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法人口座とは?個人口座との違いや銀行の種類、必要書類、開設の流れ等を解説

[投稿日]2020/01/31 / [最終更新日]2023/08/14

法人口座とは?個人口座との違いや銀行の種類、必要書類、開設の流れ等を解説

「法人口座とは?一般口座とは何が違うの?」
「起業したら法人口座を開設するべき?」

などと考えていますか。

会社の商号が口座名義となる法人口座の開設に法的な義務はありません。個人口座でも法的な問題なく事業運営ができます。

しかし法人口座を開設すると、事業が有利に進む様々なメリットを受けられます。法人口座の開設に悩んでいる方は積極的に検討を行いましょう。

本記事では、法人口座のメリットや開設の流れ、必要書類、金融機関の選び方や種類などを解説しています。「法人口座を開設すべきか」や「自分に合った金融機関の種類」などが理解できるため、ぜひご覧ください。

法人口座とは

法人口座とは、個人名ではなく法人の商号が口座名義となっている銀行口座です。金融機関によっては「ビジネス口座」などとも呼ばれます。

また、原則として会社名のみが口座名義人となりますが、中には商号の後に店舗名や部署名、代表者氏名が入る場合もあります。

法人口座は事業の取引で使われますが、会社設立と同時に自動で作られるものではありません。代表者が自ら任意の金融機関に赴き、必要書類の提出・手続きを行う必要があります。

事業運営において、法人口座の開設は法的義務ではありません。代表者の個人口座であっても顧客との取引は可能です。

しかし、社会的信頼性や経理業務の手続きを考えると、法人口座の開設は積極的に行うべきといえます。

金融機関によって審査の難易度や特徴などが異なるため、事業の実態に即した銀行を選ぶことが重要です。

合同会社でも法人口座の開設は可能

「合同会社は法人口座の開設が難しい」などの意見を持つ方もいますが、合同会社でも法人口座の開設は可能です。審査の基準も株式会社と大きく変わることはありません。

しかし、合同会社は法人設立のハードルが低いため、マネーロンダリングといった不正目的で使われることもあります。

そのため、審査担当者に実態のある企業であると判断してもらうための準備が重要です。具体的には、事業目的の明確化や一定の資本金の準備などが挙げられます。

口座開設の審査で確認される項目については詳しく後述しています。

また合同会社と同様に、一般社団法人やNPO法人でも法人口座の開設が可能です。

法人口座と個人口座(一般口座)の違い

法人口座と個人口座の最大の違いは、口座名義です。

法人口座は企業の商号が口座名義人となる一方で、個人口座は本人の氏名以外の名義にはできません。ただし、個人事業主用の屋号付き口座では「屋号+氏名」の名義で口座の開設ができます。

また、法人口座と個人口座は口座開設の手続きも異なります。

法人口座は個人口座と違い、基本的に即日開設できません。

個人口座は身分証と印鑑を持参すれば最短30分程度で口座開設が可能である一方で、法人口座は厳しい基準の審査が行われるため、2週間から1ヵ月程度の期間を要する場合も多々あります。

また、法人口座は個人口座よりも必要書類が多く、必ずしも口座が設立できるとも限りません。審査に通過するには正当な理由で使用される旨を証明する必要があるのです。

上記のように記載すると、法人口座はデメリットが大きく感じる方もいるでしょう。しかし、口座開設の難易度の高さから、開設できれば第三者からの信頼を得ることができます。

また、後述する様々なメリットも受けられるため、一定の手間や時間を要しても開設の価値は大きいといえます。

法人口座を開設するメリット

上述した通り、法人口座の開設には一定の手間や時間を要しますが、個人口座(一般口座)と比較して事業に役立つ様々なメリットも生じます。

法人口座の開設を悩んでいる方は、どのような恩恵を受けられるかを確認しましょう。

ここでは、法人口座を開設するメリットを4点解説します。

社会的な信用が向上する

法人口座は開設の審査基準が設けられているため、誰しもが開設できるわけではありません。

そのため法人口座を開設できれば、銀行によるお墨付きをもらった企業として、第三者からの信頼を獲得できます。

中には、コンプライアンス上の理由で法人口座を持たない相手との取引を避ける企業も存在するため、取引先の取りこぼしを防げます。

また、個人の消費者から振込みを求める際に代表者個人の名義であると、詐欺の疑いを持たれる可能性もあるでしょう。消費者が安心して振込みを行うためにも法人口座の作成が有効となります。

更に、融資や補助金を受ける際にも社会的信用を証明でき、円滑に資金調達ができる要因となるでしょう。

財務状況の把握が容易になる

法人口座で事業上の取引を行うと、財務状況の把握が容易になります。法人口座での取引は全て事業上での収支となるためです。

財務状況が一目で確認できれば、経営状態や資金繰りの悪化をすぐに把握できます。その結果、経営に関する意思決定が迅速に行え、安定した企業運営に繋がるでしょう。

他方で、個人口座で法人口座の取引を行うと、プライベートでの収支と事業での支出が混合します。その結果、一目で事業上の取引を把握することが困難になるでしょう。

また、経理事務でもプライベートの収支と事業の収支を分ける作業が必要となり、会計ソフトや帳簿に記入する内容も増えます。

取引数が多いと何の支出か判断できず、適切な決算書作成や税務申告ができなくなるリスクも生じるため注意が必要です。

従業員との共有がしやすい

従業員を雇用している経営者の場合、通帳と印鑑を第三者に預けて銀行で入出金を行うケースも存在します。

その際に、個人用の通帳だと預けにくいと感じる方も多いでしょう。

しかし事業用の口座であれば、通帳を預けても経営者本人の財務状況を確認されることはありません。

従業員に任させられる仕事の幅が広がるため、結果として事業効率の向上に繋がる可能性があります。

法人用のクレジットカードを作れる

法人口座を開設すれば、法人用のクレジットカードも作成できます。

法人カードで取引を行えば、経費精算が簡略化され、付帯サービスも受けられます。

また、指定口座からまとめて引き落としがされるため、手数料の削減も可能です。

更に、支払いまで猶予が生じるため、資金繰りに余裕が生まれる要因ともなります。

個人用のクレジットカードを使う場合、プライベートの経費との混合や経理業務の複雑化に繋がるため、法人カードの保有のメリットは非常に大きいといえるでしょう。

法人口座を開設する際の注意点

口座開設後のメリットが大きい法人口座ですが、開設手続きの際の注意点があります。

口座の開設を行う場合はこれらの注意点を踏まえて、入念な準備を行いましょう。

ここでは、法人口座を開設する際の注意点を3点解説します。

必ずしも審査に通るとは限らない

法人口座の審査では、必ず審査に通るとは限りません。

事業目的の明確化や一定の資本金・固定電話の準備など、審査に通る確率を上げるための取組みはあります。

しかし、これらの準備を行っても審査に落ちるケースがあるため注意が必要です。

審査の基準は各金融機関によって異なります。

一般的にはメガバンクよりも地方銀行、地方銀行よりも信用金庫やネットバンクの方が審査に通りやすいとされています。

そのため一度審査に落ちたら、審査に通りやすい別の金融機関で口座開設の申請を行うことも有力な手段のひとつです。

必要書類が多い

法人口座の開設に必要な書類は個人口座よりも多いです。

必要書類の詳細については後述していますが、履歴事項全部証明書や印鑑証明書など、法務局や役所で取得が必要な書類もあります。

そのため、申請の準備を行うだけでも一定の手間と時間を要します。

手間や時間がかかることを踏まえて、余裕を持って準備を進めましょう。

審査に時間がかかる

法人口座の審査には2週間から1ヶ月程度の時間がかかることも多いです。

口座の開設が遅れると「入金を依頼する口座がない」「代表者の口座に振り込んでもらう」といった事態に陥る可能性があるため注意が必要です。

審査の結果、口座が開設できないといったケースもあるため、口座が必要となる場面から逆算して手続きを進めましょう。

審査を待っている時間がない場合は「GMOあおぞらネット銀行」のように最短即日に審査が完了するような金融機関も検討しましょう。

参考:法人口座の開設 | GMOあおぞらネット銀行

法人口座の開設の流れ

法人口座の開設の流れは、個人口座の開設とは若干異なるため注意が必要です。手続きの詳細は金融機関によって異なりますが、大まかな流れは共通しています。

ここでは、法人口座の開設の流れを紹介します。

①金融機関の選定

一言で法人口座といっても各金融機関でサービスや手数料、審査の難易度などが異なります。

大別するだけでも都市銀行や地方銀行、信用金庫、ネット銀行などがあります。

事業の実態に即した金融機関を選定しましょう。

金融機関の選び方については詳しく後述しています。

②必要書類の準備・提出

法人口座を開設する金融機関が決まったら、必要書類の準備・提出を行います。

必要書類の詳細は後述しています。しかし、銀行によって異なる部分もあるため各金融機関のホームページを確認しましょう。

店舗型の銀行の場合は必要書類を準備のうえ窓口での手続き、もしくはオンライン上での手続きが多いです。面談が実施される銀行もあり、内容に不明点がある際は追加の提出書類を求められる場合もあります。

一方で、ネット銀行での手続きは通常オンライン上で行います。本人確認や書類提出はデータもしくは郵送で送付することが一般的です。

③金融機関の審査

必要書類を提出したら、金融機関側での審査が行われます。

申請者側で特段行うべきことはありません。

ただし、審査上の不明点や追加の必要書類がある場合は対応が必要です。

法人口座の審査には、通常2週間から1ヶ月程度の期間を要します。

④口座の開設

審査に通過したら法人口座が開設されます。

金融機関によって異なりますが、審査後はキャッシュカードの送付やオンラインバンクの初期設定に必要な書類などが送付されます。

万が一審査に落ちた場合は、再度口座開設ができそうな金融機関を選定しましょう。

法人口座の開設で必要な書類

不正利用の防止の目的で審査が行われる法人口座は、一般口座とは異なる書類や印鑑などが必要です。

必要書類の詳細は金融機関によって異なりますが、一般的に以下の6つが必要となります。

・商業登記簿謄本(履歴事項全部証明書)
・会社の定款
・会社実印
・代表者の実印
・代表者の印鑑証明書
・代表者の本人確認書類(運転免許証やマイナンバーカードなど)
・委任状(代表者以外が手続きを行う場合)

商業登記簿謄本(履歴事項全部証明書)は全国の法務局に申請のうえ取得ができます。また、代表者の印鑑証明書の取得は自治体の市区町村役場が手続き先です。

いずれも事前に手続きが必要ですが、オンラインでの取得も可能です。

法人口座の開設は厳しい審査を受けるため、ひとつの金融機関に絞り込む必要はありません。

複数の金融機関へ申し込めるよう、商業登記簿謄本(履歴事項全部証明書)や代表者の印鑑証明書は複数枚を用意することもおすすめです。

ただし、上記の書類の提出・提示のみでは、必ずしも審査に通過するとは限りません。

特に新しく設立された会社は実在性を疑われやすく、事業内容や事業所の有無を証明できる書類が求められるケースもあります。

各金融機関のホームページに記載がなくとも、口座開設の可能性を上げるために以下のような「会社の実態が分かる資料」の用意がおすすめです。

・代表者の名刺
・法人設立届出書の控え
・オフィスの賃貸契約書
・会社案内(パンフレット)
・事業計画書

これらは必須の書類として定められている場合もあるため、各金融機関のホームページを確認しましょう。

また、運営がされていないペーパーカンパニーや休眠会社を疑われる場合もあるため、上記の他に実態を証明できる資料がある方は共に持参しましょう。

法人口座の審査で確認される項目

各金融機関でどのような審査が行われているかや、口座開設の基準については公表されていません。金融機関ごとに審査項目が異なる場合もあるでしょう。

しかし、一般的に確認されやすい項目は存在します。

以下の要素を押さえておけば、法人口座が開設できる確率が向上するため、申請準備の参考としてください。

事務所の所在地

実態がある企業かを判断するために、事業所の所在地が確認されます。

犯罪に使用されている偽装会社の場合、事務所の所在地が不自然なケースも多いです。

事務所を構えていると証明できるように、物件の賃貸契約書の提出が求められる可能性があります。

実在の証明が重要であるため、自宅の一角を仕事場としている方はそのまま事実を答えましょう。

また、口座開設を行う銀行から距離のある他県に事務所を構えている場合も注意が必要です。明確な理由がない場合、実在する会社の住所でも不審に思われ、審査で落とされる原因となりかねません。

特段の理由がない限りは、最寄りもしくは通いやすい店舗で開設を行うことがおすすめです。

事業目的

事業の目的が不明確であると、ペーパーカンパニーを疑われる原因となります。実態のある企業と判断されるためにも、事業目的を明確に伝えることが大切です。

事業目的を明確に伝えるためにも事業計画書の作成を行いましょう。誰が見ても内容が簡潔かつ分かりやすく伝わる事業計画書を作成すれば、審査担当者も納得しやすくなります。

また、会社の代表者が口頭で説明できることも重要です。

法人口座の開設を依頼する際に、窓口で事業内容について質問される場合もあるため、簡潔に回答できるように準備しましょう。

説明の際は事業内容の全てを回答するのではなく、主業務に絞って掘り下げることがポイントです。

実際に複数事業を行っていても、過度に幅広い事業内容を設定していると金融機関に不信感を与える原因となるため注意しましょう。

資本金

現在は企業の形態に関係なく資本金1円から会社設立が可能となっています。

しかし、資本金が過度に少ないと法人口座の審査に落ちる原因となるため注意が必要です。

資本金が1円や1万円など過度に少額な場合、倒産のリスクが高い、もしくは架空の企業であると判断される原因となります。

通常必要な資本金額は明確に定められていませんが、第三者の信用や事業の安全性を確保するためにも50万円~100万円程度の資本金は準備することがおすすめです。

また、中には具体的に資本金の最低金額を設定している金融機関も存在するため、審査の前に必ず確認してください。

固定電話の有無

会社の実在の証明できる要素のひとつが固定電話の有無です。

いわゆる「ひとり社長」のように個人事業主が法人化した場合、固定電話の必要性を疑問視する方もいるでしょう。固定電話ではなく携帯電話を選ぶ方がコストカットに繋がるケースも多いです。

しかし取引先や金融機関にとって、相手の連絡先が固定電話でないことは以下のような不信感を抱く要因となります。

・怪しい会社(反社会的な会社)なのでは
・経営状態が良くないのでは

近年はスマートフォンを使用した犯罪も多く、固定電話のない会社は信用性に欠け口座開設を断られる可能性があります。

そのため、コストはかかりますが固定電話の設置がおすすめです。

固定電話の設置によって、法人口座だけでなく法人カードや融資などの審査にも通過しやすくなるメリットが生じます。

固定電話の設置が難しい場合は「050」番号の取得や電話代行サービスの活用を検討しましょう。

創業者の経歴

創業者の経歴も判断材料に加わる場合があります。

具体的には以下のような経歴には注意が必要です。

・債務整理や自己破産の経歴がある
・反社会勢力との繋がりがある
・融資やローンの滞納や減免の経歴がある

市場で堂々と活躍できる信用性の高い会社に育てるためにも、法人口座の開設で求められた経歴や性格などの情報は積極的に公表することをおすすめします。

会社のホームページの有無

提出した事業計画書や会社の定款に一貫性があるかを調査する際は、会社のホームページが役立ちます。

会社のホームページは、営業活動時の重要なツールとしても役立つため、早い段階で開設することがおすすめです。必ず提出が求められるわけではありませんが、事業計画書や定款を裏付ける情報となるでしょう。

ただし、会社情報が掲載されている程度の質素なホームページを資料として提出してはいけません。法人口座のために即席で作ったページと疑われる可能性があります。

事業実態が確認できるよう、取扱商品やサービスなどの具体的な情報を掲載したホームページを作成しましょう。

法人口座を開設する金融機関の選び方

現在はメガバンクからネット銀行まで、様々な金融機関で法人口座の開設ができます。

それらの金融機関に優劣はないため、個々の実態に即した銀行を選ぶことが大切です。

ここでは法人口座を開設する金融機関の選び方を紹介します。

ただし、会社や代表者によっては事業内容・取引相手・地域など、特定の事情に合わせて金融機関を選ぶ方法もある点に留意しましょう。

ネットバンクの使いやすさ

現在は実際の店舗を有する金融機関でもネットバンクに対応しているケースが多いです。

ネットバンクに対応していれば場所や時間に関わらず取引を行えるため、手軽に送金や入出金の記録が可能となります。

事業運営をより柔軟に行えるため、ネットバンクサービスを利用できる金融機関がおすすめです。

また、ネットバンクを比較する際は以下の点を確認しましょう。

・アクセス可能な時間
・入金明細の確認および出力可能期間
・ネットバンクの対応OS

基本的にネット銀行であれば24時間365日サービスを利用できます。

しかし、メガバンクなどのサービスでは土日祝の特定日や平日の早朝など、ネットバンクへのアクセスができない時間が設けられている場合があります。

自分が取引を行う時間を基準として、時間帯を気にせずに取引できる環境作りを行いましょう。

また、ネットバンクは閲覧できる情報に期限がある点にも注意が必要です。

ネットバンクによっては近日中の取引しか確認できない場合や、数年単位で確認できる場合もあります。オプション料を支払うことで全ての明細を確認できるケースもあるため、明細を確認できる期間もひとつの基準としましょう。

他にも、ネットバンクによっては対応OSが制限されている場合があります。使用する端末によっては専用ページの閲覧や操作ができない場合もあるため、口座開設の前に対応している環境を確認しましょう。

月額基本料と振込手数料

一般口座とは異なり、基本的に法人口座の維持には月額基本料が必要です。

月額料金は各金融機関によっても異なり、ネット銀行を含む一部の金融機関では格安や無料で利用できる口座もあります。

また、送金時には振込手数料が発生します。振込手数料の料金は以下のように条件によって異なります。

・振込先の金融機関
・振込先の本支店の違い
・取引金額の違い など

口座の維持や取引に関わるコストを抑えたい方は、月額基本料や振込手数料も踏まえて金融機関を選びましょう。

ただし料金は改定されるケースもあるため、将来的にコストが増減する可能性がある点に留意しましょう。

振込み可能時間や融資商品の有無

振込み可能時間や融資商品の有無も金融機関によって異なります。

夜間の振込みや急な手続きを要する際は、24時間当日扱いで手続きができる金融機関がおすすめです。

現在はオンラインでの手続きが可能となり、15時以降の手続きができる銀行も増えています。しかし、送金に限っては15時までと制限している金融機関も存在するため、何時まで当日扱いで手続きができるかを確認しましょう。

また、将来的に資金調達の可能性がある場合は、融資商品が提供されているかも重要なポイントとなります。

法人口座を開設した金融機関の融資であれば、事業内容や取引の情報が既に共有されているため、審査がスムーズに進みやすいです。

今現在は資金調達が不要と判断している場合でも、将来的な事業規模の拡大や多角化で資金が必要となる可能性がある点を踏まえて融資商品が必要か否かを判断しましょう。

信用度の高さ

法人口座は各金融機関によって対外的な信用度が異なります。

一般的には、ネット銀行よりも店舗型の銀行の方が高い信頼性を有しています。また、店舗型の銀行の中でも、メガバンクのように規模が大きくなるほど信頼性が高いと判断する方が多いです。

現在はネット銀行の知名度も向上傾向にありますが、未だメガバンクや地方銀行には届かないでしょう。

企業運営において信頼度を重要視している場合は、メガバンクでの開設を目指してはいかがでしょうか。

ただし、信用度が高まるメガバンクなどは、審査の難易度も高い点に注意が必要です。

開設のしやすさ

確実に法人口座を開設したい人は、開設のしやすさを重視することもおすすめです。

一般的には、金融機関の中でもネット銀行は口座の開設がしやすい傾向にあります。

また、店舗型の銀行でも地域に密着する信用金庫や地方銀行の方が、メガバンクよりも審査に通りやすいといわれています。

ただし、開設がしやすい銀行になるほど、第三者からの信用度が低くなる傾向にあるため注意が必要です。

法人口座を開設できる金融機関の種類・主な銀行

法人口座を開設できる金融機関の種類は大きく以下の5つに分けられます。

ここでは、それぞれの特徴や主な銀行を紹介します。

都市銀行(メガバンク)

都市銀行とは大都市に本店があって、全国に支店を展開している銀行を指します。いわゆる「メガバンク」と同義の意味で使われることも多いです。

都市銀行の大きなメリットは、全国に店舗がある知名度の高さです。第三者からの信頼の獲得が可能となります。

また、高額な融資に対応できる点も魅力です。

一方で、審査の難易度が高い点に注意が必要です。また、サイトの使い勝手が低いという意見もあります。

主な都市銀行には以下のようなものがあります。

三菱UFJ銀行
三井住友銀行
みずほ銀行
りそな銀行
埼玉りそな銀行

地方銀行

地方銀行とは都道府県を経営基盤としている金融機関です。

都市銀行と比較して地域密着型のサービスを展開している点が特徴です。

また、特定の地域内であれば信用度も高く、ビジネスマッチングの相談を受けられる場合もあります。

全国展開を目指す場合は知名度で都市銀行に劣りますが、一定の地域内での事業運営を目指す場合は強みを発揮するでしょう。

首都圏に存在する主な地方銀行は以下の通りです。

きらぼし銀行
横浜銀行
東日本銀行
千葉銀行
山梨中央銀行
東和銀行 など

信用金庫

信用金庫とは地域繁栄を目的とした金融機関です。地域の人々が会員となり出資を行って運営がされています。

地元の企業支援が充実しており、地域密着型の手厚いサポートを受けられます。

また、都市銀行と比較して審査に通りやすい点も魅力です。

地方銀行と同様に、一定の地域内で事業展開を目指す方におすめです。

ただし、融資を受ける場合は比較的金利が高めで、従業員が300人以上もしくは資本金が9億円を超えると脱退する必要がある点に注意が必要です。

東京都内には以下のような信用金庫があります。

多摩信用金庫
西武信用金庫
城北信用金庫
さわやか信用金庫
朝日信用金庫
東京東信用金庫 など

ゆうちょ銀行

ゆうちょ銀行とは、2007年の日本郵政公社の民営化によって生まれた金融機関です。

全国に支店があり、他の店舗型の銀行と比較して各種手数料が低い点が大きな魅力です。また法人税の電子納付にも対応しているため、支払いの手続きが容易になります。

ただし、預入れの金額が最大1,300万円と定められている点がデメリットといえます。また、小規模企業共済制度の取引口座に使えない点にも注意が必要です。

参考:ゆうちょ銀行

ネット銀行

ネット銀行とは、実際の店舗を持たずにオンライン上で手続きを完結できる金融機関を指します。

ネット銀行の大きな魅力は月額基本料や振込手数料が安価である点です。また、Web上での操作が前提であるため、サイトの使い勝手が良い傾向にあります。

しかし、店舗型の銀行と比較して対外的な信用力が低い傾向にあります。また「ソニー銀行」のように一部法人口座が開設できないネット銀行も存在します。

法人口座が開設できる主なネット銀行は以下の通りです。

GMOあおぞらネット銀行
楽天銀行
住信SBIネット銀行
PayPay銀行
auじぶん銀行 など

バーチャルオフィスでも法人口座の開設は可能

中には「バーチャルオフィスでは法人口座の開設ができない」と考えるかもいます。しかし、バーチャルオフィスであっても法人口座の開設が可能です。

実際に、バーチャルオフィスを運営するナレッジソサエティに入会した方で、法人口座を設立した方は多数存在します。

しかし、過去にはバーチャルオフィスで開設した法人口座が悪用されるといった出来事がありました。現在は法改正が行われていますが、今現在も入念な審査が行われる可能性があります。

バーチャルオフィスでの法人口座の審査を突破するためにも、以下のポイントを押さえた業者選びを行いましょう。

・登記先の住所(バーチャルオフィス)で郵便物の受取ができる
・法人口座の開設実績が豊富なバーチャルオフィス業者を選ぶ

また、弊社ナレッジソサエティに入会した方の多くは「GMOあおぞらネット銀行」で法人口座の開設を行っています。

【当社がGMOあおぞらネット銀行おすすめする理由】
・振込手数料業界最安値級。(同行宛無料、他行宛145円)
・「振込料金とくとく会員」なら月額料金500円で他行宛振込手数料が一律135円
・設立1 年未満のお客さまは他行宛て振込手数料が月20回まで無料
・バーチャルオフィスでもOK
・固定電話不要
・Visaデビットカードで決済金額の1.5%キャッシュバック
・振込手数料同行内無料
・維持管理手数料無料
・ハンコレス、ペーパーレス、郵送レス ※代表者と取引責任者が同一の場合

自撮り動画で本人確認を行えば、最短即日で口座の開設が可能となるため、ぜひご検討ください。

まとめ

今回は法人口座の概要や個人口座との違い、銀行の種類、開設の流れなどについて解説しました。

法人口座は個人口座と比較して手続きに手間や時間がかかりますが、以下のようなメリットを受けられます。

・社会的な信用力の向上
・財務状況の把握の容易化
・従業員との共有がしやすくなる
・法人カードが作成できるようになる

また、法人口座を開設できる金融機関は様々で、それぞれ特徴が異なります。

ネットバンク使いやすさや料金、開設のしやすさなどを比較して、企業の実態に沿った銀行を選びましょう。

「法人口座を開設すべき?」と悩んでいる方は、本記事を参考して積極的に検討してはいかがでしょうか。

この記事の執筆者

久田敦史

久田敦史

株式会社ナレッジソサエティ 代表取締役

バーチャルオフィス・シェアオフィスを通して1人でも多くの方が起業・独立という夢を実現し、成功させるためのさまざまな支援をしていきたいと考えています。企業を経営していくことはつらい面もありますが、その先にある充実感は自分自身が経営をしていて実感します。その充実感を1人でも多くの方に味わっていただきたいと考えています。

2013年にジョインしたナレッジソサエティでは3年で通期の黒字化を達成。社内制度では週休4日制の正社員制度を導入するなどの常識にとらわれない経営を目指しています。一児のパパ。趣味は100キロウォーキングと下町の酒場めぐり。

【学歴】
筑波大学中退
ゴールデンゲート大学大学院卒業(Master of Accountancy)

【メディア掲載・セミナー登壇事例】
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