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起業で活用できる補助金・助成金とは|活用のメリットや注意点もわかりやすく解説

[投稿日]2021/03/19 / [最終更新日]2024/09/11

起業で活用できる補助金・助成金とは|活用のメリットや注意点もわかりやすく解説

起業時には補助金や助成金の活用も検討しましょう。

事業を立ち上げる際の資金調達方法は様々です。その中でも補助金や助成金は返済が不要であるため、事業が成功する要因の1つとなります。

しかし補助金や助成金には注意点があることも事実です。

そこで本記事では、起業時に役立つ補助金・助成金やメリット、活用の注意点などを解説しています。自身の起業内容にマッチした制度がある場合は、ぜひ活用を検討してください。

補助金・助成金とは

補助金・助成金とは、新規事業や事業拡大といった「企業が成長する事業計画」や「国の経済活動の発展に寄与する事業計画」などを支援する制度です。

一定の条件を満たしており、審査に通れば事業に活用できる資金が支給されます。

補助金や助成金は一般的な資金調達方法の融資と比較して、支給された資金の返済が不要となっています。また投資のように業績に応じた分配金を支払う必要もありません。

補助金と助成金の違い

補助金と助成金は共に返済不要の資金を得られる制度ですが、異なる特徴も有しています。

補助金は助成金と比較して支給額が高額で、適用範囲も広めな傾向にあります。一方で予算枠や最大件数、公募期間などが決まっているため、審査のハードルは高いです。

国の機関でいえば、主に経済産業省が管轄しています。

一方で助成金は、補助金よりも支給額が少ない傾向にありますが、条件を満たしていれば基本的に支給が行われます。

補助金とは異なり、主に厚生労働省の管轄です。

補助金・助成金の種類

補助金や助成金は様々な機関で実施されています。主催団体で目的や対象事業などが異なるため、それぞれの特徴を理解しましょう。

ここでは補助金や助成金の種類を実施機関ごとに解説します。

経済産業省

経済産業省の補助金は起業促進や女性・若者の活躍の支援による地域活性、技術振興といった中小企業の事業振興などを目的としています。

創業初期や事業規模が小さい企業を対象とした補助金もあり、起業前後に検討すべき制度の1つです。

補助金の受給には各制度の募集要件を確認したうえで申請し、審査に通過する必要があります。採択率は種類によって異なり、同じ種類の補助金であっても各回で変わる場合があります。

厚生労働省

厚生労働省の助成金は、企業の雇用促進や職場環境の改善などが目的となっています。

その特性から起業前や起業直後ではなく、ある程度運営期間を積んだ企業が実質的な対象となる制度も多いです。

また、基本的な流れは補助金と同じです。しかし審査の通過率は補助金よりも高いという特徴があります。

地方自治体

市区町村や都道府県が独自で実施している補助金・助成金制度もあります。各地域の産業振興や活性化を目的としており、内容や種類が豊富となっています。

新規事業者への家賃補助や販路拡大のための費用補助、信用保証料補助、融資の利息補助など、自治体によって制度は様々です。

しかし自治体の方針によって内容は異なり、実施地域内での開業が条件となっているケースも多いため注意が必要です。

民間団体・企業

民間の公益団体や大手企業が、創業支援として独自の補助金制度を設けているケースもあります。

種類や条件は主催団体によって異なり、審査基準は高い傾向にあります。しかし各企業で様々な規定となっているため、大きなチャンスになる可能性もあるでしょう。

起業で補助金・助成金を活用するメリット

資金調達の手段で補助金や助成金を活用すれば、事業が有利に進む様々なメリットを受けられます。

ここでは起業で補助金や助成金を活用するメリットを解説します。

返済不要の資金を得られる

補助金や助成金の最大のメリットは返済不要の資金を得られる点です。

融資で資金調達を行う場合は月々の返済が必要であるため、事業のキャッシュフローの悪化に繋がります。

投資で資金を得た場合も、将来的に分配金として多額の金額の支払いが必要となる可能性が生じるでしょう。また、投資による資金調達は経営の自由度の低下にも繋がります。

一方で補助金や助成金で資金調達をすれば、資金繰りの悪化を招かずに自由な経営が可能です。

万が一事業に失敗した際のリスクも小さいため、非常に有力な資金調達手段といえます。

事業内容をブラッシュアップできる

補助金や助成金の申請では、事業計画書や申請書などの作成が必要です。支援する価値がある事業内容と判断されるためにも、入念な事業計画の作成が重要となります。

そのため、手続きの中で事業内容のブラッシュアップが可能となり、事業の強みや弱みも判断できます。

補助金や助成金の支給を受けられても、事業内容に不備があれば決して成功はできません。補助金や助成金の手続きを通じて、成功できる事業内容に近付くでしょう。

労働環境の整備ができる

厚生労働省の助成金では、就業規則や出勤簿といった社内環境に関する書類の準備が必要です。これらの書類を準備する中で、自然と労働環境の整備が可能となるでしょう。

また、企業の環境整備を目的とした助成金も存在します。労働環境と整えて労働者目線の企業作りを行いたい場合も積極的に利用ができるでしょう。

起業で補助金・助成金を活用する際の注意点

補助金や助成金の活用には注意点も存在します。融資や投資と比較してデメリットになる可能性もあるため、注意点も踏まえて選択しましょう。

ここでは、起業で補助金や助成金を活用する際の注意点を解説します。

後払いでの支給となる

補助金や助成金は後払いでの支給となります。一度は立替払いの形で自ら支払いを行う必要があります。

また、補助金や助成金は費用の全額ではなく一部の支給です。

そのため、起業後の運転資金として自己資金もしくは別の資金調達方法で得た資金を準備する必要があります。

必ず審査に通るとは限らない

補助金の審査は必ず通る訳ではありません。

特に、条件のハードルが低く高額支給といったメリットの大きい補助金制度の場合は、必然的に応募する方が多くなります。

補助金は予算や件数が決まっているため、倍率が高くなると審査に落ちる可能性が高まる点に注意が必要です。

また、補助金や助成金は用途を明確に指定されているため、企業の実態にマッチしてしない場合も、資金を得られない点に留意しましょう。

複数の受給が不可能な場合も

税金が財源の国や自治体の補助金・助成金は、複数受給ができないケースも多いです。

起業で必要な資金が多岐に渡っても、活用する制度を取捨選択する必要があります。

しかし複数の制度への申請は可能です。申請書類も同様の様式や形式が多いため、書類作成を同時に行って複数の制度に申請し、採択後に選択する方法もあります。

国が実施する起業で活用できる補助金・助成金

国が実施する主に制度では、経済産業省の補助金と厚生労働省の助成金が挙げられます。

ここでは国が実施する起業で活用できる補助金・助成金を解説します。

ものづくり補助金

ものづくり補助金とは、経営革新のための設備投資などを行う中小企業や小規模事業者が対象となる補助金です。

補助限度額や補助率は申請類型や従業員の人数などによって異なる点が特徴で、倍率は例年2倍~3倍程度で推移しています。

機械装置や運搬費、専門家経費、外注費といった幅広い経費が対象となっている点も特徴です。

参考:ものづくり補助金

対象者

経営革新のための設備投資などを行う中小企業・小規模事業者

補助額

※申請類型によって異なる
エントリー:750万円~1,250万円以内
スタンダード:1,000万円~2,000万円以内
アドバンス:2,000万円~4,000万円以内

補助率

2分の1もしくは3分の1
※申請する枠・類型や従業員の人数によって異なる

補助対象経費

機械装置・システム構築費
運搬費
専門家経費
技術導入費
外注費
原材料費 など

実施機関

経済産業省
中小企業庁
独立行政法人中小企業基盤整備機構

IT導入補助金

IT導入補助金とは、ITツールの導入を行う中小企業や小規模事業者を対象とした補助金です。

多岐に渡る類型が提供されており、それぞれ補助額や補助率が異なります。

インボイス制度対応や電子帳簿保存法対応のためにも活用できるため、幅広い事業者におすすめです。

参考:IT導入補助金

対象者

ITツールなどを導入する中小企業や小規模事業所

補助額

通常枠A類型:5万円~150万円未満
通常枠B類型:150万円~450万円以下
デジタル化基盤導入類型:350万円以下
セキュリティ対策推進枠:5万円~100万円以下
商流一括インボイス対応類型:350万円以下
複数社連携IT導入類型350万円以下

補助率

通常枠A類型:2分の1以内
通常枠B類型:2分の1以内
デジタル化基盤導入類型(50万円以下の部分):4分の3以内
デジタル化基盤導入類型(50万円超~350万円以下の部分):3分の2以内
セキュリティ対策推進枠:2分の1以内
商流一括インボイス対応類型:2分の1以内~3分の2以内
複数社連携IT導入類型:3分の2以内~4分の3以内

補助対象経費

ソフトウェア購入費
クラウド利用費
導入関連費
ハードウェア関連費 など

実施機関

経済産業省
中小企業庁
中小企業基盤整備機構

事業再構築補助金

事業再構築補助金とは、分野展開や事業転換、業種転換、業態転換、事業再編などの事業再構築を目指す中小企業等などを対象とした補助金制度です。

以下の必須条件に加えて、各枠で定められる要件を満たす必要があります。

【必須条件】
①事業計画について認定経営革新等支援機関や金融機関の確認を受けている
②補助事業終了後3年~5年で付加価値額の年率平均3~5%以上、または従業員一人当たり付加価値額の年率平均3%~5%以上増加の達成

条件は決して易しくありませんが、幅広い枠が存在し、中には1億円を超える金額の支援を受けられる枠も存在します。

参考:事業再構築補助金

対象者

分野展開や事業転換、業種転換、業態転換、事業再編などの事業再構築を目指す中小企業等

補助額

成長枠:100万円~7,000万円(従業員数によって異なる)
グリーン成長枠(エントリー):100万円~1億円(従業員数によって異なる)
グリーン成長枠(スタンダード):100万円~1.5億円(従業員数によって異なる)
産業構造転換枠:100万円~7,000万円(従業員数によって異なる)
最低賃金枠:100万円~1,500万円(従業員数によって異なる)
※一部抜粋

補助率

成長枠:2分の1もしくは3分の1
グリーン成長枠(エントリー):2分の1もしくは3分の1
グリーン成長枠(スタンダード):2分の1もしくは3分の1
産業構造転換枠:3分の2もしくは2分の1
最低賃金枠:4分の3もしくは3分の2
※一部抜粋

補助対象経費

建物費
機械装置・システム管理費
技術導入費
外注費
広告宣伝費・販売促進費
研修費 など

実施機関

経済産業省
中小企業庁
中小機構

小規模事業者持続化補助金

小規模事業者持続化補助金は、全国商工会連合会や日本商工会議所が実施している、常時雇用従業員が20名以下の小さな事業者を対象とした補助金です。

基本的には通常枠(補助額50万円)での申請となりますが、インボイス対応などの要件に該当する場合は補助額が拡大されます。

また商工会議所の指導も受けられるため、資金面以外でのメリットも大きいです。

参考:小規模事業者持続化補助金

対象者

常時雇用の従業員が20名以下の法人・個人事業主

補助額

通常枠:最大50万円
成長・分配強化枠:最大200万円
新陳代謝枠:最大200万円
インボイス特例:最大100万円

補助率

3分の2

補助対象経費

販促用チラシ費
パンフレット作成費
広告掲載費
店舗改装費
新商品開発費 など

実施機関

全国商工会連合会
日本商工会議所

東京都が実施する起業で活用できる補助金・助成金

補助金や助成金は国だけでなく、都道府県や自治体が実施しているケースもあります。

ここでは東京都で実施されている起業で活用できる補助金・助成金を紹介します。

創業助成金

創業助成金は東京都中小企業振興公社が行っている助成金です。

都内で創業を予定する方もしくは創業して5年未満の中小企業者といった幅広い方が対象となっており、最大300万円の支援を受けられます。

要件の1つにTOKYO創業ステーションの事業計画策定支援の終了が定められており、資金面以外でのサポートを受けたい方にもおすすめです。

参考:創業助成金

対象者

都内で創業を予定する方もしくは創業して5年未満の中小企業者等

補助額

最大300万円

補助率

3分の2

補助対象経費

創業初期に必要な経費(賃借料/広告費/器具備品購入費/専門家指導費など)

実施機関

東京都中小企業振興公社

商店街起業・承継支援事業

商店街起業・承継支援事業は、都内の商店街で開業、事業の多角化もしくは事業継承を予定している方が対象の助成金です。

対象者や適用範囲は広くありませんが、開業時の資金に加えて、2年間の店舗賃借費を抑えられる制度となっています。

年齢や性別、法人・個人に関わらず利用できる点も魅力です。

参考:商店街起業・承継支援事業

対象者

商店街活性化に意欲があり、都内商店街での開業や事業の多角化、事業継承を予定している方

補助額

事業所整備費:最大250万円
実務研修受講費:最大6万円
店舗賃借費:1年目180万円 2年目144万円

補助率

3分の2以内

補助対象経費

事業所整備費
実務研修受講費
店舗賃借費

実施機関

東京都中小企業振興公社

TOKYO戦略的イノベーション促進事業

TOKYO戦略的イノベーション促進事業は、自社のコア技術を基盤として、社外の知見やノウハウを活用して行う革新的な技術・製品開発を支援する助成金です。

採択率が低めであるため全ての事業者が活用できるわけではありませんが、幅広い経費が対象となっており、助成金額も最大8,000万円と高額です。

さらに連携コーディネータによる支援や、事業完了後のアフターフォローなども提供されているため、事業の成功に大きく貢献するでしょう。

参考:TOKYO戦略的イノベーション促進事業

対象者

都内で事業を行っている中小企業者等または都内での創業を具体的に計画している個人

補助額

1,500万円~8,000万円

補助率

3分の2以内

補助対象経費

原材料・副資材費
機械装置・工具器具費
委託・外注費
専門家指導費
直接人件費 など

実施機関

東京都中小企業振興公社

各区で行っている補助金・助成金もある

東京都内に着目しても、各区で行っている補助金や助成金制度があります。

【各区で実施されている補助金の例】
登録免許税の軽減(千代田区など)
ホームページ作成費用の助成金(中央区)
事務所の賃料補助(荒川区など)
利子の補助(江東区など)

また、東京都以外にも各都道府県や市町村で実施されている補助金・助成金制度もあります。

起業を行う場合は、自社が活用できる制度はないかを確認しましょう。

また、好条件な補助金や助成金がある場合は該当の地域での開業の検討もおすすめです。

まとめ

今回は起業時に活用できる補助金や助成金について解説しました。

補助金や助成金は国や自治体、民間企業等によって実施されており、返済が不要な資金の提供を受けられます。

融資と比較して資金繰りが良くなり、手続きの中で事業プランのブラッシュアップもできるため、起業の成功に大きく近付けるでしょう。

起業時には自社が活用できる補助金や助成金を踏まえて計画を立ててはいかがでしょうか。

参考

【関連記事】新規事業助成金の代表7選 | 手続きや注意点まで分かりやすく解説 | DX王
※DX王は、株式会社デザインワン・ジャパンが運営する、組織力強化の視点からDX戦略の立ち上げをサポートするメディアです

この記事の執筆者

久田敦史

久田敦史

株式会社ナレッジソサエティ 代表取締役

バーチャルオフィス・シェアオフィスを通して1人でも多くの方が起業・独立という夢を実現し、成功させるためのさまざまな支援をしていきたいと考えています。企業を経営していくことはつらい面もありますが、その先にある充実感は自分自身が経営をしていて実感します。その充実感を1人でも多くの方に味わっていただきたいと考えています。

2013年にジョインしたナレッジソサエティでは3年で通期の黒字化を達成。社内制度では週休4日制の正社員制度を導入するなどの常識にとらわれない経営を目指しています。一児のパパ。趣味は100キロウォーキングと下町の酒場めぐり。

【学歴】
筑波大学中退
ゴールデンゲート大学大学院卒業(Master of Accountancy)

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