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学生起業をして成功した経営者たち(サメイ・コーリ編)

[投稿日]2022/02/13

学生起業をして成功した経営者たち(サメイ・コーリ編)

学生起業をしてみたいという人は数多くいます。しかしながら実際に学生起業を行い、大きな成功を収める、というイメージが湧きにくいことも事実です。そこで、今現在日本国内や世界で活躍している経営者の中で、学生時代に事業を起こした人物についてピックアップし、どのようなルートで起業に至ったのか、その生い立ちなどに迫っていきます。

今回は、少し聞き馴染みのない企業かもしれませんが、「GreyOrange」という会社の創業者であるサメイ・コーリ氏について取り上げたいと思います。

GreyOrange社が行っている事業は、主に物流倉庫などで使われるロボットを開発している会社です。2011年にインド・ハリヤナ州で設立された会社です。

物流倉庫の未来とも言えるロボット機器を作り上げたストーリーに迫っていきます。

サメイ・コーリって?

「GrayOrange」とはどのような会社なのか

今回紹介する「GrayOrange」という会社が行っている事業は、物流倉庫における自動ロボットを提供している会社です。物流倉庫と言われるとAmazonなどの倉庫を思い浮かべると思います。このような物流倉庫は日本全国に様々存在していおり、当然のことながら世界中に存在しています。

この物流倉庫で自動ロボットが何を行うのかというと、商品を保管している場所から詰め込む場所まで自動で運んだり、逆に運ばれてきた荷物を一時保管する場所まで運ぶ作業をしてくれるロボットです。

皆さんのイメージでは、手作業で荷物を倉庫に運び入れていたりすると思われがちです。しかしながら近年はロボットが自動で作業をする倉庫も着実に増えてきています。

この物流倉庫ロボットの分野で、近年目覚ましい成長を見せているのが、今回紹介するGreyOrangeです。インド発のロボットベンチャーで現在の時価総額は1億7000万ドル(約170億円)にも上っている起業です。日本でも家具販売メーカーの「ニトリ」や、大和ハウス工業、運送会社の倉庫などで活用されています。

創業するまでの道のり

GreyOrangeは、創業者でCEOを務めるサメイ・コーリ氏と、共同創業者で現在もCTOを務めるアカシュ・グプタ氏の2名で設立されました。2人はインド有数の工科大学である、バーラ・インスティテュート・オブ・テクノロジー・アンド・サイエンス(BITS)に在学し、ともにロボット工学を研究していました。BITSはインド工科大学(IIT)に較べ日本での馴染みは薄いものの、インド国内の工科大学ランキングTop10に常に位置しており、最近では起業家を数多く輩出する大学として有名な大学になっています。

大学在学中に、サメイ・コーリとアカシュ・グプタはAcYut(アクユット)と称するヒト型ロボットの開発に2人はインド国内の開発者として初めて成功しました。このときサメイ・コーリはロボット制作のためのコードの記述方法と、ロボットの機械的構造について学びます。

2008年、ロボットの競技大会に参加するためにサメイ・コーリとアカシュ・グプタのチームは日本へと訪れることになりました。この時にはすでに、翌年のROBOlynpics(ロボリンピック)に出場するために開発を行っており、更なるロボット開発を進めていくことになります。この大会によって、初めて自分たちのロボットが世界の中ではどれほどの技術力だったかを測ることができたそうです。2009年、サンフランシスコで開催されたROBOlynpics(ロボリンピック)に、サメイ氏らはインド代表として実際に出場しました。13カ国からの参加者の中で彼らのロボットは3位に輝きました。

2009年の終盤ごろからは、ロボリンピックでの活躍もあり、アメリカのルイジアナ大学でインターンシップを経験します。ここではまず初めに、自動運転のプロジェクトに参加します。大学でインターンシップをしている中で、彼らは、CTechnologiesのCEOと出会い、CTechnologiesのロボットの制作を手伝うことになり、船で使うソナーを改良するプロジェクトに彼らは参加することになります。このソナーが、彼らが携わった最初の商業製品になりました。

2010年になり、サメイとアカシュらのチームは再びロボリンピックに参加しました。ここではなんと、1位と2位を獲得することになります。この年、彼らはドイツのBMWの製造工場へと視察へ訪れます。そこで目にしたロボットなどを見て、作業の自動化に対する必要性を学びました。

起業〜物流ロボット開発まで

2011年1月に「ロボット工学の教育」をという事業を中心に、Grey Orange Roboticsを立ち上げました。2人はインターンシップで貯めた資金を使い、インドで起業をします。

2人は起業して間もない頃、それまでの経験や知識を生かして大学や研究機関で講義を行っていました。インドでのロボット工学分野の教育事業を推し進めるべく、講義などを行っていたのですが、そのうち自分たちはものづくりが得意であって、大学などでロボット工学を教えることに強みがあるわけではない、と気づきます。その結果大学などでの講義はわずか数ヶ月で辞めてしまうことになります。

教育の世界から離れた2人は本格的にロボット制作の道を進みます。まず、どのような業界、分野において自分たちのロボット知識や経験が活かせるのかリサーチを行いました。これからの成長が大きく見込まれる分野をリサーチした結果、物流業界でロボット開発を行うことで、業界としても大きな成長を見込むことが出来るのではないかという結論に至たりました。倉庫業界では60年前に登場した自動倉庫以来、目立ったイノベーションが生まれていないことにサメイは着目していました。2人はこの分野でロボット開発に取り組みます。

GreyOrangeの提供するロボットサービス

今現在GreyOrangeが提供しているサービスは主に4つあります。商品を棚からピッキングするロボットである「Ranger GTP」のほか、パレット搬送ロボット「Ranger IL」、小口仕分けロボット「Ranger MoveSmart」、ケース搬送ロボット「Ranger TTP」など、物流に関する様々なロボットを開発しています。

この中でも初期から提供されているのは「Ranger GTP」です。これはAIとロボットを駆使して、倉庫内での物品の格納、そして出荷する際のピッキングなどをロボットが人間に支持し、移動する部分ではロボット自らが最適なルートや配置を計算し、最適な配置で倉庫内に格納されていきます。

通常、倉庫で働いている人は、8時間で約100〜120個の物を選んでいました。しかしながら、このロボットを使用を使用しながら運ぶことにより、運ぶことの出来る寮が最大で1時間に400〜600個のものを運ぶことが出来るようになります。

それだけではなく、人間が関わる部分の作業も必要最低限の動きになり、またAIが指示した作業を行うことによって、劇的にミスを減らすことが可能になります。業務を単純化することには他にも多くのメリットが有り、採用した人がすぐに即戦力として働くことができるという利点もあります。

GreyOrangeの物流倉庫ロボットは、インド国内の自動化市場のシェア92%を誇っています。更にインド国内はとどまらず、アメリカ、イギリス、ドイツ、日本にまで事業を拡大しています。

GreyOrangeの提供するロボットの特筆すべき点として、AI機能の優秀さが挙げられています。倉庫にある商品は季節やタイミングによってその時時でよく出荷されるもの、たまにしか出荷されないものが出てきます。日本の場合、四季がはっきりしているため、季節によって出荷頻度の高い商品などは変わってくるものです。GreyOrangeのシステムはこの四季における出荷頻度のバラツキや、その時時のトレンドなどに合わせて配置することが出来るのです。荷積み場所に近い場所に頻度の高い商品を配置し、逆にそこまで出荷される回数がないものは奥側に配置することによって、より効率的にピッキング作業を行うことができます。

それだけでは有りません。セットでよく購入されるとAIによって判断された商品は、同じラック内に置くように人間に指示を出すこともできます。同じ棚にはおけない場合でも、近くに配置できるように自動で判断されます。こうすることによって更に倉庫内での効率を高め、作業を最適化することができるのです。
更には、専用ラック内の収納位置さえも最適化します。ラックの中で、更に分析を行い最もよく出荷されるような物品は人間が取りやすい胸付近に配置するようにシステムが指示を出してくれるのです。このように徹底的に効率化をすることによって、物流倉庫におけるコストの削減などに大いに役立っています。

CEOのサメイ・コーリ氏は、日本を始めとした世界中でこのロボットを普及させていくと語っていおり、今現在も導入されている現場は日に日に増えています。

まとめ

いかがでしたでしょうか。日頃の私達の生活ではあまり目にすることがない物流倉庫ですが、そこには様々なイノベーションが今現在も起きています。人間が行っていた倉庫での作業はこのようなロボットと共存し、さらなる効率化が進み続けています。

今回取り上げたGreyOrangeのサメイ・コーリ氏らは、大学生時代やインターン時代に学んだロボット制作の知識、AIの知識を駆使して物流倉庫業界の自動化ロボットに参入しました。学校で学んだことを生かして、どのような分野で活かせるかリサーチした結果、今のこの成功があると言えますね。

このGrayOrangeが成長し、世界中の倉庫にロボットが導入されることによって私達通販体験は更に進化するかもしれません。中々目には見えにくい分野ですが、これからも目が離せませんね。

 

この記事の執筆者

片島聖矢

片島聖矢

ELPIS Inc, 代表

日本大学芸術学部写真学科在学中の片島聖矢と申します。

高校生時代からマネジメントやデザインなど、様々な分野に興味を持ち、制作活動などを行ってきました。

高校生時代には、広島県主催の広島創生イノベーションスクールに参加し、リーダーとしてマネジメントも経験させていただきました。そこから現在は起業し、デザイン、写真撮影、動画撮影・編集など幅広くクリエイティブな事をさせていただいております。

若さを活かし、現役大学生ならではの視点で情報をお届けしていきたいと思います。よろしくお願いいたします。

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