現在はプチ起業に興味を持つ方が多いです。
従来の起業よりも小規模かつ自分の好きな分野を仕事にしやすいプチ起業は、会社員の副業や育児中の女性などにもピッタリの起業形態です。
本記事ではプチ起業のメリット・デメリットやビジネスのアイデア、成功のポイントなどを解説しています。プチ起業で成功できれば、個々が思い描く理想の人生に近付けるためぜひご覧ください。
目次
プチ起業とは
プチ起業とは、比較的小さな規模の事業を立ち上げる働き方を指します。その特性から会社員の副業や育児中の女性にも人気のある働き方です。
収入の増加を大きな目的としている方が多いですが、社会貢献や自己実現などに意義を見出せる点も特徴です。
起業勤めで給与収入を得ることも社会的意義はありますが、必ずしも自分の興味がある分野で自由に働けるわけではありません。
また結婚や出産や育児などのライフステージの変化の中で、希望のキャリア形成ができない悩みを抱える女性も多いです。
そこでプチ起業であれば、仕事の内容や量を自分で調整しやすく、本業や家事育児の合間にも取り組めます。
さらに、プチ起業では独立を目指すことも十分に可能です。
時間や場所に囚われずに働けるビジネスモデルも多いため「自分の得意分野を活かしたい」「自分らしく働きたい」「自由なライフスタイルを実現したい」といった幅広い方におすすめです。
プチ起業と副業の違い
副業とは本業以外の仕事で収入を得ることを指します。
副収入を得られれば働き方は問われません。例えば、別の企業に所属してダブルワークで給与収入を得る手段も副業となります。
一方でプチ起業は、自分で事業を立ち上げて事業所得もしくは雑所得を得る働き方です。当然副業としての働き方も可能ですが、独立して一人の経営者になる選択肢もあります。
現在はプチ起業に興味を持つ人が増えている
現在はプチ起業を含む小さな起業に注目が集まっています。
日本政策金融公庫による「2022年起業と起業意識に関する調査」によれば、週の稼働時間が35時間未満の「パートタイム起業家」の新規起業者の割合が通常の起業家の約6倍となっています。
また働き方改革の影響で副業推進の意識が広まっている点も、副業としてのプチ起業に興味を持つ要因となるでしょう。
さらに現在はIT分野の発達によって、自宅の一室で仕事ができるようになりました。実際にパートタイム起業家の半数以上は仕事の場所を自宅の一室としています。
自宅を事業所にすると固定費を抑えられ、少ない稼働時間でも利益を出しやすいです。夜間や週末だけの事業運営で新たな収入源を作れる点も、プチ起業を後押しする要因となるでしょう。
プチ起業のメリット
プチ起業には通常の起業と比較したメリットが複数あります。これらのメリットを十分に活かせれば、より充実した働き方やライフスタイルの実現に近付くでしょう。
ここでは、プチ起業のメリットを5点解説します。
収入を増やせる
プチ起業によって収入アップを目指せる点が大きなメリットです。
副業の場合は給与収入に加えて事業所得もしくは雑所得を得られます。当然主婦の方のプチ起業も経済的なゆとりを生む要因となります。
またプチ起業での収入は、成果を出すほど多くの金額を得られる点も魅力です。事業が軌道に乗ったら、会社員では難しい水準の収入を達成できる可能性もあるでしょう。
限りなく小さなリスクで起業ができる
限りなく小さなリスクで事業を立ち上げられる点もプチ起業の魅力です。
プチ起業は少ない初期費用で開業できる職種が多く、月々の固定費も大きくありません。
実際に「2022年起業と起業意識に関する調査」によれば、パートタイム起業家の46.3%は「起業資金がかからなかった」と、39.4%が「起業資金が50万円未満」と回答しています。
初期資金を抑えれば金融機関等からの借入が不要となり、万が一事業に失敗した際のリスクを最小に抑えられます。
また、月々の固定費が少なければ小さい売上高でも利益が発生し、売上が伸びなくても大きな赤字にはなりません。
そのため「起業資金がない」「起業に興味があるがリスクを取れない」といった方にもおすすめの起業形態となっています。
専門的なスキルや知識を習得できる
プチ起業を行うと事業に直接関係するスキルはもちろん、経理や法的な知識も習得できます。ビジネス全体を経験できるため、どのような流れでお金が回るのかも理解できるでしょう。
会社員の場合は「自分の部署以外の仕事が分からない」といった方も多いです。
そのためプチ起業で得たスキルや経験は、会社員としての能力にも大きく好影響を及ぼします。
企業内での評価が高まるだけでなく転職でも有利になる要因となるため、より多様な選択を取れるようになるでしょう。
将来的に本格的な起業にも繋げられる
副業や主婦のスキマ時間で始めたプチ起業でも、事業が軌道に乗れば本格的な起業に繋げられます。
事業規模が大きくなるもしくは稼働時間が長くなれば、それだけ大きな売上高を目指せます。起業では成果を出した分だけ多くの収入を得られるため、大きな成功を達成できる可能性があるでしょう。
軌道に乗ってから資金を投入しても遅くはなく、プチ起業の段階で事業の進め方や経験を習得できる点もプチ起業の大きな魅力となります。
セカンドキャリアにも向いている
プチ起業は定年退職後のセカンドキャリアにも向いています。
現在は老後2,000万円問題などがあり、定年後も働く選択肢がメジャーになりつつあります。
定年後の選択肢は大きく「再雇用」と「起業」の2つですが、通常の起業はリスクや体力面の問題で踏み出せない方も多いです。
しかしプチ起業であれば、失敗によって老後資金がなくなるといったリスクを避けられ、稼働時間も体力や体調に合わせて調整しやすいです。
稼働した分だけ確実に収益になるビジネスモデルも存在するため、定年退職後の一つの選択としてもおすすめです。
プチ起業のデメリット
一方でプチ起業には、通常の起業と比較したデメリットも存在します。プチ起業の成功には、これらのデメリットを踏まえた運営が重要となります。
ここでは3つのデメリットを解説します。
事業内容に制限がある
中にはプチ起業では実現できない事業内容が存在します。
主に以下のいずれかに該当する場合は、小規模の起業にはなりにくいため注意が必要です。
・店舗型の事業
・従業員を雇う事業
・特別な設備を要する事業
上記の事業内容は一定の初期費用や固定費を要するため、小規模な事業との相性が悪いです。
「飲食店の営業をしたい」「仲間と一緒に事業を運営したい」といった場合は、最初から通常の起業で計画を立てましょう。
自分一人で運営する必要がある
プチ起業は費用を抑えて小規模な事業運営となるため、基本的に自分一人で全ての仕事を行う必要があります。
そのため経理や法的手続き、マーケティングなどの業務も専門的な知識を持つ方に頼ることはできません。幅広い知識を習得して、自ら実行する必要があるのです。
大規模な起業であれば、税理士やコンサルタントに依頼する手段も取れるため、プチ起業のデメリットといえるでしょう。
また、悩んだ際の相談相手がいない点もデメリットとなります。起業前に悩みを相談できる相手を見つけられれば理想です。
本業に支障を与える可能性がある
副業でプチ起業を行う場合、本業に支障を与えるリスクが発生します。
本来休息に充てる時間を事業に費やしているため、心身の負担が増える可能性があります。その結果、体調不良や本業での集中力低下を招いてしまっては本末転倒といえるでしょう。
副業でプチ起業を行う場合は、本業とのバランスが重要です。あくまでも本業がメインと考えて無理のない計画を立てましょう。
プチ起業でおすすめの職種
プチ起業に向いている職種は様々ですが、それぞれ特徴やメリット・デメリットがあります。自分の目的やスキル、ライフスタイルに適した職種を選ぶことが大切です。
ここではプチ起業でおすすめの職種を大きく5つ紹介します。
請負ビジネス
請負ビジネスとは、クライアントの依頼に対する成果物の納品によって報酬を得るビジネスモデルです。
【請負ビジネスの職種の例】
ライター
プログラマー
デザイナー
イラストレーターなど
自身のスキルを売る仕事であるため、過去の経験を活かしやすい点が特徴です。中にはWebライターなどの参入障壁が低い職種も存在します。
また、成果物に対して報酬を得るため即金性が高く、特別な機材が不要である点も魅力です。費用を抑えて開業できるため、稼働した分だけ収入を得られる起業アイデアといえます。
一方で、専門的なスキルがなければ報酬は上がりにくいです。開業後も日々スキルアップする意識を持ちましょう。
他にも、稼働した分だけ報酬を得られるフロー型のビジネスモデルのため、病気やケガで稼働できない期間が生じてしまうと収益が止まってしまう点にも注意が必要です。
Webサイト運営
Webサイト運営は、自身で運営するサイトの広告収入やアフィリエイト収入を得るビジネスモデルです。
サイトの閲覧数に応じて収入も上がるため、成功すれば大きな成功を目指せます。また、サイトや作成した記事が資産として残り続けるため、稼働ができなくなっても報酬が入る点も大きな魅力です。
ただし、収益の発生まで中・長期的な期間が必要となります。実際に収益が出る前に挫折してしまう方も多いです。
また、稼働時間を取っても方向性が間違っていれば思うように収益は伸びない点に注意しましょう。
講師・アドバイザー・コンサルタント
自分の好きな分野や得意分野を活かしつつ、人と接する仕事がしたい方は講師やアドバイザー、コンサルタントもおすすめです。
自身の経験やスキルを活かしやすく人々の助けにもなるため、大きなやりがいを感じられるでしょう。
アドバイザー系のプチ起業は、スキルや分野の数だけ業種があります。
【アドバイザー系の職種の例】
趣味系の教室(ネイルアートやハーバリウムなど)
セミナー講師(営業スキル講座やプログラミング講座など)
勉強会の講師(子育てアドバイザーなどの民間資格を活かした内容など)
ただし、職種によっては実際の店舗を構える必要があります。レンタルスペースなどを有効に活用して、費用を抑えながら運営を行いましょう。
ネットショップ運営
ネットショップ運営もプチ起業におすすめの職種です。
ネットショップ運営は実店舗と比べると、家賃や人件費を抑えられます。また、全国の消費者をターゲットにできるため、ニッチな業界で勝負できる点も魅力です。
ただし最低限の在庫の準備や、仕入れや発想を行うスペースが必要となります。またネットショップ開設の方法が多岐に渡り、競合も多いため、適切な知識を習得して戦略を練ることが大切です。
ネットショップの開業については以下の記事で詳細に解説しています。ネットショップ運営に興味がある方はぜひご覧ください。
ハンドメイド作品の製造・販売
アクセサリーや雑貨などのハンドメイドが好きな方は、作品を制作・販売する事業も選択肢の一つです。
上記のネットショップと関連する事業内容ですが、在庫を抱える心配はほとんどなく、顧客のニーズにも応えやすい点が魅力といえます。
ハンドメイド作品の販売は既存のショッピングサイトやフリマアプリの利用が一般的です。しかし自らネットショップを立ち上げて経営している事業者も少なくありません。
最初はショッピングサイトを利用し、様子を見ながら個人サイトでの販売を検討すると良いでしょう。
プチ起業を成功させるコツ
当然ですが、プチ起業は全員が成功できるわけではありません。起業のハードルが低いからといって、何も考えずに事業を立ち上げてしまうと失敗の原因となるため注意しましょう。
ここでは、プチ起業を成功させるためのコツを4点解説します。
目標から逆算して行動する
プチ起業では目標から逆算して行動しましょう。
例えば目標が収入アップであれば、具体的にどのくらいの収入を目指すかを決めましょう。そして、どのくらいの稼働量や稼働内容、売上高で達成できるかを判断します。
目標が曖昧なまま闇雲に事業を始めてしまうと「方向性を間違った」「過度にリスクを取ってしまった」などの失敗に繋がります。
目の前の目標はもちろん、理想の将来像を踏まえた運営ができれば理想です。
事業計画を作成する
事業規模が小さい起業でも事業計画を作成することがおすすめです。
事業の目的や財務計画などを明確にして準備を進め、ビジネスモデルに問題がないかを検証すれば、失敗の確率を下げられます。
プチ起業での事業計画は通常よりも決定事項が少ないですが、最低限以下のポイントは明確にしましょう。
・事業の概要
・コンセプト
・商品とサービスの内容
・現状分析
・販売戦略
・財務計画
事業計画書の作成については、以下の記事で詳細に解説しています。事業計画の作成のイメージが付かない方は参考にしてください。
固定費・初期費用を最小限に抑える
プチ起業の成功には固定費と初期費用を最小限に抑えることが大切です。
プチ起業は事業の規模が小さいため、莫大な売上高の達成は難しいです。それにも関わらず初期費用や固定費を増やしてしまうと、中々利益を出せず、借入金の返済にも手が回らなくなる危険性が生じます。
反対に初期費用が少なければ事業のリスクは低下し、固定費が少なければ小さい売上高でも利益を出しやすくなります。
資金の投入は事業が軌道に乗ってからでも遅くはないため、最初はできるだけ資金を使わないで事業を立ち上げましょう。
事前にスキルや人脈を構築する
起業前にスキルの習得や人脈の構築を行いましょう。
プチ起業は個々のスキルが収入に直結するケースが多いです。また、起業を行うとスキルアップや会計業務の勉強が取れないケースも多いため、起業準備の段階で学習を行いましょう。
またプチ起業は一人での事業運営となりやすいため、相談相手を見つけておくことも大切です。起業家向けのセミナーや交流会、SNSなどを活用して信頼できる人脈を構築しましょう。
プチ起業を始める際の注意点
プチ起業を始める前に確認すべき注意点があります。これらを知らずに開業してしまうと、大きな損失を生む可能性があるため注意が必要です。
ここでは、プチ起業を始める際の注意点を3点解説します。
副業を容認していない企業も多い
副業でプチ起業を行う場合は、在籍している企業が副業を容認しているかを確認しましょう。
現在は働き方改革によって副業が推進されていますが、未だ全面禁止にしている企業も多いです。副業が禁止されているにも関わらず起業をしてしまうと、就業規則違反で罰則を受ける可能性があります。
ほとんどの場合は副業について就業規則に定められているため、必ず確認をしましょう。
もし副業が禁止されている場合は、就業規則に従うことが大切です。どうしてもプチ起業をしたい場合は、副業を容認している企業への転職か独立を検討しましょう。
開業届の提出が必要になるケースもある
プチ起業を個人事業主の事業規模(事業所得)で行う場合は、開業届の提出が必要です。
個人事業主の事業に該当するか否かの基準は「反復性」「継続性」「独立性」の3つです。これらを満たしている場合は個人事業主の事業所得と認められるため、管轄の税務署に対して開業届の提出を行いましょう。
また、同時に青色申告承認申請書の提出もおすすめです。青色申告の活用によって最大65万円の特別控除といった特典を受けられるため、税負担の軽減に繋がります。
一方で上記の基準に当てはまらない場合の所得は雑所得となります。雑所得の場合は開業届の提出が不要ですが、青色申告の活用もできない点に留意しましょう。
なお、事業所得に該当するか否かを最終的に判断するのは管轄の税務署です。どちらに該当するか悩んだ場合は直接問い合わせを行いましょう。
確定申告が必要になる
プチ起業で所得を得ると、原則として所得税の確定申告が必要となります。
確定申告とは1年間の所得から所得税額を確定し、納付を行う制度です。会社員とは異なり、自分で税額を算出して自分で納付手続きを行う必要があります。
所得があるにも関わらず確定申告をしないと、延滞税や加算税の原因となります。結果として本来支払うべき税額よりも多くの金額を徴収される可能性があるため注意しましょう。
なお、年間の副業所得が20万円以下の場合などは、確定申告の手続きが免除されます。副業でプチ起業に取り組む場合は確定申告が必要か否かも確認しましょう。
会社員の確定申告については以下の記事で詳細に解説しています。副業でプチ起業に取組む方は、ぜひ確認してください。
バーチャルオフィス・レンタルオフィスの活用もおすすめ
プチ起業は自宅で起業できる点が大きなメリットとなります。しかしその反面、以下のような危険性も生じます。
・住所の公開や郵便物によるプライバシーの問題の発生
・アパートの住所が事業所の住所となる信頼感の低下
・生活と仕事の混在による集中力の低下
これらのデメリットを解決するためにも、バーチャルオフィスやレンタルオフィスの活用がおすすめです。
バーチャルオフィスとは|特徴やメリットを解説
バーチャルオフィスとは、事業用の住所をレンタルできるサービスです。実際のスペースは借りられませんが、その分安価に利用ができます。
バーチャルオフィスの利用によって以下のようなメリットが生じます。
・住所の公開や郵便物によるプライバシーの問題を解決
・一等地や有名ビルの住所を使えるため事業の信頼性が向上
また業者によっては、郵便物や電話の転送といった事業サポートを受けられる場合があります。
プチ起業の強みを活かしつつデメリットを解決できるため、自宅で仕事を行う幅広い方におすすめです。
レンタルオフィスとは|特徴やメリットを解説
レンタルオフィスとは、専有できる空間をレンタルできるサービスです。賃貸で事業所を借りるよりも安価に利用ができ、事業所として住所の公開も可能です。
レンタルオフィスの活用によって以下のようなメリットが生じます。
・仕事と生活を完全に分けられる
・通信環境や机などを揃える必要がない
・プライバシーの問題や信頼性の問題を解決
バーチャルオフィスと同様に事業サポートを受けられる場合もあるため、生活圏内に業者がないかを確認してはいかがでしょうか。
この記事の執筆者
久田敦史
株式会社ナレッジソサエティ 代表取締役
バーチャルオフィス・シェアオフィスを通して1人でも多くの方が起業・独立という夢を実現し、成功させるためのさまざまな支援をしていきたいと考えています。企業を経営していくことはつらい面もありますが、その先にある充実感は自分自身が経営をしていて実感します。その充実感を1人でも多くの方に味わっていただきたいと考えています。
2013年にジョインしたナレッジソサエティでは3年で通期の黒字化を達成。社内制度では週休4日制の正社員制度を導入するなどの常識にとらわれない経営を目指しています。一児のパパ。趣味は100キロウォーキングと下町の酒場めぐり。
【学歴】
筑波大学中退
ゴールデンゲート大学大学院卒業(Master of Accountancy)
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