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起業資金として必要な金額とは?上手に調達するためのコツも紹介

[投稿日]2019/11/20 / [最終更新日]2021/11/10

起業資金として必要な金額とは?上手に調達するためのコツも紹介

「起業には多くの資金が必要なためハードルが高い」と感じて、なかなか起業できていない方は多いものです。しかし、起業に必要な資金の額は、あらゆる条件によって変化するため、調達する方法も複数存在します。

また、起業して経営者となるには法律や会計、税務に関する知識も必要です。起業に必要な資金さえ集まれば起業できる、とは限りません。

そこで今回は、起業の際にはどのような資金が必要なのかだけでなく、なぜ法律や会計、税務に関する基礎知識が必要なのかについても分かりやすく解説します。

1.資金ゼロで起業​は​できるのか?

起業する方法には、「個人事業主となる」「法人を設立する」の大きく分けて2種類があります。このうち、自己資金がゼロ円で起業できるのは個人事業主を選択した場合です。

個人事業主と法人の違いは、以下の通りです。

①個人事業主
個人事業主として起業するためには、税務署に開業届を提出するだけです。法人のように資本金は必要ありません

ただし、事業内容によっては設備投資や物品の購入などに資金が必要になるため、完全に自己資金0円でできる起業は限られています。例えば、アフィリエイトで収入を得るサイトを運営する場合、設備にお金がかからないため自己資金ゼロで起業できる可能性があります。

一方で個人事業主は、法人に比べて社会的な信頼度が劣るため賃貸物件の審査に通過しにくい場合や、金融機関からの借入が難しくなる場合があるため注意しましょう。

②法人
法人を設立して起業するためには、法人登記が必要です。法人として起業すると、金融機関からの信頼が向上するというメリットがあり、個人事業主に比べて審査に通過しやすく借入が行いやすいという特徴があります。

しかし、法人は自己資金ゼロで起業することができません。なぜなら、登記書類の印紙代や税金の負担が30万円程度発生するためです。ただし、資本金自体は1円から設立できます。

2.起業資金に必要な金額の相場

起業するためには、多額の資金が必要なケースが少なくありません。日本政策金融公庫が2018年に行った「新規開業実態調査」によると開業に必要な資金の平均は1,061万円でした。

ここでは、起業するのに必要な資金には、どのようなものがあるのかを解説します。起業に必要な資金を算出する計算式は以下の通りです。

起業資金=①会社設立実費+②設備資金+③運転資金+④各種税金+⑤当面の生活費

それぞれどの程度の金額が必要なのかを知ることで、資金の調達額や融資額を明確に算出できるようになります。

①会社設立実費
会社設立時期とは、法人として起業する場合に必要な税金や印紙代等の費用のことをいいます。個人事業主として開業する場合は不要な費用です。

必要資金の相場は10万円〜30万円程度です。

必要資金 相場 備考
登録免許税 株式会社:15万円
合同会社:6万円
株式会社の場合、資本金の0.7%か15万円のどちらか高い方
収入印紙代 4万円 電子定款にすることで0円にできる
公証人の手数料 5万円 株式会社設立時に定款を各都道府県の公証役場に持参し認証を受ける際に必要
謄本手数料 2,000円 合同会社を設立する場合は不要

このように、設立する会社の種類によって必要な費用が変わります。

②設備資金
設備資金とは、以下のような起業する上で一時的に発生するコストのことで、初期投資も含まれます。

  • 車両
  • パソコン、プリンター、電話などの事務用品
  • 店舗の内装、設備費用
  • 賃貸でオフィスや店舗を借りる場合の契約にかかる初期費用

設備資金は事業の内容や、ご自身の状況に応じて必要額が大きく変わります。

例えば、webデザイナーとして起業する場合、既に自宅のパソコンを利用できる場合、設備資金はかかりません。しかし、持っているPCのスペックが低いなどの理由でPCを調達しなければならない場合は、資金の額が数10万円〜100万円以上になる可能性もあります

また、ラーメン屋やカフェのような飲食店や商品を販売して経営する場合は、店舗や必要な設備を揃えるために1,000万円ほどの資金が必要になるケースもあります

③運転資金
運転資金とは、事業を経営していく上で、継続的に発生する以下のようなコストのことです。

  • 人件費
  • 家賃、光熱費
  • 機器のレンタル代
  • 外注費用

設備資金と同じく、事業プランやビジネスモデルによって必要な資金は大きく変動します。

④各種税金
税金とは、事業における売り上げが発生した場合に課せられる所得税や法人税などがあります。個人事業主と法人で課せられる税金が異なり、注意しましょう。

個人事業主の場合は、所得税の納税が必要です。利益が赤字だった場合の所得税は0円となります。

法人の場合は、法人税・法人住民税・法人事業税などを納めなければなりません。仮に利益がゼロであったとしても、住民税の均等割が最低でも7万円負担する必要があります。

事業を行う上で税金の知識は必須ですが、必要な知識は多岐にわたるため、全て自分で管理するのは困難でしょう。そこで、多くの法人では税理士などの専門家の意見をもとに経営されています。

⑤当面の生活費
当面の生活費とは、起業した後の収入が安定するまでに必要な生活費のことです。必要な資金は「1ヶ月の生活費×事業収入で生活できるまでの月数」で算出されます。

相場はおよそ400万円〜600万円程度です。

企業を開始した後も、すぐに安定した収入が得られるとは限りません。開業してから、3ヶ月から半年は自己資金で生活する方が多くいます。実際に開業した後の手取り月収は、自営業者の方のうち20%が10万円以下です。

開業後の生活費をあらかじめ貯めておくことで、当面の生活費を心配することなく事業に集中しやすくなります。

3.起業資金の調達を成功させる3つのコツ

このように起業には、多くの資金が必要になる場合があります。しかし、「起業したいけれどもまとまった資金がない」という方も多いのではないでしょうか。

ここでは、今日のために必要な資金を上手に調達するためのコツを3つご紹介します。

3-1.複数の資金調達方法を使い分ける

資金調達には様々な方法があり、それぞれの特徴を理解して、事業内容に合わせて最適な方法と調達先を選択しなければなりません
考えられる資金調達方法には以下のような種類があります。

◯融資
起業時に利用しやすい融資には、以下の種類があります。

  • 信用保証協会の制度融資を利用した銀行などの民間金融機関からの借入
  • 日本政策金融公庫の創業融資制度

上記の方法は、取引実績がなくても借り入れできたり、無担保・無保証人で借りたりできるなどのメリットがあります。ただし融資を受けるためには、融資額の1/10などある程度の自己資金が必要です。

◯出資
身内や友人から出資してもらうことによって、資金を調達する方法です。

多くの方が資金の調達手段として利用していますが、返済が必要な出資を受けた場合、返済されないことで出資者との人間関係が悪化する可能性がある点に注意しましょう。

また、ベンチャー企業や中小企業などに積極的に投資している、エンジェル投資家といわれる個人投資家からの出資もこちらに分類されます。

◯補助金・助成金
国や地方自治体が行なっている補助金や助成金などの支援施策・支援制度を受けて資金を調達する方法です。補助金や助成金は他の調達手段と違い、返済の義務がありません。

ただし、補助金や助成金だけでは起業できない場合が多く、受給するためには厳しい審査を通過する必要があるというデメリットもあります。

◯ビジネスコンテスト・クラウドファウンディング
ビジネスコンテストの優勝賞金で調達する方法や、クラウドファウンディングを利用し不特定多数の人から寄付を受けて調達する方法があります。

補助金や助成金と同じく返済の必要がありませんが、他人を惹きつけ、アピールできるような事業内容でなければ、調達は難しいでしょう

3-2.自己資金を貯める

起業の際には、ある程度の自己資本や自己資金が必要となります。なぜなら、融資を受ける場合もある程度の自己資金がなければ、審査を通過しにくいためです。

例えば、代表的な資金調達方法である日本政策金融公庫の「新創業融資」を利用するためには、事業資金の10分の1の自己資金が必要となります。

自己資金を準備することで、融資・出資する人に対して、起業に対してどれだけ本気なのかといったアピールが可能です。起業への本気度・やる気が相手に伝われば、信用が得られて融資が受けやすくなります。

3-3.事業計画書を作成する

事業計画書を作成することで、融資が受けやすくなり資金調達がさらに容易となります。これは、計画性がある事業ということが金融機関や投資家に伝わる事業計画書によって、信用度が向上するためです。

有効な事業計画書を作成するためには、必ず以下の情報を盛り込みましょう。

  • 経営理念(起業する動機や事業の使命)
  • 経営戦略、市場分析
  • 損益収支や資金繰り等の財務計画

事業計画書を最初にきちんと作成することで、融資が得られやすくなる以外にも「市場で勝てる戦略を見いだせる」「経営戦略を社員や従業員と共有できる」などの効果があります。

事業計画書の出来によって、事業が成功するかどうかが大きく左右されるといっても過言ではありません。

まとめ

起業は資金がゼロでも行えます。しかし、ある程度の自己資金を準備して起業することで、より設備や環境を整えることができ、事業が成功しやすくなります。

そして、他人からの融資や出資、借入などで資金を準備する際は、金融機関や投資家から信用されなければ資金を調達できません。自己資金を貯めるだけでなく、事業計画をきちんと練り、事業内容をしっかりアピールすることで、金融機関や投資家から信用され、資金が調達しやすくなります。

今回ご紹介した起業の種類や資金の調達方法をふまえて、ご自身の事業内容にはどの方法がもっとも相応しいのかを検討してみてください。

この記事の執筆者

久田敦史

久田敦史

株式会社ナレッジソサエティ 代表取締役

バーチャルオフィス・シェアオフィスを通して1人でも多くの方が起業・独立という夢を実現し、成功させるためのさまざまな支援をしていきたいと考えています。企業を経営していくことはつらい面もありますが、その先にある充実感は自分自身が経営をしていて実感します。その充実感を1人でも多くの方に味わっていただきたいと考えています。

2013年にジョインしたナレッジソサエティでは3年で通期の黒字化を達成。社内制度では週休4日制の正社員制度を導入するなどの常識にとらわれない経営を目指しています。一児のパパ。趣味は100キロウォーキングと下町の酒場めぐり。

【学歴】
筑波大学中退
ゴールデンゲート大学大学院卒業(Master of Accountancy)

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