自分でビジネスを興すことを決意したら、次に具体的な手段を決めていくことが大切です。
今回は、起業未経験者や専業主婦でもできる起業について、起業の種類から、創業時に必要な資金調達方法まで、起業までの流れに合わせて解説します。
さらに、リスクを抑えるビジネスの例や、失敗しやすいビジネスの特徴も説明しているため、起業を検討している方はぜひ参考にしてください。
目次
1.起業の種類とは
起業には、主に個人事業主と法人化の2種類の方法があります。自分の作りたいビジネスに対して、どの形態が最も適しているのか、各事業形態を理解したうえで経営者として判断しましょう。
ビジネスの段階や規模に応じて、適切な形態が決まるため、現状を踏まえた手段を選んでみてください。
1-1.個人事業主
個人事業主は、フリーランスやフリーランサーとも呼ばれます。その名のとおり、組織に属さず個人で事業活動を行う人のことです。登記時の手続きは至ってシンプルで、開業届を税務署に出すだけです。
基本的には誰でも、すぐに事業を始めることが可能です。
1-2.法人
対する法人は、個人事業主に比べて、複数の手続きを踏む必要があります。
具体的には、法務局で法人登記し、税務署で法人設立届出を提出、社会保険事務所で登記簿謄本を提出します。
法人は、主に以下の5種類に分けられます。目的に合う法人形態を選びましょう。
●株式会社
国内で最も多い法人形態です。
出資者は、会社の発行する株式を取得して、利益に応じた配当金を受け取ります。
資金調達しやすい法人形態である一方で、株主(出資者)が経営に対して口を出すこともあります。
●合同会社
外部の出資者を設けず、出資者と取締役員が同一人物となる形態です。
個人事業主の事業をそのまま合同会社化させるケースもあります。
ただし、外部からの出資は一切受けられません。
●社団法人
共通の目的のもとに集まった者で構成される非営利団体のことです。
社団法人は、一般社団法人と公益社団法人の2つに分けられます。
一般社団法人は、設立時の費用を抑えて、拠出金ゼロから始められる形態です。
株式会社のような利益配分を行いませんが、利潤追求や給与支払いなどの仕組みは同様です。
公益社団法人は、都道府県もしくは内閣府からの認定を必要とします。
認定基準を維持する限り、国からの税制優遇制度を受けられます。
●財団法人
一定の目的のもとに集まった財産が管理・運営される団体のことで、財産の運用を目的とする法人です。
財団法人は、一般財団法人と公益財団法人に分けられます。
一般財団法人は300万円以上の現金を設立時に用意する必要があります。
その代わり、活動内容や公益性は問われません。
公益財団法人は、公益社団法人同様に認定をされれば、税制優遇措置を受けられます。
●NPO法人
NPO法人とは、特定非営利活動法人を指します。
税法上の収益事業を行わなければ、法人税や法人住民税を免除できます。
社団法人の場合は原則事業目的の制限がないことに対し、NPO法人が行う活動は公益性のある事業に限定されています。
2.個人・小規模な起業に向くビジネスの種類
起業は、決してハードルが高いことではなく、個人や小規模でも行えます。
近年では、専業主婦や学生でもチャレンジできる起業のスタイルも多く増えています。
まずはリスクを最小限に押さえた起業に挑戦してみてもいいでしょう。
ここからは、起業未経験者でもできる起業の種類をいくつか紹介します。
2-1.オンラインショップ
自分で作ったオリジナルのアクセサリーや洋服、食べ物といったハンドメイドの商品をオンライン上のショップで販売します。ブログなどのウェブサイトを自分で作成し、サイト訪問者に対して販売することで、売上をそのまま確保できます。
しかし、SEO対策ができなければ、ウェブサイトが人の目に触れることすらないでしょう。
そこで、既存のマーケットサイトに登録して集客することも手段のひとつです。オンラインショップに必要なインフラが整っているため、初心者でも始めやすい点が特徴です。
ただし、マーケットサイトでは売上からシステム手数料を取られてしまいます。また、マーケットサイト上で競合との争いとなります。
似た商品の並ぶなかで、周りとの差別化を図り、ユーザーをファン化・リピーター化していくことが重要です。拡散性の高いSNSを利用することもおすすめします。
2-2.アフィリエイト
自分で作成したブログやSNSを利用して、契約を結んだ企業の商品やサービスに関する広告を出します。
サイト訪問者が広告をクリック、もしくは購入すると企業から報酬を得られます。
PCさえあれば始められるビジネスで、自分で商品の在庫を抱える必要もありません。
高額商品であればあるほど、それに応じた高い報酬を得られるでしょう。
一方で、ブログやSNSで記事を地道に書く作業が必要であるため、継続しなければまとまった金額の収入に繋がりません。また、より多くの訪問者数を獲得するため、サイト制作やSEOに関する知識が求められます。
適切なアフィリエイトの広告選びや、多くのアクセスを集められるブログ作成ができるようになれば、高収入に繋がっていくでしょう。上手なアフィリエイターのサイト作りなどを参考にしてみましょう。
2-3.物品販売
商品を安く買い、高く売ることによってその差額を利益とするビジネスで、「せどり」や「転売ビジネス」とも呼ばれます。
やり方は至ってシンプルで、実店舗やインターネットで商品を購入して、フリマアプリや通販サイトなどで転売するだけです。
特別なスキルは要らず、直収入につながります。
ただし、仕入れから梱包までの発送作業、在庫スペースの確保、仕入れ時の資金繰りといった負担も発生します。
また、安いからと言って手当たり次第に買っても、すべて売れるとは限りません。
需要と供給を考え、消費者が欲しているものをより安く買い高く売ることができるビジネスセンスや、市場リサーチ力が必須となります。
2-4.自宅教室
店舗などを新たに設けず、自宅を利用して行えるビジネスです。自宅をサロンや教室として使用し、料理やヨガ、着付け、アクセサリー作り、英会話などのサービスを提供します。
元々自分が持っているスキルを活かすことができ、新たな事業スペースを確保するための賃貸料をかける必要もありません。好きなことを仕事にしたい方におすすめのビジネスといえます。
課題は集客です。教室やサロンを開いた地域に、サービスを必要とする顧客がどれくらいいるのか、どのように集客するのかを考え、実践していく必要があります。
3.失敗しやすいビジネスの特徴
次に、失敗の可能性が高いため、できるだけ避けたいビジネスの特徴について解説します。
起業の際は、なるべくリスクを抑えたビジネスを選びましょう。
●市場競争率が高いビジネス
たとえば、飲食店は参入しやすく、廃業しやすい業界として有名です。それだけ競合他社が多く存在しているためです。脱サラ・未経験者による飲食店経営は、3年以内に約9割が廃業に追い込まれるともいわれるほどです。
徹底した市場分析をして、競合他社との差別化を目指しましょう。
●衰退しているビジネス
市場規模が年々減少している業界は、そもそも社会的なニーズが減っています。斜陽産業に新たに参入して生き残ることは至難の業でしょう。衰退よりも、成長している業界を選ぶことが重要です。
●収益化をおろそかにしたビジネス
社会貢献や自己実現できるような事業アイデアを突き詰めるがあまり、収益化をおろそかにしてしまうケースです。
いくら社会から求められる素晴らしいアイデアであっても、収益化できなければ結果的にサービスを提供し続けることは難しいでしょう。顧客のニーズを満たしつつも、しっかりと事業収益を獲得できるビジネスモデルを構築していきましょう。
4.起業時の資金調達の種類
事業を決めたら、必要に応じて資金調達を行います。主な資金調達方法について解説します。
なお、ここでお伝えする資金調達方法は、あくまで一部です。
最近はあらゆる資金調達方法があり、資金不足により起業を断念するケースは少ないため、あきらめずに資金調達できる方法を探し続けましょう。
4-1.融資
資金調達方法としては、まず融資を思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。
主に、銀行や信用金庫などの金融機関から、お金を借りることを融資といいます。
融資の際に評価される点は、企業の実績です。
創業時には融資を受けることが難しくなっています。そのため、信用保証協会からの信用保証を付けられる「制度融資」の活用がおすすめです。信用保証を受けられれば、信用金庫から借入しやすくなります。
4-2.出資
ベンチャーキャピタルやエンジェル投資家、他企業などから出資を受ける方法もあります。
エンジェル投資家は、ベンチャーキャピタルを個人で行っているような個人投資家のことです。
こういった出資元は、実績よりも未来への成長率に対して出資してくれますが、出資先の上場を目指すために著しい成長を求めます。相手の人間性を見抜いた上で出資を受けた方がいいでしょう。
4-3.補助金・助成金やその他
国や行政が提供する補助金や助成金を活用する方法です。経済産業省関連で行われる「創業支援等事業者補助金」、行政が雇用保険受給者に対して行う「再就職手当」など、状況に応じたあらゆる制度が用意されています。
また、一般の個人から集める「クラウドファンディング」など資金調達方法は多岐に渡ります。
まとめ
ネット社会や情報化社会の到来により、ビジネスにチャレンジするハードルは下がって来ています。
この記事で紹介したように、起業未経験者でもできるネットやオフラインでの起業の種類が増えています。自分の特性に合わせながら、発展させられるビジネスを選んでみてはいかがでしょうか。
この記事の執筆者
久田敦史
株式会社ナレッジソサエティ 代表取締役
バーチャルオフィス・シェアオフィスを通して1人でも多くの方が起業・独立という夢を実現し、成功させるためのさまざまな支援をしていきたいと考えています。企業を経営していくことはつらい面もありますが、その先にある充実感は自分自身が経営をしていて実感します。その充実感を1人でも多くの方に味わっていただきたいと考えています。
2013年にジョインしたナレッジソサエティでは3年で通期の黒字化を達成。社内制度では週休4日制の正社員制度を導入するなどの常識にとらわれない経営を目指しています。一児のパパ。趣味は100キロウォーキングと下町の酒場めぐり。
【学歴】
筑波大学中退
ゴールデンゲート大学大学院卒業(Master of Accountancy)
【メディア掲載・セミナー登壇事例】
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