シェアオフィスが提供するのは空間ではなく人
シェアオフィスという共有オフィススペースでの働き方は、現在の日本においてもそのライフスタイルや仕事への携わり方への意識変化と合わせて、非常に注目されています。
これらは一つの世界的な潮流としてQOL(Quality of Life:人生の質)をより高めようという意識の高まりと同時に、景気低迷が続く日本経済下での労働環境の悪化も伴って、より自分らしい働き方というものを求めた日本特有の事情もあったのではないかと考えています。
日本国内でも急激に増加しつつあるこのシェアオフィス、またはコワーキングスペースという存在ですが、そもそもシェアオフィスはレンタルオフィスのように仕切られた空間で仕事をするのではなく同じ空間をシェアすることに意味があり、また手軽に利用できることに価値を見出しています。
カフェのようなお洒落な空間であったり、スタイリッシュな雰囲気の空間であったりと、「空間」ばかりがどうしても注目されてしまいがちなシェアオフィスですが、実際にシェアオフィスを利用してみると感じることは、その共有されている場においての本当の主役とは「空間」ではなくそこを利用している「人」にあることです。
人がその空間に存在し自由に行き来できる環境でなければシェアオフィスとしての本来の在り方が機能しなくなるのはもちろんですが、どれだけ豪華で煌びやかな内装だったとしても、その空間を利用する人達が作り上げる雰囲気以上の存在感を示すことは非常に難しいものです。
空間に注目されがちなシェアオフィスの欠点
前項で既にお伝えしたとおりですが、シェアオフィスは従来のオフィス形態にはなかったコンセプトがベースになって提供されているがゆえに、一度体験してみたいと考える人が少なからずいることは間違いありません。
空間の利用方法そのものが、そもそもの存在価値として生まれてきた宿命とも言えるかもしれませんが、社会的に紹介をされる際のシェアオフィスは、どうしてもそのスペースと運営者に注目が集まってしまっています。
もちろんこの状況そのものが否定される話ではありませんが、冒頭に述べた通り、その空間をより良いものとして作り上げる最も重要な要素となる「利用者」達に、焦点があたることはまずありません。
もちろん利用者側も全員が全員、自らを対外的にアピールしていきたいと考えるわけでもないですし、諸事情により名前もふせたい人もいらっしゃるでしょうし、そこについて否定的な立場を取るつもりは全くございませんが、根本的にその空間を利用する人や会社として、「自分達がこの空間を作り上げているのであり、より良いものとしていく必要がある」という共通認識を持てているシェアオフィスはなかなか存在しないでしょう。
このような状況であるが故に体験に訪れた内覧者がシェアオフィスの情報を見たり聞いたりしたとしても、「具体的にどんなコミュニティがあるのかよく分からない」という疑問を残したまま終わってしまう、またはコミュニティは重視せずに空間だけを重視して利用する、といった流れになってしまうのが現状です。
利用者が情報配信することでそれぞれの特徴が掴める
シェアオフィスにはそれぞれに特徴的なカラーがあります。
ここでいうカラーというのは、そこに集う人の個性やコミュニティの内容を指しており、シェアオフィスの性格を知ることでさらに特徴を理解できるというわけです。
シェアオフィスというと非常に開放的な印象を受けると思いますが、実際に利用をされている企業や個人が積極的に情報発信をすることが多いわけではありません。
一方で、だからといって「閉鎖的」と考える必要もなく、例えば同じ利用者同士での繋がりやコミュニティー意識というのは非常に強い場合もあり、一度の内覧では把握しきれないことが大半でしょう。あるいは何度内覧してもわからないことかもしれません。
わからないから諦めるのではなく、少々精神論みたいになってしまいますが、雰囲気から感じ取れるものがないのかを、意識して内覧をする必要があるということです。その場の雰囲気から得られる情報は思った以上に多いものです。
このような大前提を理解した上で、シェアオフィスのホームページではどのような打ち出しがされていて、どのようなコミュニティーが中にあるか、どのようなイベントやセミナーが行われているのか、といった情報を点と点を線で結んでいけば、どのようなタイプのコミュニティが存在しているのかの大よその予測はつくと言えます。
これからシェアオフィスを利用される方はカフェのような居心地の良さや手軽さだけに注目するのではなく、ぜひそこに集う人に重きを置いて検討をしていただければと思います。
この記事の執筆者
久田敦史
株式会社ナレッジソサエティ 代表取締役
バーチャルオフィス・シェアオフィスを通して1人でも多くの方が起業・独立という夢を実現し、成功させるためのさまざまな支援をしていきたいと考えています。企業を経営していくことはつらい面もありますが、その先にある充実感は自分自身が経営をしていて実感します。その充実感を1人でも多くの方に味わっていただきたいと考えています。
2013年にジョインしたナレッジソサエティでは3年で通期の黒字化を達成。社内制度では週休4日制の正社員制度を導入するなどの常識にとらわれない経営を目指しています。一児のパパ。趣味は100キロウォーキングと下町の酒場めぐり。
【学歴】
筑波大学中退
ゴールデンゲート大学大学院卒業(Master of Accountancy)
【メディア掲載・セミナー登壇事例】
起業家にとって必要なリソースを最大限に提供するシェアオフィス
嫌われるNG行動はこれ!覚えておきたいシェアオフィスやコワーキングスペースのマナー
“バーチャルオフィス” “シェアオフィス” “レンタルオフィス”どれを選んだらいいの? 〜ナレッジソサエティ久田社長に聞いてみた
複業人事戦略会議 #2 ~週休4日制正社員!?多様な働き方が生む効果とは?~
ここでしか聞けない、創業現場のリアル(東京都中小企業診断士協会青年部主催)
起業を目指す若者へ「週休4日制」の提案
社内勉強会レポート
ストリートアカデミー 久田敦史
Yahoo知恵袋
法人カード調査部