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株式発行とは|メリット・デメリットや手続きの流れ、注意点をわかりやすく解説

[投稿日]2021/03/15 / [最終更新日]2023/04/17

株式発行とは|メリット・デメリットや手続きの流れ、注意点をわかりやすく解説

企業の資金調達方法は借入や社債・株式の発行、資産の現金化など様々です。

一般的に中小企業の場合は借入金を中心とした資金調達が多いですが、事業の成長度合いによっては株式発行を視野に入れた意思決定がおすすめです。

しかし株式の発行には注意点があることも事実です。

そこで本記事では、株式発行で資金調達を行うメリット・デメリットや手続きの流れ、注意点などを解説しています。各企業に適した資金調達方法を選べれば、事業が有利に進む要因となるため、ぜひ参考にしてください。

株式発行(新株発行)とは

株式発行(新株発行)とは、企業が新しく株式を発行して資金を得る手段です。

株式発行の主な目的は資金調達(増資)です。一般的に資金調達を目的とした株式発行を「通常の新株発行」と呼びます。

また、株式発行による資金調達を「エクイティファイナンス」とも言います。

一方で資金調達を目的としない株式発行は「特殊の新株発行」です。具体的には、株式分割や会社の合併による株式発行などが挙げられます。

一言で株式発行といっても種類は様々です。個々の企業の実態に合わせて手段を選ぶことが重要となります。

株主の2つの権利

発行された株式を購入して資金の出資を行うと「株主」になります。

株主には主に以下の2つの権利が認められています。

自益権

自益権とは、株式を発行している企業から配当金を受け取れる権利です。配当金は1株単位で設定されており、所有する株式数に応じた金額が支払われます。

自益権は、企業の業績の向上によって配当金を得られる「利益配当請求権」と企業が解散する際に得られる「残余財産分配請求権」に分けられます。

共益権

共益権とは、株主が企業の運営に参加できる権利を指します。

具体的には株式総会での議決権や、取締役の違法行為差止権、取締役会議事録等の閲覧権などがあります。

また、一単元株でも保有していれば認められる「単独株主権」と一定数の株式の保有が条件となる「少数株主権」に分かれている点も特徴です。

株式発行の3つの種類

株式発行の種類は、株式を割り当てる対象によって大きく3つに分けられます。

株式発行の種類によって手続きや既存株主に与える影響が異なるため、起業の実態に適した方法を選びましょう。

公募増資

公募増資とは、不特定多数の投資家を対象に株主を募集する方法です。

経営資金を広く投資家から集められ、株主や株式の流通量を増加させられます。

公募発行の株式の価格は、時価よりも若干低めに設定されることが一般的です。

時価よりも特に有利な価格で株式を発行する場合は、既存株式の利益が害される恐れがあります。その場合は株主総会で理由を説明した後に、特別決議を経る必要がある点に留意しましょう。

株主割当増資

株主割当増資とは、既存株主に対して株式を割り当てる方法です。割り当てられる株式数は、持ち分比率に応じます。

ただし、株主に支払いの義務はなく、申込および支払いがあった場合のみ株式が交付される仕組みです。

上記の公募発行とは異なり、既存株式の利益が害されることはありません。しかし株主の増加を目的とする場合には適していない点に留意しましょう。

第三者割当増資

第三者割当とは、特定の第三者に対して発行した株式を割り当てる方法です。縁故者に対して割当が行われるケースが多く「縁故募集」と呼ばれる場合もあります。

取引先等との関係性の安定化やM&Aの手法としても活用される点が特徴です。

公募増資と同様に、既存の株主の持ち分比率が変動します。既存株主の保護を念頭に入れた取り組みが重要です。

株式発行での資金調達のメリット

株式発行での資金調達には、融資や資産の現金化などと比較したメリットが複数存在します。

ここでは、株式発行での資金調達のメリットを3点解説します。

増資が可能

株主発行での資金調達によって増資が可能です。

増資を行うと経営に使える資金が潤沢になり、柔軟な意思決定がしやすくなります。

追加融資を受ける場合、多くの書類の作成が必要で、審査に通るとも限りません。一方で株式発行であれば融資程大きな手間や厳しい条件はないと言えます。

また手形割引などと比較して流通リスクがないため、債権を回収できない可能性もありません。リスクを抑えながら増資ができる点も株式発行の魅力です。

返済が不要

株式発行によって株主から払い込まれた資金は、原則として返済の必要がありません。月々の返済がないため資金繰りが良くなる結果、事業の安全性は高まり、事業規模の拡大もしやすくなります。

また、借入金のように用途の指定もないため、企業は自由に資金を使うことが可能です。

そのため、自由に使える資金を少ない手間で確保したい企業に適した方法と言えるでしょう。

財務体質の強化

株式発行による資金調達は財務体質の強化にも繋がります。

返済不要の資金を得ることで、貸借対照表上の自己資金割合が向上し、結果的に対外的な信用力も高まります。

融資等の審査や取引先との関係が有利になり、より円滑な事業展開が可能となるでしょう。

一方で、借入金を中心とした資金調達を行う場合、長期間にわたる返済を要し、貸借対照表が脆弱と判断される要因となります。

対外的な信用力が低下する原因となり、リスクを負った事業運営となる可能性がある点に注意が必要です。

株式発行での資金調達のデメリット

一方で、株式発行による資金調達にはデメリットも存在します。

ここでは3つのデメリットを解説します。

配当金を出す必要がある

上述した通り、株式発行による資金調達は返済義務が生じません。しかし、事業で利益が出ている場合は配当金を支払う必要があります。

配当は取締役会で決める事項ですが、配当に要する資金の大小は財務体質に少なくない影響を及ぼします。場合によっては借入をした場合よりも多くの額を支払う必要があるでしょう。

そのため、株式発行を行う場合は、財務や資本政策の専門家の意見を取り入れて実行することが大切です。

経営の制御が効かなくなる恐れがある

株式発行での資金調達によって経営の制御が効かなくなるリスクが生じます。株主には共益兼で経営に関与する権利が与えられるためです。

例えばベンチャーキャピタルを引受先として株式を発行し、その割合が60%といった場合、経営権を実質的に握られた状態となります。

このような極端なケースは少ないですが、株式の引受先を適切に選定したうえで、株式の発行を行うことが重要となります。

法人税額が変化する可能性がある

株式発行による資金調達によって資本金が増加すると、法人税額も増加する可能性があります。

具体的には、資本金が1億円以上になると大会社と呼ばれるようになり、年800万円以下の利益に関する法人税率が15%から23.2%に向上します。

実際に歴史のある企業でも資本金を9000万円などにしているケースが散見されることもあるのです。

また、法人住民税の均等割が資本金1,000万円の基準で変動する自治体もあります。このような規定を設けている自治体の場合は、資本金1,000万円以上に増資させない選択肢も有効でしょう。

株式発行の手続きの流れ

株式発行を行う際は複数の手続きを踏む必要があります。中には法的な手続きもあるため、流れを必ず押さえましょう。

ここでは、株式発行の手続きの流れを解説します。

募集事項の決定

株式を発行する際は会社法に定められている募集事項を決める必要があります。

【株式発行の募集事項(会社法第199条)】
募集株式の数
募集株式の払込金額
金銭以外の財産の出資の場合、その旨と財産の内容および価格
募集株式と引換えにする金銭の払込または財産の給付の期日またはその期間
増加する資本金および資本準備金に関する事項

非公開会社の場合、これらの募集事項は原則として株主総会の特別決議を経る必要があります。

一方で公開会社の場合は、取締役会での決議を経る形です。ただし、現在の株価よりも特に低い金額で株式を発行する場合は、株式総会の特別決議で決定する必要があります。

募集株式の申込・割当

募集株式の申し込みをしようとしている方に対して以下の事項を通知します。

・企業の商号
・募集事項
・払込取扱場所
・その他、申込者が知らなければならない重要事項

株式の引き受けを希望する方は、氏名と住所、申し込む募集株式の数を書面もしくは電磁的方法(企業が認める場合)で会社に伝えます。

企業は申し込みを受けた中から、株式の割り当てを受ける方と割り当てる株式の数を決定します。誰にどれだけの割り当てを行うかは企業が自由に決めることが可能です(割り当て自由の原則)。

そして、割り当てる募集株式の数を個々に通知する流れです。

出資金の払込

通知を受けた株式の引受人は、指定の払込期日までに出資金の払込みを行います。

払込の期間が定められている場合、払込を行った日が、引受人が株主となる日です。一方で払込の期日が定められている場合は、払込期日当日から株式となる形です。

なお、期限内に出資金の払込がない場合、引受人は株主になる権利がなくなる点に留意しましょう。

法務局での登記

出資金の払込期日から2週間以内に、本店住所を管轄する法務局での変更登記を行います。

費用は「3万円」もしくは「増加する資本金の額の0.7%」の多い方です。

変更登記を失念すると100万円以下の過料を課される可能性がある点に注意が必要です。

株式発行の注意点

株式発行の手続きを行ううえでの注意点が存在します。

ここでは、株式発行での資金調達の注意点を解説します。

既存株主に不利益を与えない

株式を発行する際は、既存株主に不利益を与えないことを念頭に置きましょう。

特に安価な価格で株式を発行しないのはもちろん、実施時期や発行条件などを入念に検討する必要があります。

なお、既存株主が不利益を被る場合、株主は株式発行の差し止め請求が可能となっています。

発行可能株式総数を確認する

定款には発行可能株式総数が決められています。

原則として発行可能株式総数を超す株式発行はできません。

発行可能な部式総数を超す株式を発行する場合は、株主総会を開催し変更の特別決議を行う必要があります。

株式発行に関する株主総会で同時に決議を得られますが、必要な手続きは増加する点に留意しましょう。

株式の希薄化率を確認する

株式の希薄化とは、株式の増加によって1株当たりの議決権の割合や利益が低下することを指します。また、株主の希薄化はダイリューションとも呼びます。

そして、各証券取引所は上場企業に対する規格化率の規則を定めています。

仮に希薄化率が25%以上となった場合は株式総会の決議によって、株主からの意思確認や、第三者委員会等からの意見を要します。

また、希薄化率が300%を超える株式発行は原則として禁止がされている点に留意しましょう。規則に違反した場合、上場の廃止となる場合があります。

ただし、株主や投資者の利益を損なわないと認められる場合は例外となります。

まとめ

今回は株式会社の株式発行について解説しました。

株式発行での資金調達は返済が不要で財務体質の強化にも繋がるため、円滑な事業運営の要因となります。

しかし、デメリットや注意点があることも事実です。

メリット・デメリットや株式発行の種類を適切に理解して、自社に最も適した選択を行いましょう。

この記事の執筆者

久田敦史

久田敦史

株式会社ナレッジソサエティ 代表取締役

バーチャルオフィス・シェアオフィスを通して1人でも多くの方が起業・独立という夢を実現し、成功させるためのさまざまな支援をしていきたいと考えています。企業を経営していくことはつらい面もありますが、その先にある充実感は自分自身が経営をしていて実感します。その充実感を1人でも多くの方に味わっていただきたいと考えています。

2013年にジョインしたナレッジソサエティでは3年で通期の黒字化を達成。社内制度では週休4日制の正社員制度を導入するなどの常識にとらわれない経営を目指しています。一児のパパ。趣味は100キロウォーキングと下町の酒場めぐり。

【学歴】
筑波大学中退
ゴールデンゲート大学大学院卒業(Master of Accountancy)

【メディア掲載・セミナー登壇事例】
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