さて、前回の「起業に必要な準備、不必要な準備」いかがでしたでしょうか?
私自身もはまってしまった「準備してから起業する」という罠に陥ること、多くみられる話だと思います。特に、「起業したい」と起業そのものが目的になっている場合は、これにはまりやすいと思います。「何かを成し遂げたい」「これがやりたくてたまらないんだ」という明確な目的を持っていれば、「準備なんてやりながら考えるさ」ぐらいにできるのですが、独立が目的化している場合は、準備に時間をかけたくなるのだと思います。
さて、今回もサラリーマンからの脱出の第3弾です。
起業する際に、多くの先輩起業家が語ります。
「私は、この社会問題を解決したい!」
「どうしても、この困っている方々に手を差し伸べたかった!」
という社会貢献型の創業ビジョン・理念。
新たに会社を創るにあたっては、大きなビジョンを持ちたいものです。
ましてや、起業するリスクや、今後の人生をかけて創業するのですから、大きな夢や希望を持って事業を展開したい、と考えるのはよく分かります。
しかし、私自身の経験からすると、この社会貢献型=利他型のビジョンだけを追い求めなくても、起業に進めるのではないか、と考えます。
冷静に考えてみてください。
ベンチャー企業から、一部上場企業になった、あの会社、あの経営者も、創業当時に何を考えていたか・・・
社会貢献型のビジョンや理念は、後付け、もしくは事業を走らせながら当てはめていった可能性があると思うのです。創業者、経営者も創業当時に、そこまで明確な社会貢献を考えてのビジネスを考えていたか、という点は割り引いてみるべきです。
お伝えしたいことは
「社会貢献型=利他のビジョン・理念が完成しなくても、起業はできる」
ということです。
例えば
「社長になって稼ぐぞ!」
「起業家となって、自分が注目されたい!」
「一等地に、自社オフィスを持ちたい!」
こういった利己の精神も、完全否定していない、ということです。
純粋に自身の起業に対する、ある面ドライブ(モチベーション)となることは否めないからです。
ただし、これまた利己の精神だけでも起業は難しいとも思います。
何のために起業するのか、起業してまで何を解決していくのか(提供していくのか)はやはり、持っていたいと思うのです。
『マズローの欲求5段階説』という、ヒトの欲求を5段階で示した理論があります。
これによると、より下層(低次)の欲求が満たされると次の階層(高次)の欲求を求める、という法則です。
起業のビジョンや理念もこれと似たような段階があるのではないか、と考えています。
起業当初は、メシが食えるようになりたい、仲間が欲しい、そして社会から認められたい、社会貢献をしたい、と「利己から利他」に広がっていくのではないか、という捉え方です。
結論として、起業にあたり利他の精神がないから独立できない、と考え込まなくていいと思うのです。利己は正しく利他に導かれていく、と私は信じております。
私自身も、創業前に美しい「ビジョン」や「理念」などを作る事が必須事項だと思い込んでおりました。ある時、「利己も否定しない考え方」にたどり着き、利他とのバランスや発展を考えながら、こうして事業をさせて頂いております。今回も、自身の反省と自戒を込めて。