学生起業とは、大学生や高校生、中学生といった学生が、自らのアイデアをもとに学生のうちに起業することを指します。その業種は幅広く、コストを多く必要としないIT関連や、簡単に始められる小売りのサービスなどが特に人気となっています。
今回は、数ある業種の中でなぜIT関連の仕事の人気が高いのか、その理由についてまとめていきました。
IT関連で学生が起業する際のメリット
IT関連での起業が人気の理由はなんでしょうか?それは、メリットが多いジャンルであるからだと言えます。そのメリットを具体的に見ていきましょう。
目次
1.コストが圧倒的に低い
学生が起業を行う上での1番の問題は資金の問題です。
学生のうちは、元々持っている資金が少なく、経験もないため十分な融資を受けられません。
そのため、莫大な資金をかけて新たな事業を起こす必要のある業種で起業するには、比較的ハードルが高いと言えます。
例えば、飲食業界で起業しようと思った場合を考えてみましょう。
飲食店でやるには、店舗を構え、内装工事を行い、厨房の設備を整え、広告費をかけて宣伝していくなど、初期費用(イニシャルコスト)が莫大にかかります。
万が一、その事業がうまく回らなかった時には、初期費用を返済するために借金を抱えなくてはならないかもしれません。
それに比べIT関連の仕事では、起業する内容にもよりますが、店舗などを構える必要はなく、基本的にはパソコン一台あれば起業を行うことができます。
また、毎月かかるコスト(ランニングコスト)もIT関連の仕事では抑えることができます。
飲食業界などの場合、食材の仕入れや従業員を雇う人件費、店舗の家賃、また調理の際にかかる光熱費などは一般家庭とは桁違いに高く、毎月費用は数十万円かかります。毎月の固定費の返済は、経営者にとってかなりのプレッシャーになります。
IT関連の仕事で毎月かかるランニングコストを考えた場合、システム開発や、ライティングなどでは、飲食業界とは異なり、仕入れや在庫が発生しないため、仕入れ料や保管料と行った固定費は発生せず、店舗を構える必要がないため賃貸料も発生しません。物理的なものを必要としない場合、毎月かかるコストも低く抑えることが可能となります。
2.事業の立ち上げスピードが早い
起業でのリスクとして考えなければならない要因の1つに時間の概念があります。思いついた当時は流行っていて、成功する可能性のあるビジネスも、立ち上げに3ヶ月、半年、1年と時間を要するうちに廃れてしまい、開業する頃には、ユーザーにはとっくに飽きられているといったケースがあります。事業を立ち上げる上で、立ち上げまでのスピードは非常に重要になってきます。
IT関連の仕事では、早ければその日のうちに開業することができます。求められているものを素早く形にできるのは、IT関連で起業する大きなメリットになるでしょう。
3.IT関連はニーズで溢れている
IT関連の事業は年々ニーズが増えており、仕事の幅が大きいのも特徴の一つです。ひとえにIT関連と言っても、Webサイト制作、システム開発、アプリ開発、アクセス分析など専門性を必要とする事業もありますが、キュレーションサイトやブログ代筆依頼など、IT知識に詳しくない人でも受けられる仕事は多く存在しています。
IT関連では、アウトソーシングされているものが多く存在し、今後もその市場は大きくなると予想されます。
仕事を選り好みしなければ、仕事がなくて生活ができないほど窮困することはほとんどないと言えるでしょう。初心者の方は、まずは専門性を必要としない分野から商品を売ることの楽しさを学ぶことをスタートしてはいかがでしょうか?
専門性がない方におすすめのIT関連
ブログ記事・アフィリエイト
自分のサイトで記事を書き、企業広告や商品・サービスを紹介する仕事です。
自分の書いた記事を経由してサービスや商品が購入されると、紹介料として広告収入がもらえる仕組みをアフィリエイトと言います。企業から直接案件をもらう必要はなく、代理店サービスを利用することで誰でも簡単にアフィリエイトを始めることができます。例えば、もしもアフィリエイトやA8ネット、バリューコマースといった有名サイトでは、誰でも簡単に登録することができ、すぐに始めることができます。
今更ブログ記事?と思われる方も多いかもしれませんが、今からでも全然遅くありません。
ブログやアフィリエイトは、初期費用や運営コストが安いため、初心者の方でもリスクを低く始められることができます。
サーバードメイン代で年間11,000円程度、ワードプレスの有料テーマ購入で15,000円程度運といった費用で運用することができます。初期費用3万円、2年目以降はサーバー/ドメイン代の更新などだけで済むため、年間1万円程度で済ませることができます。
コツコツブログ記事を更新し、月5万円〜10万円稼ぐには、非常に安い運営費ということができます。
まずは、自分自身の好きな分野や、自分が助けられた情報など身の回りのことから記事にしていきましょう。案外、自分にとって役に立った情報は、人の役にも立つことがあります。ブログ記事を書く上で必要になるのは、誰かの悩みを解決してあげられることです。人に読まれることを意識して記事を書いていきましょう。
プログラミングができる方におすすめのIT関連
システム開発やアプリ開発
プログラミングは、さまざまなシステムやソフトウェアを作る仕事です。
ホームページやWebサービスの作成や、業務の効率化を図るために、システム開発やアプリ開発に携わる仕事もあります。
プログラミングは非常に需要の高いスキルとなっています。毎日決まっているルーティンワークを自動化することで業務時間の短縮を行うことができたり、人が行うと数日かかってしまう様な作業もプログラムを組むことで数分に短縮することができたりと、業務の効率化を求めてプログラムを依頼する案件が非常に多いのが現状です。
プログラマーで起業するメリットとしては、リモートでの作業がしやすく、場所や時間も融通が効きやすい点や、経験を積むことで高単価の案件を受注できる点、企業のI T化の促進により需要が増え続けている点が挙げられます。
全くの未経験の人にとっては、それなりにハードルが高く参入障壁が高いことから、プログラマーの年収は高年収の傾向があります。
もしも、現在時間があり、何を学ぼうか悩んでいる方は是非プログラミングの勉強をしてみてはいかがでしょうか?また、よくある質問として、「なんの言語から学べば良いか?」という質問があります。何を作りたいかにもよりますが、Web系のプログラミング言語から取り組んでみてはいかがでしょうか?具体的には“HTML”“CSS”“Ruby”“JavaScript”“PHP”などが挙げられます。皆さんが普段よく使っている、AmazonやTwitter、Instagram、食べログなどのサービスもこれらのWeb系のプログラミング言語で動いています。
ウェブデザイン
ウェブデザインとは、ウェブサイトのレイアウトやデザインを作る仕事です。
ウェブサイトの使いやすさは、このデザインで全てが決まると言っても過言ではないくらい重要な仕事になります。仕事の内容としては、Webページのビジュアルをクライアントと一緒に考えたり、サイト全体のデザインの統一感を決定したり、HTMLやCSSを使ってコードを記述したりと、クライアントが目にする大部分はこのウェブデザイナーが担当します。また、大きな案件になってくると、人に伝えたいことを伝えるための知識、技術が必要となるために、マーケティングの知識も学んでいく必要があるでしょう。
ウェブデザイナーのメリットとしては、リモートでの作業がしやすく、場所や時間も融通が効きやすい点や、幅広いスキルを身につけられるという点が挙げられます。さらに、この世の中には無数のWebページが存在するため、真似をするところから学習をスタートできるため、初心者でも比較的始めやすい仕事となっています。簡単なサムネイル制作からスタートし、徐々にデザインのスキルを身につけていくことで、高単価案件につなげることもできます。
参考:WEBデザイナー向けオンライン講座・WEB制作関連情報を発信するSTAND 4U
特技を活かしたスキルの販売
上記のようなスキルを身につけて実際に案件を取りたいと思った時にお勧めのクラウドソーシングサイトを今回は4つ紹介します。
ランサーズ
2008年、日本で初めてクラウドソーシングサービスを開始したのがこちらのサイト。
利用者は50万人以上、依頼総数は200万件以上と豊富な案件数、幅広い職種がある総合型のクラウドソーシングサービスです。
税務サポートやスキルアップの教育など、発注側・受注側それぞれに役立つサポート制度が充実している点もランサーズの大きな特徴です。副業を始めたばかりの初心者にとっては非常に心強いサービスとなっています。
クラウドワークス
仕事の発注数は300万件以上で仕事の種類も200種類以上と、国内最大級なのがこちらのサイト。U Iが文字単価で明示されるなど、クラウドワークスの方がランサーズよりも使いやすい印象があります。システムや手数料などはランサーズとほとんど変わりません。
初心者へのサポート制度もランサーズと同様充実しているため、ランサーズとクラウドワークスの両方に登録し、それぞれをうまく活用することでより仕事を獲得しやすくなりそうです。
ココナラ
「ココナラ」はスキルシェアサービスの一種ですが、ランサーズやクラウドソーシングと同じく、プロジェクト形式で仕事を発注することもできるサービスとなっています。
実績を積んでいき高評価を貯めることで、スキルの販売価格を上げられるようになります。
IT関連で起業する上での心得
たくさん失敗し、そしてたくさん改善すること
どんなビジネスでもそうですが、初めから完璧に事業を行うことができた人なんてこの世には一人として存在しません。
ユニクロの柳井正氏も「商売に関しては、一勝九敗位です。ほとんどが失敗している。新しいことを始めて、成功する確率は、ほとんどゼロに近い。」とおっしゃっています。
失敗を改善することができなければ、失敗のままですが、失敗と改善を繰り返し、成功に導くことができれば最初の失敗はただの途中経過に他なりません。
なぜ失敗したのかの仮説検証をしっかりと行い、何度も改善を繰り返した人にしか成功は訪れないでしょう。
軌道に乗るまでの資金を事前に準備しておく
起業を行うときにすぐにビジネスを開始しようとする人がいますが、それは大きな間違いです。
IT関連の仕事がパソコン1台で始めることができ、他の業界と比べて費用を安く済ませることができると言っても、それはあくまで、始めるときの話です。
起こした事業がうまく軌道に乗るまでは、生活費はもちろん、システム開発代やシステム環境を維持する費用なども必要になってきます。資金の見積もりを誤ると、すぐに廃業になることも大いに考えられるので、しっかりと見積もりを行った上で、自分が事業を続けられる計画を立て、そのための資金を事前に準備しておくことは非常に重要でしょう。
まとめ
いかがでしたでしょうか?今回は、IT関連での企業がなぜ人気なのかについてまとめていきました。IT関連はこれからも清浄し続けていく業界で将来性があります。また、起業にかかるコストが低く誰でも挑戦することができる環境にあるのも大きなポイントです。
もし、学生のうちに何か勉強しながら起業を考えている方は、IT関連で起業してみてはいかがでしょうか?
この記事の執筆者
下宮勇生
有限会社S-Produce. 代表取締役
広島修道大学在学中に起業。我流で様々な地域の商品やサービスのプロデュースをしていく中で「地域にはマーケティングが必要」と感じ、起業10年目に広島大学 大学院社会科学研究科でマーケティングを研究。
現在は研究したことを活かし、創業塾の講師や高等学校教育と連携した若者のアントレプレナー育成に力をいれている。またこの取り組みが評価され、中小企業庁から「創業機運醸成賞」を受賞。
#経歴
・2002年3月 福山商業高等学校 卒業
・2002年4月 広島修道大学 商学部経営学科 入学
・2005年4月 個人事業主として「S-Produce」創業
・2006年2月 有限会社S-Produce.設立 代表取締役に就任
・2007年3月 広島修道大学 商学部経営学科 卒業
・2016年3月 広島大学 大学院社会科学研究科 マネジメント専攻 卒業 修士(マネジメント)取得
#所属学会、団体
日本マーケティング学会、 中小企業家同友会
#資格・ライセンス
・認定SPトランプ ファシリテーター(エンパワーメントカウンセリング研究所)
→人材育成のためのコーチング術を学ぶために取得。
・無人航空従事者試験3級(ドローン検定協会)
→新しいことはすぐに実験。操縦経験時間50時間以上。
・小型船舶操縦免許(国土交通省)
→瀬戸内の海の企画のために取得。
・バーベキュー初級インストラクター(日本バーベキュー協会 )
→自然をつかった観光企画のために取得。
#認定・賞暦
・尾道市主催「しまなみプロデュース事業」銅賞 (2004年6月)
・中国経済産業局市民ベンチャーサポートプログラム認定 (2004年12月)
・経済産業省主催「DREAM GATE中国エリア挑戦者祭」優勝(2005年1月)
・公益財団法人ひろしまベンチャー育成基金主催「ひろしまベンチャー育成基金」育成賞(2005年3月)
・経済産業省中小企業庁「創業機運醸成賞」受賞(2018年2月)
・経済産業省中小企業庁「起業家教育の協力事業者(起業家)」認定(2019年5月)
#専門分野
・中小企業マーケティング(アイデア発想、商品開発、新規事業開発)
・インターネットマーケティング(Webサイト、ソーシャルメディア、Web広告)
・コミュニティビジネス/ソーシャルビジネスにおけるマーケティング(起業・創業)