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経営戦略とは│種類やフレームワーク、マーケティングとの関連性を簡単に解説

[投稿日]2021/03/19 / [最終更新日]2024/12/04

経営戦略とは│種類やフレームワーク、マーケティングとの関連性を簡単に解説

本記事ではビジネスにおける経営戦略について、以下のような内容を解説しています。

・経営戦略の概要
・経営戦略策定の目的
・経営戦略の種類
・経営戦略策定の流れ
・経営戦略策定に役立つフレームワーク
・有名企業の具体例

企業の中・長期的な目的を達成するためには経営戦略の策定が必須です。

目的や事業内容、内部・外部環境に適した経営戦略を立てられれば、競争が激しい市場の中でも企業の長期的な存続が可能となります。

しかし一言で経営戦略といっても、さまざまな種類があります。

自社に適した戦略や策定の流れ、活用できるフレームワークなどを確認して、経営戦略の立案に役立ててください。

経営戦略とは

「経営戦略」を簡単に説明すると「自社の目的達成や利益獲得のために取る作戦」です。

具体的な行動として「自社の経営資源(ヒト・モノ・カネ・情報)の分配・共有」を行います。

経営戦略の策定によって、市場内での競争優位性につながります。

どのような企業であっても保有する経営資源は有限です。

限りある資源を企業の目的達成のためにどのように使っていくかを決めることが経営戦略の策定なのです。

また、経営戦略の策定の基盤となる活動方針や組織体制の確立なども経営戦略に含まれます。

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ヒト・モノ・カネ・情報の4大経営資源とは│フレームワークや優先順位も簡単に紹介

経営戦術・経営計画との違い

「経営戦術」とは、経営戦略を実行するための具体的な手段・方法です。

経営戦略で定めた計画や方針などを達成する手段として用いられます。

また「経営計画」とは、一般的に企業の複数事業の計画を指します。

一方で単一事業の計画は「事業計画」です。

経営計画では、通常経営戦略に基づいて3~5年程度の行動計画を定めます。(中期経営計画)

ほかにも、概ね1年程度の短期経営計画や、10年程度の長期経営計画もあります。

経営戦略の目的

経営戦略を策定する最終目的は「企業の目標達成・利益獲得」です。

経営戦略の策定によって企業の経営資源を適切に分配・共有できれば、市場内での競争力の向上が可能です。

上述した通り、企業が保有する経営資源には限りがあります。

また企業の強みや弱み、外部環境によっても適切な経営資源の活用方法は異なります。

そのため個々の企業の状況を適切に分析して、優先順位を付け、明確に経営資源の使い方を決める必要があるのです。

一方で、経営戦略が曖昧で経営資源の配分に一貫性がないと、事業の生産性の低下につながります。

その結果、市場内での優位性が低下し、業績の悪化につながるリスクが生じるため注意が必要です。

経営戦略の策定が重要な理由

近年は消費者ニーズが多様化しており、外部環境が変化するスピードも速いです。

そのため明確な経営戦略を有していないと、多様化した消費者ニーズに対応できず、外部環境の変化にも付いていけない原因となります。

また、近年は商品開発の手法として「マーケットイン」が主流になりつつあります。

マーケットインとは、顧客のニーズに沿って商品を開発し、既存の市場に参入する方法です。

反対に自社の作りたい商品や独自の技術力を基盤として商品を作る方法を「プロダクトアウト」といいます。

プロダクトアウトとは異なり、マーケットインでは既存の市場や顧客に対してアプローチを行う必要があるため、必然的に競合企業との競争が発生します。

競合企業との競争に勝って市場内での立ち位置を確立するためにも、明確な経営戦略が必要なのです。

経営戦略の3つの分類

経営戦略は対象や範囲によって3つに分類できます。

・企業戦略
・事業戦略
・機能戦略

ここでは、それぞれの戦略を詳しく解説していきます。

企業戦略

企業戦略とは、会社全体の方向性や戦略を指します。

代表的な取組みとしては、以下のようなものが挙げられます。

・企業理念の策定
・事業領域の定義
・グループ戦略の策定 など

企業戦略は、特に企業が成長するほど重要となる戦略です。

3つの経営戦略の中で最初に決める戦略であり、複数事業間のシナジーや重点的に経営資源を配分すべき場所なども検討していきます。

事業戦略

事業戦略とは、細分化した事業ごとに策定する戦略です。

企業が3種類の分野に参入している場合は、3つの事業戦略が策定されます。

代表的な取組みとしては、以下のようなものが挙げられます。

・事業領域の設定
・経営資源の配分
・ビジネスモデルや事業プロセスの決定 など

企業活動の中でも特定の事業内容に着目して戦略の策定を行いますが、各事業部間で連携して経営資源の共有などを行うことが重要です。

機能戦略

機能戦略とは企業戦略や事業戦略の内容を踏まえて、各事業部がどのように活動するかを決めることです。

具体的には以下のような内容を決定していきます。

・人事戦略
・財務戦略
・マーケティング戦略
・生産戦略
・物流戦略など

この特性から、3つの経営戦略の中で最後に策定します。

密接に関係する3つの戦略

上記した3つの戦略は独立しているものではなく、密接に関係しています。

企業戦略で決定した方針を事業部門ごとに細分化し、それぞれどのように展開していくかを決定します。

そして事業展開のために、どのように活動していくかを検討するという1つのつながりや流れがあるのです。

これらを上手くリンクさせて矛盾のない戦略を立てることが経営戦略の策定において非常に重要となります。

経営戦略の種類

一言で経営戦略といってもさまざまな種類があります。

複数の経営戦略の種類から、自社や事業内容に最も適した選択を取ることが重要です。

ここでは、経営戦略の種類を詳しく解説していきます。

多角化戦略

多角化戦略とは、既存事業とは異なる市場へ参入する戦略です。

企業の経営資源を用いて新たな製品やサービスを開発します。

多角化戦略の大きなメリットは、企業全体のリスクを分散できる点です。

企業の収益の柱を2本、3本と増やしていければ、1つの事業で失敗しても残りの事業で企業の存続が可能となります。

一方で、コストの増加やブランドの希薄化といったリスクが生じるデメリットもあります。

差別化戦略

差別化戦略とは、競合他社の商品と比較して、機能やサービス内容に差異を持たせる戦略です。

「他社の商品にはない機能を搭載する」などです。

差別化戦略によって自社の強みが明確になり、価格競争からも脱出できます。

また、業界への新規参入の抑制効果も期待できます。

一方で、同質化戦略を取られるリスクや、既存の顧客離れにつながるリスクなどが生じるため注意が必要です。

事業運営における差別化戦略については、以下の記事で詳細に解説しています。

競争を有利にする差別化戦略とは|メリットや成功例等をわかりやすく解説

集中戦略

集中戦略とは、特定の商品やサービスに企業の経営資源を集中させる戦略です。

例えば「子供服しか販売していないが規模が大きく商品のコスパも高い」といった事業プランです。

自社の経営資源を集中して投下することで、自社の競争優位性の確立などが可能となります。

また規模が小さい企業であっても、多角化している大企業に対抗しやすくなる点もメリットです。

ただし環境の変化に弱く、主となる事業で失敗すると企業の存続が難しくなる点がデメリットといえます。

コストリーダーシップ戦略

コストリーダーシップ戦略とは、競合他社よりも安い価格で製品やサービスを提供する戦略です。

「原価を抑えて大量生産を行い、販売数を増やす」といった事業になります。

競合他社と商品・サービスの内容が似ていても、価格の安さによって消費者から選んでもらえる可能性があります。

ただし、単価が下がるため薄利多売のビジネスになりやすいです。

また競合他社も追随して価格を下げると、価格競争に陥るリスクも生じます。

グローバル戦略

グローバル戦略とは、国内だけでなく海外にも事業を進出させる戦略です。

より大きな市場に参入でき、一極集中リスクも分散できます。

また生産拠点を海外に移転すれば、生産コストの削減も可能です。

ただし法規制や文化・価値観の違いを把握する必要があり、為替やマクロ環境の変化によるリスク(カントリーリスク)も生じる点に注意が必要です。

経営戦略策定の流れ

経営戦略を策定する際の流れは大きく以下の通りです。

1.経営理念・ビジョンの明確化
2.外部環境の分析
3.内部環境の分析
4.経営戦略の立案
5.経営戦略の実行

ここでは、各工程を詳しく解説します。

1.経営理念・ビジョンの明確化

経営戦略の策定を行う際は、最初に経営理念・ビジョンの明確化を行います。

経営戦略やビジョンは経営戦略の策定の土台となるためです。

経営理念とは、企業が事業を展開する目的や向かうべき方向性を明文化したものです。

ビジネスプランが同じでも企業が向かうべき方向性はそれぞれ異なるため、経営理念やビジョンが明確化されていないと経営戦略の策定ができません。

起業時に設定しているケースも多いですが、経営戦略策定の段階で改めて明確化しましょう。

2.外部環境の分析

経営理念やビジョンの明確化を行ったら、外部環境の分析を行います。

具体的には以下のような内容です。

・政治的要因
・経済的要因
・社会的要因
・技術的要因
・顧客の動向
・競合他社の動向
・市場規模
・流通構造 など

外部要因、特に政治・経済・社会・技術から構成される「マクロ環境」については、自社の行動で変えることが難しいです。

そのため外部環境を適切に理解して、いかに対応していくかが重要となります。

3.内部環境の分析

次に内部環境の分析を行います。

具体的には以下のような内容を調査・検討していきます。

・自社の強み
・自社の弱み
・経営資源の内容
・市場内の立ち位置 など

自社の強みや弱みについては外部環境に左右される場合があるため、基本的には外部環境の分析の後に内部環境の分析を行うことがおすすめです。

また、外部環境・内部環境の分析ではフレームワークを用いることが一般的です。

経営戦略の立案で活用できるフレームワークについては詳しく後述しています。

4.経営戦略の立案

外部環境と内部環境の分析を終えたら、経営戦略の立案に移ります。

まず、分析結果を基に自社の成功要因(KSF)を見つけ出しましょう。

そして、次に戦略オプションを立案していきます。

戦略オプションとは、自社の目的達成や利益向上のための方法です。

複数の戦略オプションを立案することで、将来的な外部環境の変化にも対応できます。

最後に現在の環境で最も適した戦略を選択します。

5.経営戦略の実行

決定した戦略を実際に実行します。

企業全体に経営戦略を共有し、進捗管理や連絡方法などのルールも整理します。

また経営戦略を実行している最中に効果測定を行い、測定結果を基に軌道修正をしながら事業運営を進めていきましょう。

経営戦略の策定に役立つフレームワーク

経営戦略の策定では、フレームワームを活用して効率的に環境分析を行うことをおすすめします。

ここでは、経営戦略の策定に役立つフレームワークを5つ解説します。

SWOT分析

SWOT分析とは、以下の4つの要素を分析するフレームワークです。

・Strength(強み):自社が有する強みや得意な領域
・Weakness(弱み):自社が有する短所や苦手な領域
・Opportunity(機会):市場や社会の変化などで生じるプラスの要因
・Threat(脅威):市場や社会の変化などで生じるマイナスの要因

内部環境と外部環境、プラス要因とマイナス要因の2つの軸で分析を行う点が特徴です。

客観的に自社の状態を把握でき、弱みに着目した戦略策定にも役立つ点が大きなメリットとなります。

SWOT分析については以下の記事で詳細に解説しているため、ぜひご覧ください。

SWOT分析とは?やり方や目的、マーケティングに役立つフレームワーク等を解説

PEST分析

PEST分析とは、外部環境の1つである「マクロ環境」が自社に与える影響を分析できるフレームワークです。

マクロ環境とは大きく以下の4つに分けられます。

・Politics(政治的要因)
・Economy(経済的要因)
・Society(社会的要因)
・Technology(技術的要因)

ビジネスはマクロ環境の影響を大きく受けるうえに、自社では統制できない要素であるため、いかに対応していくかが重要となります。

PEST分析については以下の記事で詳細に解説しているため、ぜひ参考にしてください。

PEST分析とは|やり方や目的、環境分析のフレームワークをわかりやすく解説

3C分析

3C分析とは以下の3つのCからマーケティング環境を分析できるフレームワークです。

・Customer(市場・顧客)
・Competitor(競合)
・Company(自社)

3C分析の活用によって自社の重要成功要因(Key Factor for Success)を見つけることができます。

通常は上述したPEST分析やSWOT分析といった各種フレームワークと組み合わせて活用することが一般的です。

3C分析については、以下の記事で詳細に解説しています。

3C分析とは│やり方・流れや目的、実践例などをわかりやすく解説

5フォース分析

5フォース分析とは、競合企業や市場全体などを分析できるフレームワークです。

事業にまつわる脅威を以下の5つに分類して、関係性や優位性、力量などを分析します。

・新規参入者
・売り手(供給業者)
・代替品、代替えサービス
・買い手(顧客)
・競合企業

バリューチェーン分析

バリューチェーン分析とは、事業を「主活動」と「支援活動」に分類して、どの局面で価値を生み出しているかを分析できるフレームワークです。

内部環境を詳細に分類して検証できるため、強み・弱みの判断も可能となります。

有名企業の経営戦略の例

成功しているほとんどの企業は個々の実態に適した経営戦略を実施しています。

ここでは、有名企業の経営戦略の例を4つご紹介します。

サイゼリヤの例

ファミリーレストランの「サイゼリヤ」は業界再安価級の価格が大きな特徴です。

コストリーダーシップ戦略の成功例といえるでしょう。

価格を抑えるために以下のような取組みをしています。

・野菜の生産過程のシステム化
・調理過程の短縮化
・メニューの厳選
・徹底したマニュアル化 など

富士フイルムの例

「富士フイルム」は元々写真フィルムで有名な企業ですが、現在は以下のように事業を多角化させています。

・ヘルスケア
・デジタルカメラ
・データアーカイブサービス
・各種高性能材料 など

デジタルカメラの普及によって写真フィルムの需要が低下しましたが、事業の多角化によって長期的な企業の存続を実現しています。

ユニクロの例

ファストファッションブランドの「ユニクロ」は、日本国内だけでなく海外にも多数の店舗を展開しています。

グローバル戦略の成功例といえるでしょう。

日本国内と海外で異なる強みを有している点も特徴で、日本国内においては生産と小売を直結して低価格かつ高品質な商品を提供しています。

一方で海外店舗では現地への理解があるチームを地域ごとに配属して、海外子会社の経営力強化を実現しています。

国ごとの最適化を進めて地元に馴染む取組みを行っているため、多数の国で支持を得ているといえるでしょう。

ケンタッキーフライドチキンの例

フライドチキンのファストフードチェーンを展開している「ケンタッキーフライドチキン」は、集中化戦略で成功した企業例です。

競合が多いハンバーガーではなく、フライドチキンをメインの商品として捉えています。

経営資源をフライドチキンに集中させることでファストフード業界での立ち位置を築いてきました。

経営戦略と密接に関連する「マーケティング戦略」とは

マーケティング戦略とは、顧客に商品・サービスを提供するために必要な活動です。

具体的には、市場調査から製造、保管、輸送、宣伝、販売までのすべての過程で生じる活動を指します。

そしてマーケティング活動は、経営戦略における機能戦略の一部として各事業部が行っています。

マーケティング活動の流れ

マーケティング活動の流れは大きく以下の通りです。

1.市場調査
2.セグメンテーション
3.ターゲティング・ポジショニング
4.マーケティング・ミックス

ここでは、それぞれの工程を詳しく解説します。

市場調査

マーケティング活動は市場調査から始まります。

自社の商品・サービスを求めている顧客層をアンケートやリサーチ、公的機関の統計データなどから探り出しましょう。

また、どのような商品・サービスを届ければ顧客が満足するかも分析します。

セグメンテーション

セグメンテーションとは顧客の年齢や性別、ニーズなどを分類して、小さなグループを作ることです。

ターゲティングやポジショニングの対象が明確になり、より効果的なマーケティング戦略の立案につながります。

ターゲティング・ポジショニング

セグメンテーションで作ったグループの中で、どれを自社の営業活動の対象にするか、つまり狙う市場(標的市場)を決めることをターゲティングといいます。

ターゲティングには自社の強みや競合他社の状況分析が必要です。

分析結果から判断したターゲットから、自社の立ち位置(ポジショニング)も自ずと決まってきます。

マーケティング・ミックス

マーケティング・ミックスとは、ターゲットとなる顧客に対する働きかけの内容を決めることです。

マーケティング・ミックスには、基本的に以下の4つの要素があり、それぞれの頭文字「P」を取って「4P」と呼ばれています。

・製品(Product)
・流通(Place)
・プロモーション(Promotion)
・価格(Price)

それぞれの分析結果を出すことで、多面的な視点でマーケティング戦略を立案できます。

参考サイト:ノーコード・AI専門の開発会社Walkers

まとめ

今回は、経営戦略の目的や種類、策定の流れなどを解説しました。

企業の目的達成や利益向上には、経営戦略の策定が必須です。

企業の実態に合った経営戦略を立案できれば、企業の長期的な存続につながります。

しかし、一言で経営戦略といってもさまざまな種類があります。

各戦略の特徴を理解して、効果的な戦略策定に活かしてください。

マーケティング分析とは?メリットやフレームワーク解説!役立つAIツールも紹介!|AI Market

参考

参考:ビジネス効率を劇的に向上させるAI開発の活用方法 | 株式会社GeNEE(ジーン)

この記事の執筆者

久田敦史

久田敦史

株式会社ナレッジソサエティ 代表取締役

バーチャルオフィス・シェアオフィスを通して1人でも多くの方が起業・独立という夢を実現し、成功させるためのさまざまな支援をしていきたいと考えています。企業を経営していくことはつらい面もありますが、その先にある充実感は自分自身が経営をしていて実感します。その充実感を1人でも多くの方に味わっていただきたいと考えています。

2013年にジョインしたナレッジソサエティでは3年で通期の黒字化を達成。社内制度では週休4日制の正社員制度を導入するなどの常識にとらわれない経営を目指しています。一児のパパ。趣味は100キロウォーキングと下町の酒場めぐり。

【学歴】
筑波大学中退
ゴールデンゲート大学大学院卒業(Master of Accountancy)

【メディア掲載・セミナー登壇事例】
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