後悔しないレンタルオフィスの選び方│必見のチェックポイントを11つ紹介
[投稿日]2016/08/09 / [最終更新日]2024/05/17
コストを抑えて事業の生産性を高めるには、レンタルオフィスの活用も有力な選択肢です。
しかし、一言でレンタルオフィスといっても立地や設備、料金など様々です。
各施設の特徴を理解して、自身に最も適したオフィスを選択しましょう。
本記事では、レンタルオフィスの選び方のポイント11つや注意点などを解説しています。
レンタルオフィス選びで後悔しないためにも、ぜひ最後までご覧ください。
目次
そもそもレンタルオフィスとは?
レンタルオフィスとは、専有できる個室をレンタルできるサービスです。
1つの建物のスペースを区切り、同じ住所を複数の事業者が利用します。
また机やネット回線、プリンターなどの備品が備わっている点も特徴です。
ほとんどの場合で法人登記が可能なので、小規模事業者やスタートアップ、フリーランスなど幅広い方が利用しています。
レンタルオフィスのメリット
レンタルオフィスの活用によって以下のようなメリットを得られます。
・賃貸オフィスより安価
・備品の準備が不要
・すぐに事業を始められる
・法人登記ができ許認可も取れる
レンタルオフィスの初期費用や月額料金は賃貸オフィスほど高額ではありません。
また比較的すぐに契約でき、備品を揃える必要もないので、すぐに事業を始めたい方にもピッタリです。
さらに専有できる空間があることで、シェアオフィスやバーチャルオフィスでは取得できない許認可も取得できます。
コストを抑えつつも柔軟にビジネスを展開できるオフィス形態といえるでしょう。
賃貸オフィスとの違い
レンタルオフィスは業者と締結する契約が「サービス(施設)利用契約」である一方で、賃貸オフィスは「不動産賃貸契約」です。
契約時には修繕や原状回復の範囲、債務の担保、賃料以外の費用といった内容を取り決めます。
坪単価の料金は賃貸オフィスの方が安価になりやすく、法人登記の住所が被ることもありません。
一方で内装工事や備品の調達を自身で行う必要があり、保証金も高額な傾向があります。
ビジネスにおいては事業規模が比較的大きい事業者や店舗ビジネスを運営する方が活用しているケースが多いです。
シェアオフィスとの違い
シェアオフィスとは、複数の事業者が共有してフリーアドレス制のオフィスを利用するサービスです。
レンタルオフィスと同様に備え付けの通信回線やプリンターなどを利用でき、コストも抑えやすいです。
一方で専有できる個室がない分プライバシーの確保が難しく、ネットワークセキュリティも甘い可能性があります。
シェアオフィスは起業家や人脈形成したい方、テレワークの方、フリーランスの方などに人気があります。
バーチャルオフィスとの違い
バーチャルオフィスとは、執務スペースの提供はなく事業用の住所をレンタルできるサービスです。
実際の空間を借りられない分、安価に事業用の住所を利用できます。
バーチャルオフィスは主に自宅を執務スペースにしている方に人気です。
信頼性のある住所で登記ができ、住所の公開によるプライバシーの問題も防止できる点がメリットです。
レンタルオフィスの定義や他のオフィス形態との違い、メリット・デメリットなどは以下の記事で詳細に解説しているため、ぜひご覧ください。
レンタルオフィスの選び方1.費用・契約期間
レンタルオフィスの費用は事業の固定費となるので、コストと設備のバランスを見て検討することが重要です。
また契約期間が設けられているレンタルオフィスの場合、事業の自由度が下がる要因となるため注意しましょう。
レンタルオフィスの費用
レンタルオフィスの利用で生じる費用は以下の通りです。
・初期費用(入会金・保証金)
・月額料金
・解約手数料・違約金
・オプション(会議室利用など)料金 など
費用は地域や施設によっても変わるため、個別の確認が必要です。
また料金が高い施設はその分設備やサービスが充実している傾向にあります。
単に安さだけで選ぶのではなく、自身の目的や使い方を踏まえて判断材料の1つとしましょう。
レンタルオフィスの契約期間
レンタルオフィスでは最低契約期間が設けられている場合があります。
契約期間は施設によって「1ヶ月以上」「1年以上」など様々です。
年単位など長期的な契約が必要な場合「別のオフィス形態にしたいけど違約金が発生する」といった事態にもなりかねません。
そのため「短期間での利用が目的」「事業の実態が急激に変わる可能性がある」といった場合は、最低契約期間が短いレンタルオフィスがおすすめです。
レンタルオフィスの選び方2.立地
ここでの立地とは、住所地ではなく物理的に建物がある場所を指します。
レンタルオフィスの立地を考える際は、以下の2つに着目してください。
・自宅からの所要時間
・最寄駅からの距離
ここでは、それぞれを詳しく解説します。
自宅からの所要時間
自宅からレンタルオフィスへの所要時間は、いわゆる「通勤時間」です。
通勤時間が短ければ、事業に使える時間が増えて生産性の向上に繋がります。
一方で「設備は充実しているが片道1時間かかる」といった施設では、通勤時間が無駄に感じる方もいるでしょう。
最悪の場合、いつの間にか通わなくなる可能性もあるため注意が必要です。
最寄駅からの距離
自宅からの所要時間とは別に、最寄駅からの距離も重要な要素です。
取引先や顧客がレンタルオフィスを訪れる際の利便性に直結するためです。
駅から近いレンタルオフィスを選べば、取引先や顧客にかける負担を抑えられ、気持ちよくビジネスの話を進められるでしょう。
同じ理由から、以下のような点も確認すべきです。
・レンタルオフィスまでの道のりに坂道や階段がないか
・駐車場の有無
もちろん取引先・顧客全員が細かい利便性を気にするとは限りませんが、レンタルオフィスの会議室で商談などを行う場合は判断材料の1つとしてください。
レンタルオフィスの選び方3.住所地
物理的な立地とは別に、レンタルオフィスの住所地も重要です。
なぜなら、企業の住所地はビジネスのイメージに直結するためです。
例えば、ビジネス街の一等地やネームバリューのあるビルを本店所在地として公開すれば第三者からの信頼感が向上します。
結果として顧客の獲得や取引の成約に繋がる要因となるでしょう。
一方で、アパートの一室のような住所を公開していると「本気で事業に取り組んでいるのか」と疑問に思われかねません。
そのため「レンタルオフィスの住所を登記・公開する」と考えている方は、イメージの良い住所か否かも意識してください。
レンタルオフィスの選び方4.利用人数
レンタルオフィスのスペースの広さは様々です。
個人向けの小規模な施設から、2~5名程度で使えるタイプ、10名以上で使えるタイプまであります。
個室が広くなれば料金も高額になりますが、利用予定の人数で使えなければ本末転倒です。
そのため複数人で利用する場合は「全員が快適に使える広さか」を確認しましょう。
また「将来的にメンバーが増えるかもしれない」といった状況の場合は、複数の広さの個室を取り扱う施設がおすすめです。
同じ施設内で部屋の異動ができれば、住所の変更をせずに利用人数に合わせて利用できます。
レンタルオフィスの選び方5.完全個室or不完全個室
レンタルオフィスは専有できる個室を借りられますが、厳密には「完全個室」と「不完全個室」に分けられます。
それぞれメリット・デメリットがあるため、特徴を確認して目的に合った形態を選びましょう。
完全個室とは│メリット・デメリット
完全個室のレンタルオフィスとは、隣のスペースとの間が完全に壁でシャットアウトされた形態を指します。
隣接するスペースを隔てた壁が天井から床まであり、個室に足を踏み入れる際には鍵付きの扉がある状態です。
完全個室のレンタルオフィスはプライバシー面で優れています。
電話の話声もある程度遮断でき、重要な書類などをオフィスに残しても問題になりにくいです。
ただし一般的な賃貸オフィスに近い設備であるため、不完全個室のレンタルオフィスよりも費用が高額になるデメリットがあります。
不完全個室とは│メリット・デメリット
一方で不完全個室のレンタルオフィスとは、天井に40cm程度の空間が空いており、完全に隣との空間を遮断していない形態です。
不完全個室は空調設備を共有できるなどの理由で運営者のコストカットが可能です。
そのため、完全個室よりも費用を抑えて利用ができます。
一方で、電話の話声が隣の部屋に漏れるといった危険性もあります。
不完全個室を利用する際は、情報の流出やプライバシーには一層気を付ける必要があるでしょう。
レンタルオフィスの選び方6.騒音レベル
レンタルオフィスは複数の事業者が1つの空間を共有するため、隣の部屋の作業音や話声が聞こえる可能性があります。
大きな話声や不快な物音が聞こえると、集中力の低下に繋がる恐れが生じます。
レンタルオフィスの騒音レベルは時間や日によっても異なるため、契約の際は時間帯を変えて何度か内覧を行うことをおすすめします。
利用者がいる時間帯を狙って防音性を確認しておけば「内覧時には聞こえなかった物音が聞こえる」といった事態を避けられるでしょう。
また騒音が気になっても、レンタルオフィスの他の条件が気に入っている場合などは、自分の仕事のスタイルを修正して騒音と付き合う選択肢があります。
具体的には「出社・退社の時間をずらす」「耳栓を付けて利用する」などです。
レンタルオフィスの選び方7.備品・設備
レンタルオフィスには、備え付けのオフィス用品が用意されています。
【オフィス用品の例】
デスク
チェア
Wi-Fi
プリンター
PC周辺機器
ロッカー など
ただし具体的なオフィス用品は施設によって異なるため、自身のビジネスで必要な備品を踏まえて参考にしてください。
また、施設によっては会議室やスタジオなどを設置している場合もあります。
「クライアントを招いて会議をしたい」「レンタルオフィスから配信をしたい」などと考える場合は、これらの設備が備わっているかも確認しましょう。
レンタルオフィスの空間を自分らしくアレンジ
レンタルオフィスには最初からオフィス用品が備わっていますが、自身で持ち込む選択肢もあります。
デスク上のペン立てや収納といった小物はもちろん、体にフィットした椅子なども効率面を考えると有力です。
チェアは搬入が必要で、周りの利用者の迷惑になる可能性も否めませんが、交渉次第では許可される可能性があります。
このように、生産性が上がるアイテムを持ち込んで自分らしくアレンジすることも検討しましょう。
レンタルオフィスの選び方8.打ち合わせスペースへの導線設計
レンタルオフィスに会議室が備わっている場合は、会議室への導線設計も確認しましょう。
訪問者がレンタルオフィスに来社してから、どのように受付対応・打ち合わせスペースへの誘導が行われるかです。
加えて「窮屈な入口でないか」や「移動の途中に違和感が生まれる場所はないか」などを確認していれば、取引先や顧客も気持ちよく打ち合わせに臨めるはずです。
レンタルオフィスの本来のビジネスモデルはあくまでも場所貸しなので、固有スペースや執務スペースの確保が最優先で、打ち合わせスペースは二の次になっている場合があります。
顧客への対応を聞くのはもちろん、自分で実際に会議室まで歩いてみて、違和感なく利用できるかを確認しましょう。
レンタルオフィスの選び方9.施設・建物の高級感
来客を想定してレンタルオフィスを契約する場合は、施設全体の高級感もチェックポイントです。
例えば床のタイルや壁、カーペット、エントランスの雰囲気など、顧客や取引先が実際に訪問する場所をピックアップして事前に確認しましょう。
程度が過ぎるとかえって変に思われる可能性がありますが、あまりに古いもしくは清潔感がないと不信感を与える原因となります。
本人がコントロールできる要素ではないため、気にしすぎる必要はないですが、参考の1つとして考えてください。
レンタルオフィスの選び方10.オプションサービスやサポートの内容
レンタルオフィスによっては以下のようなオプションや事業サポートが提供されている場合があります。
・電話転送
・郵便物の転送
・ロッカー
・電話秘書
・お茶出し
・経営支援 など
これらのオプションやサポートを有効活用できれば、事業が円滑に進む要因となります。
レンタルオフィスの使い方や目的に合わせて検討しましょう。
レンタルオフィスの選び方11.受付・セキュリティ対策
レンタルオフィスには他の事業者を含む様々な人が出入りするため、受付やセキュリティ対策を必ず確認しましょう。
受付では、有人の時間帯や無人時の対応を確認してください。
無人時間は専用のシステムや顔認証などで入退室が管理されていることが一般的です。
加えて、受付の対応自体も重要です。
顧客が来社した際に受付の対応が優れていれば、好印象を与えられます。
また、セキュリティ対策では以下の点に着目してください。
・防犯カメラの有無
・入館の方法
・各個室の入室方法
・Wi-Fiの暗号化の有無 など
パソコンや資料の盗難防止といった物理的なセキュリティに加えて、オンライン上の情報漏洩対策ができているかを確認しましょう。
レンタルオフィスの選び方の注意点
ここでは、レンタルオフィス選びの注意点を3点解説します。
手間と感じる方もいますが、後々の事業運営の効率に差が出る可能性があるため、必ず確認してください。
内覧を行う
レンタルオフィスと契約する前に必ず内覧をしてください。
自分の足で内覧を行えば、自宅からの所要時間や設備、騒音レベル、備品などを確認できます。
公式サイトの情報のみでは不十分なケースが多く、契約してから「想像と違った」となっては後悔の原因となります。
上述した通り、騒音レベルを確認するために複数回足を運ぶのもおすすめです。
費用だけでは選ばない
レンタルオフィスの失敗する選び方が「安いから契約した」です。
レンタルオフィスの設備や立地などは様々で、安い施設には安い理由があります。
・アクセスが悪い
・建物が古い
・不完全個室
・備品や設備が不十分
・セキュリティ対策が甘い など
そのため、必ず「自分の目的を達成できるか」を軸に判断しましょう。
また「できるだけ安いレンタルオフィスを使いたい」と考える場合も、最低限満たしたい条件は事前に決めておくことが大切です。
幅広い選択肢からオフィスを選ぶ
事業運営において、オフィス形態はレンタルオフィス以外にも多様な選択肢があります。
・賃貸オフィス
・バーチャルオフィス
・シェアオフィス
・レンタルオフィス
・自宅兼オフィス など
それぞれ費用やメリット・デメリットが異なります。
レンタルオフィス以外の選択肢も一通り検討して、自分に合ったオフィス形態を選択しましょう。
起業時の選択肢となるオフィス形態については以下の記事で詳細に解説しています。
まとめ
今回はレンタルオフィスの選び方のポイントなどを解説しました。
専有できる個室を借りられるレンタルオフィスを有効活用できれば事業の生産性が向上する要因となります。
本記事では選び方のポイントを11つご紹介しましたが、最も重要視すべきポイントは「レンタルオフィスを使う目的を達成できるか」です。
まずは「なぜレンタルオフィスを使うのか」を明確にして、目的にマッチした施設を探してみましょう。
また、起業で使えるオフィス形態はレンタルオフィス以外にも複数存在するため、幅広い選択肢からオフィス選びを進めてみてはいかがでしょうか。
この記事の執筆者
久田敦史
株式会社ナレッジソサエティ 代表取締役
バーチャルオフィス・シェアオフィスを通して1人でも多くの方が起業・独立という夢を実現し、成功させるためのさまざまな支援をしていきたいと考えています。企業を経営していくことはつらい面もありますが、その先にある充実感は自分自身が経営をしていて実感します。その充実感を1人でも多くの方に味わっていただきたいと考えています。
2013年にジョインしたナレッジソサエティでは3年で通期の黒字化を達成。社内制度では週休4日制の正社員制度を導入するなどの常識にとらわれない経営を目指しています。一児のパパ。趣味は100キロウォーキングと下町の酒場めぐり。
【学歴】
筑波大学中退
ゴールデンゲート大学大学院卒業(Master of Accountancy)
【メディア掲載・セミナー登壇事例】
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