあれば取得できますが、法人の場合は法務局への申請が必須です。
代理人でも印鑑証明書を取得できる?
代表者以外の代理人でも法人の印鑑証明書を取得できます。
代表者が請求するのと同様に印鑑カードの提出が必要です。
また委任状の提出は不要ですが、印鑑証明書交付請求書の「窓口に来られた方(申請人)」欄の「代理人」の項目の記載が必要です。
法務局窓口の受付期間は?
法務局の窓口の受付時間は午前9時から午後5時までです。
従来は午前8時半から午後5時15分まで窓口業務が行われていましたが、働き方改革の推進によって2024年1月から窓口の対応時間が短縮されました。
印鑑登録の流れは?
印鑑証明書の取得には印鑑登録が必要です。
印鑑登録は大きく以下の流れで行えます。
1.登録する印鑑の用意
2.印鑑届出書の提出
また印鑑登録の際に「印鑑カード交付請求書」も提出して、印鑑カードを取得することがおすすめです。
登録できる印鑑には大きさの制限があり、代表者が複数存在する場合はそれぞれの代表者印を登録します。
なお法人の印鑑登録は義務ではありませんが、登録しないと印鑑証明書を取得できないため、基本的には法人登記と同じタイミングで手続きしましょう。
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まとめ
今回は法人の印鑑証明書の取得方法や手続き先、必要なものなどを解説しました。
書類に押印された印鑑が法人の代表印である旨を証明する印鑑証明書は、法務局への請求により取得できます。
取得方法は窓口やオンライン、郵送などさまざまです。
その場で取得したい場合は法務局窓口、今後何度も取得の機会がある場合はオンライン申請など、個々の都合や利便性に合わせて選択してください。
印鑑証明書自体に有効期限はありませんが、提出先によって「3ヵ月以内」「6ヵ月以内」と定められているケースが多いです。
必要となるタイミングでその都度手続きを行う必要があるため、慌てずに手続きを行えるように基本的な知識を覚えておきましょう。
この記事の執筆者
久田敦史
株式会社ナレッジソサエティ 代表取締役
バーチャルオフィス・シェアオフィスを通して1人でも多くの方が起業・独立という夢を実現し、成功させるためのさまざまな支援をしていきたいと考えています。企業を経営していくことはつらい面もありますが、その先にある充実感は自分自身が経営をしていて実感します。その充実感を1人でも多くの方に味わっていただきたいと考えています。
2013年にジョインしたナレッジソサエティでは3年で通期の黒字化を達成。社内制度では週休4日制の正社員制度を導入するなどの常識にとらわれない経営を目指しています。一児のパパ。趣味は100キロウォーキングと下町の酒場めぐり。
【学歴】
筑波大学中退
ゴールデンゲート大学大学院卒業(Master of Accountancy)
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