シェアオフィスのセキュリティーは大丈夫?
多くの起業家やフリーランス、あるいは副業などの理由からシェアオフィスの利用を検討している方もたくさんいらっしゃると思いますが、シェアオフィスのメリットの一つであるコストパフォーマンスは、その比較対象となる賃貸オフィスのいくつかの要件とのバーターによって成立していると言えます。
例えば、全ての設備等に関する維持費を利用者全員で維持費の負担額を分け合う形になるため利用金額は安くなりますが、失うものは自分だけが固定で利用するワークデスクですし、会議室も皆で維持費を分担しあうために極めて安く広いスペースを確保することが出来ますが、失うものは会議室を「自分が好きな時に好きなだけ利用する」権利です。
実際に、コストパフォーマンスという点に多くのメリットを見出すことが出来る点が意味することは、コストパフォーマンスそのものが内包するバーター要素が最も比重が大きく、それは特定の空間をどれくらい自分の権利としてコントロールすることが出来るか?という表現に置き換えることが可能とも言えそうです。
一方で、コストパフォーマンスを取るがあまり軽視すべきではない対象としての筆頭株はセキュリティーでしょう。
今では当たり前のセキュリティー
例えばシェアオフィスを利用するのにセキュリティーなんて気にしてもしようがないとはいうことはできません。
もちろん程度の問題もあり、どの程度のレベルのセキュリティーを求めるのか?というポイントはあります。いかにセキュリティーゾーン内であっても、特定多数の人が利用するスペースで、例えば貴重品をデスクの上に置いたまま席をはずしていた場合は、残念ながら紛失の責任は本人に帰属するとしか言いようがありません。
一方で、執務スペースにシェアオフィスの利用者以外の人々が自由に出入りできるような状況は、コストパフォーマンスのためにバーターしてよい要素かどうか?については慎重な議論が必要な業種もあるはずです。
実際に内覧に行けばある程度オフィスの中身が見えるので不安をかき消すことはできるのですが、セキュリティーという面で言えば実際に利用してから起こるトラブルも中にはあるので内覧だけではどうしても見抜けない部分もやはり出てくると思います。
例えば、一般的な高層マンションなどにおいては最近ではダブルロックセキュリティーやトリプルロックセキュリティーの採用が当たり前になっています。
シェアオフィスも同様に、やはり不特定多数の人が出入りする場所ですので入口で本来侵入すべき人ではない人物をシャットアウトできるようにセキュリティーを向上させることは重要と言われてます。
厳密に、神経質に気にする人はもとよりシェアオフィスの利用は避ける傾向があるとも言われていますが、PC画面やデスクの上に置いてある書類なども含めて、クライアントや業務に関する資料や情報が溢れ返っている状態になる可能性が0ではないシェアオフィスならではの悩みと言えるかもしれません。
「可能性としては否定できない」という程度であったとしても、もし仮にそこに不審者が入り込み、重要な書類や情報が貴方をつうじて漏えいしてしまった場合、積み上げてきた信頼は一瞬で崩れ去るかもしれません。
こういったトラブルを防ぐためにもシェアオフィスでもしっかりとしたセキュリティーシステムが導入されているかどうかはチェック項目と言えます。
シェアオフィスにある基本的なセキュリティー
セキュリティーという表現は、少なくともシェアオフィスに関していうと、大きくは3つの対象に使われている印象です。
- エントランス等に関するセキュリティー
- 書類や重要物保管場所としてのセキュリティー
- 廃棄物に関するセキュリティー
エントランス等に関するセキュリティ
不審物または無関係な人物の侵入を防ぐ目的で設けられているエントランスのセキュリティーシステムは、ロビーフロアでの受付やICカードを用いたロック解除、オフィススペースに侵入するためのICカードロック解除などがあり、何れのケースも重要なスペースへの侵入をコントロール主旨で設けられています。
設備投資という意味でもコストがかかるため、導入しているシェアオフィスはしっかりとした設備投資を行っているという証左でもあります。
書類や重要物保管場所としてのセキュリティー
シェアオフィスの特性上、入退出はICカードでコントロールを取れたとしても個人または特定法人の所有物を保管・管理する機能はコントロールが取れませんし、スペースを占領するために個人の所有物をずっと置いておくことも日を跨ぐ形ではできません。
他方、毎日毎日重たいものを運ばないといけないようでは、利便性と言う意味ではあまり満足度が高くならないため、シェアオフィスが優良で個別の鍵で管理する保管スペースを完備しているケースがあります。
出社後に、保管スペースから必要に応じて書類や重要物を出し、帰宅する前にまた保管して帰宅するといった利用の仕方が可能になるわけです。
もちろん運営会社としては、スペースを少しでも利益を生み出すスペースとして活用したい意向が働くため、設備投資がしっかりとできない運営会社の場合は、この保管スペースも十分に確保することは難しく、また用意していたとしてもその容量が十分ではないケースが見受けられます。
廃棄物に関するセキュリティー
さて、最後になりましたが、廃棄物に関するセキュリティーとはすなわちシュレッダー等の廃棄書類などを粉砕する機器です。
これは完全に個人の意識にゆだねられてしまう面もありますし、シュレッダーを用意しておいても、郵便住所の記載された郵便物や、多めにプリントアウトしてしまったクライアント提出用の会議資料などがそのまま破棄されている場合もあるかもしれません。
一方で、サービス提供者としては、そのセキュリティー意識が反映される箇所なのでシュレッダーの用意は絶対的に必要と考える運営会社も沢山いるでしょう。
顧客のために重要なセキュリティー
シェアオフィスのセキュリティーという観点で話をする場合でもいくつかの個別議論になることがご理解いただけましたでしょうか?
私達は日々「セキュリティー」という言葉を聞きます。
それはインターネット上の話であったり、日々使っているPCやモバイルデバイス上の話だったり、住まいの話だったりと多くの場合は自分自身に関連して必要か不要かを考えます。
しかしながら、事業主としてビジネスを行う場合、クライアントとなる企業や個人との間で交わされる契約条項には、必ずといっていいほど個人情報保護に関する記載や秘密保持契約などの取り決めがなされることになります。
前述のように、自分自身への影響だけを考慮するのではなくクライアントへの影響も考慮した上でのセキュリティーレベルを十二分に検討する必要があります。
また設備のセキュリティーばかりを気にして、自分自身のPCのセキュリティーが甘いケースも見受けられるのが実情です。
セキュリティーソフトのみならず、パスワードの管理や、例えばPCの画面を横から見ることができないような特殊なスクリーンの導入など、やれることはたくさんあるという状況の中で自分自身が導入できるものについてはしっかりと検討をし、適切なセキュリティーの導入を心がけましょう。
この記事の執筆者
久田敦史
株式会社ナレッジソサエティ 代表取締役
バーチャルオフィス・シェアオフィスを通して1人でも多くの方が起業・独立という夢を実現し、成功させるためのさまざまな支援をしていきたいと考えています。企業を経営していくことはつらい面もありますが、その先にある充実感は自分自身が経営をしていて実感します。その充実感を1人でも多くの方に味わっていただきたいと考えています。
2013年にジョインしたナレッジソサエティでは3年で通期の黒字化を達成。社内制度では週休4日制の正社員制度を導入するなどの常識にとらわれない経営を目指しています。一児のパパ。趣味は100キロウォーキングと下町の酒場めぐり。
【学歴】
筑波大学中退
ゴールデンゲート大学大学院卒業(Master of Accountancy)
【メディア掲載・セミナー登壇事例】
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