働き方改革によって副業・兼業が推進されている現代において、副業を認めている会社や副業に興味を持つ会社員は増加しています。
副業を行うことによって、給与所得以外の収入を得られるだけでなく、様々なメリットにも繋がります。しかし、副業には一定のリスクがあることも事実です。
そのため、副業によって人生を豊かにするためにも、副業で発生するリスクや対処法を理解することは必須と言えます。
そこで当記事では、副業のリスクや対処法、低リスクの副業等を解説しているため、是非参考にしてください。
目次
現在副業が推進されている
現在日本では副業・兼業が推進されています。
その結果「会社員は会社の給与所得のみで生活する」という意識から「給与所得以外の収入源を作る」といった考えに移り変わってきているのです。
副業が推進されている背景
副業や兼業が推進されている背景には「働き方改革」があります。
働き方改革とは、人々の労働環境を見直す取り組みのことで、厚生労働省が主体となって政策を行っています。主な目的は「個々の実情に応じた働きやすい環境の実現」です。
そして、働きやすい環境の実現を達成するための手段の1つとして「副業・兼業」が推進されているのです。
副業を認めている会社の割合は?
現在は副業を認める企業が増加傾向にあります。
実際に、株式会社パーソル研究所が行った2021年の調査によると、副業を全面容認している企業は全体の23.7%、条件付きで容認している企業は全体の31.3%となっています。つまり、全体の半数以上の企業が、何かしらの形で副業を認めているということです。
これは、2018年の調査から3.8%増加しており、これからも増加し続けることが予想されます。
参考:パーソル総合研究所、副業に関する調査結果(企業編)を発表副業を容認している企業は55%。2018年比で3.8ポイント増とさらに容認進む – パーソル総合研究所
副業を行う魅力3選
現在推進されている副業ですが、実際に様々なメリットを受けることができます。
ここでは、副業を行う魅力を3点解説します。
収入が増加する
副業を行うことによって、総収入額が増加します。実際にマイナビ転職の調査によれば、副業収入の平均値が「59,782円」となっています。つまり、現在の給与収入に加えて約6万円の収入アップが望めるということです。
その結果、生活の質が向上するだけでなく、将来や自分への投資も可能となるでしょう。
更に、副業で月20万円以上稼いでいる人も一定数存在します。そのため、中には「独立開業」という選択肢を得られる可能性も十分にあるのです。
参考:副業の平均月収は「59,782円」。希望と実態のギャップは「72,764円」で半分に届かず|キャリアトレンド研究所
柔軟な働き方ができる
副業をすることによって、柔軟な働き方が可能となります。場所や時間を問わない副業は数多く存在するためです。
実際に、育児や介護の合間や帰宅後の夜間、土日のみの稼働で副収入を得ている方は数多くいます。
十分な時間や、従業員として働ける環境がない方にとっても、副業ならば自分に合った働き方をすることができるのです。
スキルアップにも繋がる
副業をすることで、本業では得られないスキルを習得できます。
普段は自身の部署の仕事しかしない方であっても、副業をすることでビジネス全体の流れを理解することができます。その結果、本業でも経営全体を意識しながら業務に取り組めるため、生産性の向上が期待できるでしょう。
また、副業でスキルを身に付けることによって、転職・独立の準備ともなります。特に独立の場合、副業での基盤がある中での起業となるため、低リスクで事業を開始することが可能となります。
副業で発生するリスク7選
様々な魅力がある副業ですが、一定のリスクがある点に注意が必要です。
ここでは、副業で発生するリスクを7つ解説します。
本業でのパフォーマンスが低下するリスク
副業をする場合、本来休息に充てるべき時間を割くということです。そして、副業に割く時間を取りすぎた場合、心身の疲労に繋がる可能性が発生します。
疲労がある中で本業に取り組んだ場合、本業のパフォーマンスが低下するリスクがあります。副業に力を入れるあまり、本業が疎かになっては本末転倒と言えるでしょう。
本業でのコミュニケーションが悪化するリスク
副業に力を入れる場合、会社の同僚や上司とのコミュニケーションが悪化するリスクが発生します。仕事以外の時間を副業に使用するため、会社外でのコミュニケーションを取る時間が無くなるためです。
また、中には副業収入を得ていることを良く思わない方も存在します。
これらが原因で人間関係が悪化すると、本業のパフォーマンスが低下するだけでなく、本業が充実しない原因にもなってしまうため注意が必要です。
就業規則違反となるリスク
副業を行うことが就業違反となるリスクも存在します。
現在は副業・兼業が推進されていますが、副業を全面禁止としている企業も少なからず存在します。禁止されているにも関わらず副業をした場合、就業規則違反となり、重い処罰を受けるリスクも生じるでしょう。
副業が原因となって本業に不利益を与えたら本末転倒であるため注意が必要です。
法的トラブルが自己責任になるリスク
副業を開始すると、法的トラブルが自己責任になるリスクが発生します。
会社員の場合、仕事で法的トラブルが起こっても、会社が対処をしてくれます。しかし副業の場合は、法的トラブルは自己責任であり、自ら対処を行う必要があるのです。
法的なトラブルに巻き込まれた場合、経済的な損失はもちろん、信用を失うリスクも発生します。そのため、各種法律に関する知識や対策は必須と言えるでしょう。
経済的損失のリスク
副業であっても「事業」であるため、経済的な損失を受けるリスクが生じます。具体的には「事業での赤字」「売掛金の未払い」等が挙げられます。
給与所得者であれば業績に関わらず一定の金額を得られますが、副業の場合は違います。
労力や時間を使ったにも関わらず十分な収益が得られない、もしくは損をしてしまったというケースも存在するため注意が必要です。
申告漏れのリスク
副業を行うことで、申告漏れが発生するリスクが生じます。
副業で得た利益は、雑所得として所得税の課税対象となります。それにも関わらず申告手続きを行わないと、税務署から罰則を受ける恐れがあるため注意が必要です。
具体的な罰則は、延滞税や加算税等です。これらの罰則を受けてしまうと、本来支払うべき税額よりも多くの金額を納付する必要があります。
副業詐欺に遭うリスク
副業を始めようとする場合、副業詐欺に遭うリスクも発生します。
具体的には以下のような詐欺が挙げられます。
・高額セミナーへの参加
・情報商材の購入
・マルチ商法への勧誘
・無益なオンラインサロンへの加入
実際に消費者庁でも注意喚起されるほど問題視されており、被害に遭ってしまうと時間や労力、金銭的な損失を被る恐れがあるため注意が必要です。
参考:消費者庁 参考事例
副業でのリスクを顕在化させないためのリスクヘッジ6選
上述した通り、副業には様々なリスクが存在します。安全に副業をするためにも、副業でのリスクを顕在化させないためのリスクヘッジが重要です。
そこでここでは、副業をする際に注意するべきポイントを6点解説します。
本業と副業のバランスを考える
副業を行う際は、本業とのバランスを考えることが大切です。
上述した通り、副業での疲労によって本業に悪影響を与えては本末転倒となります。そのため、副業をするにしても休息の時間は確実に取り、過度な疲労を残さないようにしましょう。
余裕を持って事業に取り組むことで、事業の質が向上し、結果として副業が成功するきっかけとなることも望めます。
また、会社内での良好な人間関係を保つための独力も重要です。良好な人間関係を保つことによって、本業も充実し、生活の質はより高まるでしょう。
就業規則を厳守する
副業への取組みを検討した際は、就業規則を遵守することが大切です。
副業禁止の企業で副業を行ってしまっては、就業規則違反となるためです。
そのため、自身の所属する企業は副業が可能かを事前に確認しましょう。不安な場合は上司や総務部に確認することをおすすめします。
これらを事前に確認することで、就業規則違反で罰則を受けることはなくなります。
また、副業が禁止されている場合は、基本的に副業はしないように心掛けましょう。
必要な法律知識を事前に得る
本格的に副業を始める前に、副業に必要な法律知識を習得しましょう。具体的に必要な知識には以下のようなものがあります。
・許認可に関する知識(古物商許可等)
・業務に必要な法律知識(著作権法、個人情報保護法等)
・各種税法(所得税法等)
これらの知識を事前に習得することによって、副業でのトラブルを回避することができるでしょう。
現在は無料で開催されるセミナーも多いため、知識の習得のために参加するのもおすすめです。
スモールビジネスで副業を開始する
副業はスモールビジネスで開始するのがおすすめです。スモールビジネスとは、初期費用や固定費を押さえて、小さな事業規模で経営を行うことです。
スモールビジネスで副業を行うことによって、赤字による損失を抑えることができます。そのため、万が一事業に失敗しても大きな損害を受けることはありません。
将来的に事業を大きくしたい場合であっても、最初は小規模で初めて、徐々に規模を大きくすると良いでしょう。
適切な申告手続きを行う
副業所得を得る場合は、適切に申告手続きを行いましょう。副業での所得は雑所得に分類され、所得税の課税対象となるためです。
ただし、副業所得が20万円以下で、以下の条件を全て満たしている時に限り確定申告が不要となります。
・給与収入が2,000万円以下
・給与の支払元が1ヶ所
・年末調整が適切に行われている
また、これらに該当する場合は確定申告の義務はありませんが、確定申告をすることで還付金を受け取れる場合があります。具体的には「年末調整の対象でない所得控除を受ける場合」や「副業で源泉徴収がされている場合」等です。
副業所得20万円以下で確定申告が不要なのは「所得税」のみ
また、副業所得20万円以下で確定申告が不要となるのは、あくまでも「所得税」についてです。所得税の確定申告をしない場合は、住民税の確定申告が必要となる点に注意しましょう。
つまり、副業所得がある方は、所得税か住民税のいずれかの申告手続きを行う必要があるということです。
住民税の申告を行わないと、正しい住民税額や社会保険料が算出されないため注意が必要です。
会社員の副業における確定申告については、以下の記事で詳しく解説しているため是非参考にしてください。
参考:会社員の副業は確定申告が必要?申告が不要な条件や手続きの流れを分かりやすく解説
副業に関する情報を吟味する
副業を検討している場合は、全ての情報を鵜呑みにせず、自身で情報を吟味しましょう。
特に「すぐ稼げる」「大金を稼げる」といった謳い文句には注意が必要です。
自身で副業に関する情報を吟味することで、詐欺や悪質な案件の被害に遭うリスクを減らすことが可能となります。
副業は会社にバレる?バレないためにするべきこととは?
会社が副業可能であっても、副業をしていることをバレたくない方も多いでしょう。
何も対策せずに副業をしている場合、会社にバレるリスクは高いです。そのため、副業が会社にバレる原因や対策を確認することが重要と言えます。
副業が会社にバレる原因とは
副業が会社にバレる大きな原因は、住民税額です。
会社員の場合、住民税は収入の額に応じて給料から天引きされます。つまり、副業所得が多い場合、それだけ多くの住民税を天引きされるということです。
この天引きの額の多さから、本業収入以外の収入があるとバレてしまうのです。
副業がばれないためにするべきこととは?
住民税の天引き額によって副業をバレないようにするには、住民税の納付方法を変更する必要があります。
具体的には副業の確定申告をする際、確定申告書第二表の「給与・公的年金等に係る所得以外の所得に係る住民税の納付方法の選択」欄の「自分で納付」にチェックを入れましょう。
こうすることで、副業で得た収入分の住民税は納付書での納付となるため、会社から天引きされることはありません。そのため、住民税の額で副業がバレるリスクを防止することができます。
リスクを抑えて始められるおすすめ副業5選
副業のリスクを抑えるためには業種選びが非常に重要です。
ここでは、リスクを抑えて始められるおすすめの副業を5つ解説します。
Webサイト運営
Webサイトの運営は副業に適した仕事です。主な収入源はアフィリエイトや広告収入となります。
Webサイト運営は初期費用や固定費が低いため、低リスクで開始することができます。また、収入も青天井であるため、効果的に運営できれば大きな副収入ともなるでしょう。
一方で、収入が発生するまでは一定期間を要するため、即金性に乏しい点がデメリットです。開始する際は、長期的な目線で取り組むことがおすすめです。
Webライター
Webライターとは、Web上に掲載される記事を作成する仕事です。初期費用・固定費が少なく、特別なスキルも必要ないため、副業にもおすすめです。
Webライターとして働くには営業活動が必要ですが、クラウドソーシングサービスを活用することによって、容易に案件の獲得が可能となっています。
また、比較的即金性が高い点もおすすめのポイントです。
動画配信
YouTubeやライブ配信アプリ等の動画配信プラットフォームを用いた副業もおすすめです。主な収入は、動画の再生数に応じて支払われる広告収入です。
現在はネット動画市場や、ネット広告市場が拡大しているため、今後も高い需要があると予想できます。
また、動画の再生数に応じて報酬を得られるため、多くの収入に期待できる点もポイントです。
現在は投げ銭や有料コミュニティ等、稼ぎ方も多様化しているため、様々な形で収益を得ることができるでしょう。
システム開発・Webサイト制作
システム開発やWebサイト制作も副業に向いている仕事です。基本的にはパソコン1つでできる仕事であるため、低リスクで開始可能です。
専門のスキルが必要となるため未経験者には難易度が高いですが、単価が高額な場合も多く、十分な副業収入を期待できます。
需要も拡大傾向にあり、案件も見つけやすい点も魅力と言えるでしょう。
物販業
物販事業もおすすめの副業です。現在はインターネットを活用することによって、仕入から販売までをオンラインで完結できるためです。
しかし、事業として行う場合は関連する法律が多いため、事前に知識の習得を行いましょう。特に最近では、デジタルプラットフォームを利用する消費者を保護するための「デジプラ法」が話題となっています。
デジプラ法の詳細は以下の記事に詳しくまとめているため是非参考にしてください。
参考:消費者保護につながる「デジプラ法」とは?内容や対象者、生じる変化を分かりやすく解説
まとめ
当記事では副業のリスクやリスクに対する対処法、おすすめの副業等を解説しました。
副業を行うことで、本業以外の所得を柔軟に働き方で得ることができます。
しかし、メリットだけでなく、以下のようなリスクがある点に注意が必要です。
・本業でのパフォーマンスが悪化するリスク
・本業でのコミュニケーションが悪化するリスク
・就業規則違反となるリスク
・法的トラブルが自己責任になるリスク
・経済的損失のリスク
・申告漏れになるリスク
・副業詐欺に遭うリスク
これらのリスクを顕在化させないためにも、正しい対処法を身に付けることが重要です。
正しい対処法を身に付けたうえで副業ができれば、より生活が豊かになるため、副業に興味のある方は是非参考にしてください。
この記事の執筆者
ナレッジソサエティ編集部
ナレッジソサエティ編集部
2010年設立の東京都千代田区九段南にある起業家向けバーチャルオフィス「ナレッジソサエティ」です。2010年からバーチャルオフィス・シェアオフィス・レンタルオフィスの専業業者として運営を行っております。バーチャルオフィスのこと、起業家に役立つ情報を配信しています。「こういう情報が知りたい」といったリクエストがあれば編集部までご連絡ください。
起業のノウハウ
バーチャルオフィス
九段下駅徒歩30秒!?超好立地シェアオフィス「ナレッジソサエティ」
東京のバーチャルオフィス徹底比較(1)ナレッジソサエティ
【満員御礼】公益財団法人まちみらい千代田主催 公的支援機関の制度・助成金・融資活用講座