旅行に興味ある人はピンときたはず。わが日本が目指す、「訪日外国人観光客数」の目標数値でございます。これをよく「インバウンド」とも言いますので、以下インバウンドで統一。あ、ちなみに海外旅行の場合は「アウトバウンド」っていうんですね。
さて、10年くらい前にはこのインバウンド目標を1000万人に!なんて言ってたんですが、2013年には見事達成。いや、実は朝日新聞の2014年2月の報道ではhttp://digital.asahi.com/articles/ASG2S5D1BG2SULFA01F.html「集計方法見直したら2007年にすでに訪日客1千万人超えだった!」んですと。なんじゃそりゃ!もうとっくに超えてたのかい!?って話なんですよ。例年約200万人いる飛行機や船の外国人乗務員を集計に加えたら、すでに2007年に1千万人を超えててびっくりという計算。従来の日本の計算方式は、国連機関の推奨にしたがっていたんで、嬉しい誤算になってたんだそうですよ。
まあ、一般市民にとってみれば、その辺の修正は、消費税が上がったことに比べりゃああんまり生活に影響がないことなんで、比較的どうでもよかった話。それに次なる目標は「2020年に2千万人を目指すぞ!」と掲げられたのが一昨年くらい。ところがこれもいつの間にやら2500万人なんていうふうに上方修正されている。まあ、観光庁の「観光立国推進基本計画」には2500万人目標!って明記されているから、2500万人でいいんでしょ、きっと。そのうちまた計算方法変えましたなんて言い出しそうだしね。
ところでこのインバウンド目標達成のために、今、国や地方自治体は躍起です。円安の影響もあって外国人観光客が普通に来ている昨今、クールジャパンのアピール方法はまだまだあると、和食や田舎体験、アニメや銭湯、そんな日本人の日常を再点検し、いいアイデアないかと探し回っています。
そこで参考になるのが『ManABeShima』というフランス人イラストレーターのフローレン・シャボエさんが描いた本(ISBN : 9782809702132)。この方、2009年夏に2か月間、瀬戸内海に浮かぶ真鍋島の島宿「三虎」に滞在していたらしく、宿の様子や島民の暮らしぶりを中心にイラストで紹介した本なのです。日本人からしてみると、なんでこんな日常を絵にして面白いんだと思うんですが、これがフランスで発売されてから、日本人にもほとんどなじみなのい岡山県にあるフツーのこの島に、続々とフランス人観光客が訪れているっていうから不思議なもんです。
外国人は、大企業が作っている商品なのか、家族経営の零細店舗がやっているのか、そんなのは関係ない。面白ければ、珍しければ、そして自分基準で日本的であればいいんですよね。小さなビジネスやっている人にはチャンスです。しかも外国人は、英語の表記がメニューにちゃんとある、っていうだけで結構安心しちゃったり、SNSですぐに情報発信してお友達を芋づる式に誘導してきてくれたりする。どうです?2020年までにはもっともっと海外からのお客さんが日本にやってきます。これ、かなり開かれたビジネスチャンスじゃありませんかね?
図 訪日旅行者数の推移
出所:JTB総合研究所サイトより http://www.tourism.jp/project/tcm/why/inbound/
高千穂大学 経営学部 教授 川名 和美