起業を志す方々のバックグラウンド、あるいは基礎となっている知識によって違いがあるのは当然です。
既に、多くの寄稿がされているナレッジソサエティのブログには、著名な専門家の方々の素晴らしい投稿が沢山ありますが、私が起業したばかりの時は、もっと「情けない部分」で過ちを犯したり、失敗したりしていました。
そんな失敗談を通じて、これから起業を考えている方々の背中を少しでも押せることができればと考えて匿名で寄稿させていただいた次第です。
私は現在10期目となるWEBサービス企業を経営しております。
シェアオフィスを東京で探している際にナレッジソサエティと巡り合い、現在もお世話になっている状況ですが、今となっては懐かしい情けない過ちについて、お話します。
目次
財布の混同
起業したばかりの頃は、個人としてのお金と法人としてのお金の境界線がありませんでした。
「いや、それは根本的にいけないでしょ?」って思っている方。仰る通りです。
根本的にいけないのですが、貯蓄があまりない状態で起業を売上がなかなか上がらない場合や、私の様に起業資金としてためていたお金がそのまま個人の全貯金で、かつ全額を資本金として拠出してしまったような場合などは、最低限の生活をするために手段を選べなくなることもあります。
- 資本金額を小さくして報酬の支払いを自分に行えるまで個人預金の食いつぶす
- 資本金額から一定の役員報酬を設立直後から発生させて生活をする
これらが本来であれば正しい選択肢ではありますが、しっかりやろうとすればどんどん苦しくなってしまうような状況が目の前に広がっている時にどのような判断をするか、はとても難しい問題です。
思った以上に備品が必要になる
起業初期に、例えば仕事に必要になる備品をしっかりと細かく計算をして、計画に組み込んでいる場合には何の問題もおこりません。
一方で、上記の場合に当てはまらない場合、「とても大きな痛手」と思ってしまうような支出が発生します。
そして、少しでも支出を削減しようと中古品などを買ったりしますが、中古品が故にすぐに使えなくなってしまうような粗悪品を掴まされてしまったりと、色々と面倒に巻き込まれてしまうケースもあります。
仕事で使えるPCは持っているか、FAXは必要か(もっと具体的に言うとFAX番号が名刺にない状態で問題ないのか?)、プリンター、シュレッダー、電話機などの電化製品から、封筒やボールペン、朱肉といった日々のちょっとしたタイミングで、突然必要になるようなものまで、起業初期は本当に物入りになります。
当然のことなのかもしれませんが10年前の私はそこまで考えていませんでした。
売上0の場合、何ヵ月会社を維持できる?
これも本当か?と思われるかもしれませんが、「売上が全くない状態で、何ヵ月会社を維持できるか?」をしっかりと考えて、現実を目の当たりにしたのは起業後だったりします。
資本金に入れたお金が自分の全財産だったところからもわかる通りで、そもそもどれくらいの資本金を会社に入れるべきか?に何の計画性もなかった状況です。
- 携帯電話は会社用を用意するか
- 会社のホームページは作るか
- ドメイン代は?毎月のサーバー代は?
- 交通費は毎月いくら必要か
- オリジナル名刺は作る?請求書等を送る封筒は?
- 毎月の経理は外注?顧問料はいくら?
- 決算費用はどれくらい?
- などなど、一切考えずに起業をしていることは、今考えれば背筋が凍る思いでもあります。
- 一方で、このようなポイントをしっかりと把握していれば、売上が全く上げられない場合に会社が存続できる期間は逆算で計算が可能になるということです。
頭を使うよりも行動
絶対法則ではありません。
ただ事業の立上げは、なんだかんだで行動力(行動量)で解決できることが多いという経験則があります。
私は、「売上が上がらない」と悩んだり、立ち止まって「この状況を打開するために必要な戦略は…」とPCと睨めっこをして何日も過ごしました。
結果、解決できた問題など何一つありませんでした。
でも、人間はそういう状況に陥りやすいです。
焦りが出たとき。
何をしてよいか分からないとき。
心理的プレッシャーがどんどん大きくなって行くとき。
人間は思考停止状態に陥って「何もしない」という選択肢を取ってしまうことがあります。
そして、それが発生する時というのは「想定外」なことであればあるほど思考停止となります。
営業であれば営業。
昨今の世の中であれば、例えば「ひたすらブログの記事を書き続ける」でも良いでしょう。
「一日一訪問」「一日一更新」とか」そういう自分が勝手に決めた量ではなく、一日に回れる限りの営業、一日にかける限りの記事、をとにかく可能な限りやり続ける。
そういう行動ができないようであれば、何一つやりきれない可能性があります。
最後に
起業関連の情報やインターネットのニュースを読むと若手起業家の大成功やとんでもない金額での売却のニュースなどが踊っていて、「自分もああなりたい!」と願って、皆、起業(チャレンジ)をします。
一方で、多くの人達は、自分の思い描いていたほど人生やビジネスは甘くないということを経験して行くことになり、だんだんと思い描いていた自分に慣れない自分を責め、一人での行動時間が増えて行ってしまう。
結果的には、そのような選択がさらに状況を悪化させ、起業家として大切なネットワークを広げることが出来なくなってしまいます。
起業家ら10年たった今、シェアオフィスを眺めながら思うことは、私が起業をした時にこのような場所が存在していたのであれば、私がしてきた苦労の多くは取り除かれていたのかもしれないという事実です。
この記事の執筆者
久田敦史
株式会社ナレッジソサエティ 代表取締役
バーチャルオフィス・シェアオフィスを通して1人でも多くの方が起業・独立という夢を実現し、成功させるためのさまざまな支援をしていきたいと考えています。企業を経営していくことはつらい面もありますが、その先にある充実感は自分自身が経営をしていて実感します。その充実感を1人でも多くの方に味わっていただきたいと考えています。
2013年にジョインしたナレッジソサエティでは3年で通期の黒字化を達成。社内制度では週休4日制の正社員制度を導入するなどの常識にとらわれない経営を目指しています。一児のパパ。趣味は100キロウォーキングと下町の酒場めぐり。
【学歴】
筑波大学中退
ゴールデンゲート大学大学院卒業(Master of Accountancy)
【メディア掲載・セミナー登壇事例】
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