IT起業は初期費用を抑えて始められ、市場規模も大きいといった理由から起業時におすすめの業界の1つです。
また、会社員の独立・副業にも向いているため、本格的に起業したい方やフリーランスとして独立したい方、副収入を得たい方など幅広い方は一度検討することをおすすめします。
しかし、一言でIT起業といっても様々なビジネスモデルが存在し、誰もが成功できるわけではありません。
専門的な知識やスキルを要する場合も多いため、自分に合った起業アイデアや成功のポイントを確認して、成功率を少しでも上げることが大切です。
本記事では、IT起業のメリット・デメリットや主なビジネスモデル、成功のポイントなどを解説しています。
実際に起業する際の方法も紹介しているため、ぜひご覧ください。
目次
IT起業とは
IT起業とは、一般的にIT業界に関するスキルや知識を用いたビジネスモデルで事業を立ち上げることを指します。
そして、IT起業を行った経営者を「IT起業家」と呼ぶことも多いです。
現在はIT業界の発達によって誰もがスマートフォンを持つ時代となり、インターネットがより身近な存在となりました。
その結果、IT関連のサービスや商品の需要が高まり、非常に大きな市場規模を確立しています。
また、次々に新たな技術や流行が登場している点も特徴で、非常に変化に富んだ業界となっており、これからも長く需要が続くと予想ができます。
IT業界の市場規模
株式会社矢野経済研究所が公表している調査によれば、2022年度の国内民間IT市場規模は「141,600億円」です。
さらに、市場規模は年々拡大傾向となっており、2025年には「155,300億円」まで拡大すると予想がされています。
年度 | 国内民間IT市場規模 | 前年度比 |
2019年度 | 128,900億円 | 103.2% |
2020年度 | 129,700億円 | 100.6% |
2021年度 | 135,500億円 | 104.5% |
2022年度 | 141,600億円 | 104.5% |
2023年度(予測) | 149,300億円 | 105.4% |
2024年度(予測) | 153,200億円 | 102.6% |
2025年度(予測) | 155,300億円 | 101.4% |
また、総務省が公表している「令和2年版 情報通信白書」によれば、情報サービス業の企業数も右肩上がりの傾向にあります。
年度 | 情報サービス業の企業数 | 前年度比 |
2012年度 | 3,382社 | 98.4% |
2013年度 | 3,433社 | 101.5% |
2014年度 | 3,443社 | 100.3% |
2015年度 | 3,494社 | 101.5% |
2016年度 | 3,501社 | 100.2% |
2017年度 | 3,498社 | 99.9% |
2018年度 | 3,636社 | 103.9% |
ここからもIT起業は大きな注目を浴びていると判断できます。
参考:国内企業のIT投資に関する調査を実施(2023年)
参考:総務省|令和2年版 情報通信白書|情報サービス業
IT起業のメリット
IT起業には、他の業界での起業にはない様々な強みやメリットが存在します。
ここでは4つのメリットを解説します。
初期費用を抑えられる
初期費用を抑えて起業できる点がIT起業の魅力の1つとなります。
パソコン1台かつ自宅で始められるビジネスモデルが多いため、少ない自己資金でも独立しやすいです。
また、事業所を要さないため固定費も抑えられ、少ない売上高でも利益を得られる可能性が高いです。
加えて、起業時に融資を受ける必要がないビジネスモデルが多いため、万が一失敗した際も負債が残らず、経済的な損失を最小限に抑えられます。
中には店舗や従業員、特別な機材などを要し、莫大な融資を受けるビジネスモデルも多いため、IT起業の大きなメリットとなるでしょう。
1人でも始めやすい
従業員を雇わずに1人で始めやすい点もIT起業の魅力です、
1人で事業を展開できるメリットとして人件費の削減が挙げられますが、その他にも人材育成やマネジメントなどが不要となる点もメリットとなります。
また、経営や事業の裁量権を全て得られるため、自分のペース、自分のやりたいことで事業運営が可能となる点もポイントです。
加えて、IT起業は業務委託の形で業務を外注しやすい業界であるため、従業員を雇用すべきか否かを柔軟に決定できる業務形態といえるでしょう。
需要が高い
上述した通り、IT業界の市場規模は年々拡大傾向にあります。
つまり、それだけIT業界のサービス・商品が求められているということです。
加えて、現在はIT人材の不足も問題視されており、専門的なスキルや知識を有している方は非常に重宝されます。
適切にマーケティング活動ができれば、比較的仕事の受注・販売がしやすい業界といえるでしょう。
将来的にもIT分野の需要は拡大され続けると予想できるため、事業を軌道に乗せられれば企業の長期的な存続も可能となります。
社会人の副業・独立にも向いている
IT起業は社会人の副業・独立にも適しています。
IT業界の事業は営業時間が定められていないケースが多いため、平日の夜や週末だけでも経営が可能です。
また、パソコン1台で自宅を事業所として事業運営ができるため、少ない売上高でも利益を得やすいです。
そのため「給与収入に加えて副業収入も得たい」という方にもおすすめとなっています。
また、一度副業で事業を経験してから起業・独立するという選択肢もあるため「将来的に起業・独立を目指したい」と考える方も、まずは副業からスタートさせることが有力となるでしょう。
IT起業は難しい?注意点やデメリットとは
様々なメリットがあるIT起業ですが、全員が成功できるわけではありません。
IT起業特有の注意点やデメリットとして、以下のような要素が挙げられるため、起業前に必ず確認しましょう。
ここでは3つの注意点やデメリットを紹介します。
IT人材が不足している
現在はIT人材の不足が問題となっています。
つまり、IT起業を行って従業員の雇用を行う際に、優秀な従業員が中々見つからない可能性があるため注意が必要です。
そもそものIT人材が少ないうえに、優秀な人材は大手企業への就職を目指す可能性が高いです。
そのため、従業員を雇う際は自身の人脈の活用や好待遇な勤務条件の提示などを行って早い段階から行動することが大切となります。
専門的なスキルや知識が必要
IT起業はプログラミングを含む専門的な知識を要するビジネスモデルが多いです。
そのため、業界未経験者の場合、案件や顧客の獲得は簡単ではありません。
業界未経験の状態でIT業界への参入を目指す場合は、一度業界内で活動する企業で従業員として働く、もしくはスクールやセミナーを活用してスキルや知識を習得する必要があります。
業界の変化が激しい
IT業界は現在急激に発達しており、日々変化が続いています。
近年でいえば、AIの登場などが業界に大きく影響を及ぼしています。
当然ですが、IT起業家が事業を存続させるには業界の変化への対応が必要です。
起業した段階で知識が止まってしまうと、時代や流行の変化によって業績が悪化する原因となるため、日々学び続ける意識が重要となります。
IT起業に必要なスキル・知識
起業は全員が成功できるわけではないため、起業準備の段階で必要なスキルや知識を習得する必要があります。
中にはビジネスモデルに直接関係ない知識であっても事業運営を行ううえで必要となるケースあるため必ず確認しましょう。
ここでは、IT起業に必要なスキル・知識を紹介します。
プログラミングスキル
IT起業における多くの職種では、プログラミングスキルが必要となります。
スキルを有する従業員を雇う場合であれば必須とはなりませんが、起業当初はスモールスタートの観点から観てもプログラミングスキルを習得すべきといえるでしょう。
もちろん、従業員を雇う場合でも経営者がプログラミングの知識を有していれば、現場の視点を踏まえたマネジメントが可能となります。
実務経験を有している場合は大きな問題とならないケースも多いですが、実務経験が少ないもしくは未経験の場合は、独学もしくはスクールでスキルを習得する必要がある点に留意しましょう。
参考サイト:【テックジム】自習型・定額制の格安プログラミングスクール
マーケティングスキル
マーケティングとは、一言でいえば商品やサービスを売るためのあらゆる活動を指します。
具体的には「SNSやWebサイトを用いた情報発信」「市場調査による需要の把握」などが挙げられます。
事業では、どんなに良い商品やサービスを開発しても、実際に顧客の手に届かなければ意味がありません。
また、事業を立ち上げると、顧客や取引先を一から見つける必要があるため、マーケティングの知識は必須となります。
事業運営を通じて経験や知識を得ることも重要ですが、基礎的な手法や戦略については起業前に理解しておきましょう。
財務・会計の知識
起業形態がどのような形であれ、事業で利益を出すと会計業務が必須となります。
具体的には、日々の取引について帳簿を付けて、決算後には確定申告の手続きを行うこととなります。
これらの手続きを疎かにしていると、延滞税や加算税といった罰則の対象となるため注意が必要です。
また、これらの業務は税理士に依頼する選択肢もありますが、財務周りの知識を得て決算書や帳簿の内容を理解できるようになれば、自社の現状を的確に理解できます。
その結果、業績が下がり始めたタイミングで迅速かつ的確に経営に関する意思決定が可能となるため、結果として事業の存続が可能となるでしょう。
経営者が自社の状況を把握しておらず、気付いたら手遅れの状況であったという例も存在するため注意してください。
自己管理能力
起業して経営者になると、決まった時間に出社する必要はなく、自分のペースや生活に合わせて働くことができます。
しかし反対にいえば、自分を監視する目が一切なく、甘えが出てしまう可能性があるため注意が必要です。
特にフリーランスのような働き方を選ぶ場合「決められた納期までに成果物を納品する」といった働き方が多いです。
自分に甘えが出た結果、納期に遅れてしまうと信頼を大きく損なう原因となるため注意が必要です。
また、当然ですが経営者になると、事業で利益が出なければ手元にお金は一切入りません。
会社員とは異なり、何にも縛られない点はIT起業の大きな魅力といえますが、自己管理能力がないと廃業の原因となるため、マインドとして必ず覚えておいてください。
IT起業の起業形態
IT起業を行う際に選択肢となる起業形態は、大きく以下の2つです。
・個人事業主としての開業
・法人の設立
それぞれにメリット・デメリットがあるため、特徴を適切に理解して、自分に合った選択を行いましょう。
個人事業主
個人事業主とは、管轄の税務署に対して開業届の提出を行った事業主を指します。
個人事業主という名前ですが、従業員を雇用することも可能です。
個人事業主で開業する大きなメリットは、費用を抑えてかつ簡単に事業を立ち上げられる点です。
開業手続きは税務署に開業届を提出するだけで完了し、公的な費用も発生しません。
そのため、比較的気軽に始められる起業形態といえるでしょう。
また、個人事業主が負担する所得税は累進課税が採用されており、所得が少ない段階だと税負担も少なくなります。
開業直後から法人税の方が得になるほどの利益を得られるケースは決して多くないため、まずは個人事業主としての開業が有力といえるでしょう。
一方で、デメリットとしては社会的信用力の低さが挙げられます。
現在はフリーランスのような働き方が浸透してきていますが、個人事業主は法人と比較して社会的な信用力が低く、中には取引先を法人と限定している企業も存在します。
その結果、機会損失に繋がる可能性もあるため注意しましょう。
しかし、事業が軌道に乗った段階で個人事業主から法人成りすることもできるため、基本的に最初は個人事業主としての開業がおすすめです。
個人事業主については以下の記事で詳細に解説しているため、ぜひご覧ください。
法人の設立
法人とは、法務局に対して法人設立の登記を行った事業者を指します。
また、一言で法人といっても「株式会社」や「合同会社」など複数の形態が存在します。
法人を設立して事業運営を行う大きなメリットは、第三者からの信用力を得られる点です。
上述した通り、取引先を法人に限定している企業も存在するため、法人で起業を行うことで機会損失を防げるでしょう。
また、事業での利益が大きくなると、法人が負担する法人税の方が所得税よりも税負担が軽くなります。
起業直後から莫大な利益が生じると見込める場合は、有力な選択肢となるでしょう。
一方で、法人で起業するデメリットは設立手続きが複雑で公的な費用も発生する点です。
法人を設立するには、以下のような手続きを行う必要があります。
・定款の作成
・定款認証(株式会社の場合)
・資本金の振込み
・設立登記
また、各公的手続きを行ううえで、株式会社の場合「約22万円」、合同会社の場合「約10万円」の費用を要します。
加えて、法人を維持するための費用もかかるため、発生する費用や手続きを踏まえても法人で起業すべきかを適切に判断しましょう。
会社設立の手続きについては以下の記事で詳細に解説しています。
IT起業に資格は必要か
通常IT起業では特定の資格を必要としません。
そのため、会社員などでスキルや知識を有していれば、一から資格取得のための取組みは不要となります。
しかし、新たな知識の習得を目的として資格を取得することは有力な選択肢となります。
【IT起業で有効となる資格の例】
エンジニア系資格(ネットワークスペシャリスト/データベーススペシャリスト など)
マネージャー系資格(ITストラテジスト/システム監査技術者)
日商簿記検定
MBA(経営学修士) など
資格を有していれば、自身の理解度が深まるだけでなく、第三者からの信頼にも繋がるでしょう。
ただし、資格取得のための勉強の時間を事業に費やすべきという意見もあるため、目的や効果、それに要する時間を踏まえて資格を取得すべきか否かを判断しましょう。
起業時に役立つ資格については、以下の記事で詳細に解説しています。
IT起業でおすすめのビジネスモデル・アイデア
一言でIT起業といっても様々な職種が存在します。
ここでは、IT起業でおすすめのビジネスモデル・起業アイデアを紹介します。
ネットショップ運営
ネットショップ運営とは、インターネットを通じて商品を販売するビジネスモデルです。
通常の小売業と比較して、事業所がいらず全国の消費者をターゲットでき、24時間営業できる点などが強みとなります。
また、ネットショップの作成サービスなどを活用すれば、プログラミングを含む専門的な知識を必須としない点も魅力です。
ただし、実店舗がない分差別化できる要因が限られており、競合他社も多いため、入念に戦略を練って参入する必要があります。
ネットショップ運営については、以下の記事で紹介に解説しています。
スキル販売
スキル販売とは、業務請負の形で成果物をクライアントに納品して報酬を得るビジネスモデルです。
いわゆるフリーランスのような働き方をイメージしましょう。
【スキル販売の例】
プログラマー
Webデザイナー
Webライター など
他の事業と比較して即金性が高く、自分の得意分野で勝負できる点が魅力となります。
また、クラウドソーシングサービスなどを活用すれば、比較的簡単に案件を獲得できます。
サービス・システム開発
IT企業のシステムエンジニアやプログラマーとして働いている方は、サービス・システム開発の選択肢もあります。
専門的な知識やスキルを要するため、需要・報酬が高めな職種となっています。
また、受託開発の中で上流から下流まで実地経験を積めると、エンジニアのキャリアとして社会から高い評価を得ることが可能です。
さらに、AIやNFTといった注目度の高い分野で起業ができれば、大きな注目を浴びる可能性もあるでしょう。
「チームで事業に取り組みたい」と考える場合も有力な選択肢となります。
参考サイト:AI総合研究所 |AI導入の無料相談窓口
「AI総合研究所」は、AI導入の総合相談窓口として最新技術や導入ノウハウを提供するオンラインメディアです。ニュース、事例、AIデータベースなど幅広いコンテンツで企業のAI活用を支援。AI人材紹介やコンサルティングも行っております。
ITコンサルタント
ITコンサルタントとは、企業などに対してIT関連の助言やシステム導入支援を行う職種です。
技術者として働き続けることには体力的な問題などが生じる可能性がありますが、ITコンサルタントであれば仕事の系統が異なるため、より将来を見据えた選択肢となるでしょう。
もちろん、最初からITコンサルタントとして働くのではなく、サービス・システム開発の経験を得てから手を出すといった選択も可能です。
IT起業の成功のポイント
IT業界に新規参入して確かな立ち位置を築くためには、成功のポイントを押さえた事業運営が重要となります。
ここではIT起業の成功のポイントを解説します。
収益性の高いビジネスを構築する
IT起業の成功では、収益性の高いビジネスを構築することが重要です。
顧客や競合他社の分析、見込収益、固定費などを含めて十分に利益が見込めるビジネスに参入しましょう。
また、Webサイト利用者やアプリダウンロード数が増えても、上手く広告収入と結びつけられなければ、資金不足で自社サービスが終了となることも珍しくはないため、テストマーケティングを含め入念な準備が重要となります。
加えて、自分の時間を使って収益をあげるビジネスではなく、一度サービスや商品を発信したら顧客や収益が蓄積されるストック型のビジネスがおすすめです。
ストック型のビジネスであれば、一度収益が生まれる仕組みを作れたら基本的に維持・管理のみを行えばよく、空いたリソースで多角化を行う選択肢も見えてきます。
特にフリーランスのような働き方を行う場合は、自身が稼働できなくなった際のリスクが大きいため、ストック収益の割合を増やす取組みをしましょう。
市場を継続的に分析する
どの業界においても市場分析は必須ですが、特にIT業界では継続的に行うことが重要となります。
上述した通り、IT分野は市場の変化が激しい業界です。
市場の変化が激しいと、必然的に自社の立ち位置やユーザーニーズも変化します。
自社の立ち位置やユーザーニーズが変われば、当然自社の商品やサービスも改変する必要があります。
市場分析を怠った結果、自社のサービスがユーザーニーズとかけ離れてしまうと、顧客離れに繋がる原因となるため注意が必要です。
人脈形成を行う
1人で行えるビジネスを展開する場合でも、日々人脈形成は行いましょう。
特にIT起業家が集まるコミュニティへの参加や、セミナー・起業家交流会の活用などがおすすめです。
周りに同業の経営者が集まっていると、最新の業界についての情報を得られ、取引先との出会いにも繋がる可能性があります。
また、IT人材が不足している昨今において、小規模事業者の人脈が従業員雇用のきっかけとなるケースも多々あります。
当然同業以外の人脈も、新たな仕事や情報収集に繋がるため、今現在人脈を必要としていない場合でも将来を見据えて積極的に経営者などとの交流を行いましょう。
バーチャルオフィスの活用を検討する
IT起業を行う際はバーチャルオフィスの活用もおすすめです。
バーチャルオフィスとは、事業用の住所をレンタルできるサービスを指します。
IT起業では自宅を事業所として働く方も多いです。
しかし、自宅での開業は以下のような問題点が生じやすいため注意しましょう。
・住所を公開することによるプライバシーのリスク
・自宅の住所を事業所とする信頼性低下のリスク
特にネットショップを運営する際は、事業所と住所を含む運営者情報の公開が義務付けられているため、個人情報を公開することとなります。
そこでバーチャルオフィスを活用すれば、安価に信頼できる住所を活用できるようになります。
また、バーチャルオフィス業者によっては、事業支援や設備の利用、宅配便・電話の転送などを行っている場合もあるため、事業が有利に進む要因となるでしょう。
IT起業を行う方法・流れ
IT起業を行う場合は、起業準備に加えて税務署等での公的手続きが必要となります。
ここでは、個人事業主としてIT起業を行う流れを紹介します。
ビジネスモデルの決定
IT起業を行うと決めたら、まずはビジネスモデルの決定を行います。
ビジネスモデルとは、事業で利益を生み出すための仕組みを指し、上述した「スキル販売」や「サービス・システム開発」などが挙げられます。
そして、ビジネスモデルを決めたら、より詳細な情報や方針を定める事業計画書の作成に進みましょう。
事業計画書で定めることは以下のような項目です。
・事業の概要やコンセプト
・商品やサービスの内容
・現状分析
・販売戦略
・人員計画
・財務計画 など
事業計画書を作成することで、事業の収支計画の明確化や課題の発見などが可能となり、これからの事業運営の指針ともなります。
事業計画書の各項目や作り方については以下の記事で詳細に解説しています。
スキル・知識の習得
開業するビジネスモデルが決まったら、スキルや知識の習得を行います。
事業に直接必要なスキルは当然ですが、経理や会計、マーケティングなどの経営全般で必要となる知識も習得しましょう。
ただし、起業準備段階での勉強に時間をかけすぎることもおすすめしません。
実際に事業を経験して得られる知識も数多く存在するため「起業前に得るべき必須の知識」と「事業を経験しながらその都度得る知識」を明確にしましょう。
起業前に勉強すべきことについては以下の記事で詳細に解説しています。
設備・資金の準備
次に必要な設備や資金を準備します。
必要な設備については事業内容によって異なりますが、一例として以下のようなものがあります。
・パソコン
・デスク
・椅子
・会計ソフトを含む各種ソフトウェア など
また、事業計画書で必要と判断した資金から自己資金を差引いた金額については、資金調達が必要となります。
資金調達では以下のような手段が一般的です。
・融資
・出資
・補助金や助成金
起業後すぐに利益が出るとは限らないため、当面の生活費を準備する点もポイントです。
資金調達の方法については、以下の記事で詳しく解説しています。
税務署への届出
起業準備を終えたら、住所地を管轄する税務署に対して届出を行います。
開業時に必須となる届出は「開業届(個人事業の開業届出・廃業届出等手続)」です。
また、独立して事業を行う場合は「青色申告承認申請書」の提出もおすすめです。
青色申告を行うことで、正規の簿記の原則での記帳が条件となりますが、最大65万円の所得控除といった節税に役立つ様々な特典を受けられます。
加えて、従業員の状況によっては源泉徴収に関する届出も必要となります。
参考:個人事業の開業届出・廃業届出等手続
参考:所得税の青色申告承認申請手続
社会保険の手続き
税務署に開業届を提出した時点で、個人事業主としての開業は完了しましたが、会社を辞めて独立する場合、別途住まいの市区町村役場で社会保険の手続きを行う必要があります。
・国民年金への加入手続き
・国民健康保険への加入手続き
ただし健康保険については、元々勤めていた企業の健康保険を任意継続する選択肢もあるため、どちらが得かを適切に判断しましょう。
法人設立を行う場合の手続きとは
上記では、個人事業主として開業するための手続きを紹介しましたが、法人を設立する際は公的手続きが変わります。
法人を設立する際は、大きく以下の手続きを取る必要があります。
・定款の作成
・定款認証(株式会社のみ)
・資本金の振込み
・法人登記
また、法人形態も「株式会社」や「合同会社」など様々です。
小規模な起業を行う場合は、起業手続きが簡易的で費用も抑えられる「合同会社」が有力な選択肢となります。
検討する方は以下の記事で理解を深めてはいかがでしょうか。
まとめ
今回はIT起業のビジネスモデルやメリット、成功のポイントなどを解説しました。
IT業界は現在急激に発達しており、市場規模も拡大している分野です。
IT業界に関するビジネスモデルも多岐に渡るため、自分に最も適したアイデアを見つけてください。
また、自宅で事業を行うIT起業家が直面しやすい問題が、プライバシーや信頼性の低下です。
そこで、ビジネス用の住所をレンタルできるバーチャルオフィスを活用すれば、プライバシーを保護でき、信頼性のある住所により事業にも箔が付くため、ぜひ検討してください。
参考
この記事の執筆者
久田敦史
株式会社ナレッジソサエティ 代表取締役
バーチャルオフィス・シェアオフィスを通して1人でも多くの方が起業・独立という夢を実現し、成功させるためのさまざまな支援をしていきたいと考えています。企業を経営していくことはつらい面もありますが、その先にある充実感は自分自身が経営をしていて実感します。その充実感を1人でも多くの方に味わっていただきたいと考えています。
2013年にジョインしたナレッジソサエティでは3年で通期の黒字化を達成。社内制度では週休4日制の正社員制度を導入するなどの常識にとらわれない経営を目指しています。一児のパパ。趣味は100キロウォーキングと下町の酒場めぐり。
【学歴】
筑波大学中退
ゴールデンゲート大学大学院卒業(Master of Accountancy)
【メディア掲載・セミナー登壇事例】
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