はじめてのオフィスこそシェアオフィス
個人事業主を経験したのちの法人化の場合とサラリーマン等からダイレクトに起業する場合の違いは、数え上げればきりがありません。
ただし、例え法人であっても社長一人のみの法人などであれば個人事業主との違いはあまりないと言ってしまっても問題はなく、そのような場合には個人事業主を経てから法人化をする方々の方にビジネスの経験値としては軍配があがるかもしれません。
そのような経験者であれば、「移転コストはシェアオフィスを利用して軽減」で述べているようなポイントのみならず、「シェアオフィスと信用性・信頼性について」、「シェアオフィスで東京本社と地方支社」といったビジネスを展開していく上でのポイントや顧客接点上におけるポイントについても概ね理解が容易かと思います。
しかしながら、もしサラリーマンからいきなり起業を志すような方の場合、実際問題として起業後にビジネスを展開していく上に必要となる備品一つとっても何が必要で何が必要ではないかがわからないものです。
購入すべきかレンタルすべきか、そもそも必要か必要ではないか?といった点まで考慮すると、何もわからない起業家の場合は無駄なものに予算を使ってしまったり、必要の無いものに多額の費用を使ったりと、後々になってうまく事業が軌道に乗った場合には笑い話ですむようなことをやってしまうことも多々あります。
色々と経験をしてこそ、と言葉で言うのは簡単ですが、実際に無駄な費用を使うくらいであれば、その他のより有益な使い方や売上に貢献することにお金を使うべきであることは明白です。
そのような観点で見てみると、シェアオフィスの利用はオフィス機能のみならず、ある種の起業家として助走期間、あるいは本格展開のための準備期間として捉えることも可能と言えます。
コストカット以上に色々と無駄をカット出来る
パソコン一台あれば色々な仕事が可能となってしまう昨今においては、事業運営上における固定費のみならず、これまでであれば当たり前に必要になっていた書類によるやり取り、それに関連して必要になるFAXやコピー機などの複合機、固定電話なども含めたあらゆる「機能」を代替できるサービスが世の中にあふれています。
シェアオフィスといえば「立地条件のいい場所で賃貸オフィスよりも安く執務スペースを確保することが出来る」、「オフィス用品はすべてレンタルできる」、「秘書代行や転送などの様々なサービスがある」ことなどがその特徴であり、また利用をするメリットとして挙げられますが、実際には利用時の支出を削減する以上に事業運営上の無駄を省く役割を果たしてくれることを認識している利用者は多くはないかもしれません。
例えば、上記に例としてあげたコピー機やFAX、固定電話などのハードウェアの利用頻度を長期間にわたって実体験を通じて把握できれば、実際にシェアオフィスを卒業して自社オフィスを構える際にも、それらのハードウェアを購入をすべきものかどうかの判断基準となります。
「会社なのだから持っていて当然」という考え方はある意味では正しいのですが、その正しさもより大きな企業フェーズになってこそ意味があるものであって、そのステージにも到達出来ていない会社が正しい発言をしながらも、なかなか事業成長が出来ていないのであればそれは本末転倒ということです。
また、上記のようなハードウェアのみならず、例えば名刺一つとっても「ああすればよかった」「こうすればよかった」といった多少の加減の違いというものは、ある程度の条件下において実際に使ってみないとわからないものです。
そして固定費の削減と同様に、シェアオフィスを利用している期間にてこの「さじ加減」が把握できることは、その後の経営においても多くの物やサービスについて必要・不要の判断が可能になるという非常に大きなメリットが存在します。
シェアオフィス利用で節約したお金は留保ではなく投資する
ここまで述べてきたように、機器や備品などの購入がサービスに利用というものは実際にそれらが必要かどうかの判断期間が長ければ長いほど正確に判断が出来ることになり、この節約が成功すればそれはそれで起業の成功に一歩近づく要素にはなるかもしれません。
「なるかもしれない」と申し上げた理由は、事業展開上においてコストをカットすることはとても重要な要素ではありますが、売上を伸ばしていく領域とは一線が引かれていることが多々ありますし、もっと面倒なケースというのはコストカットが過ぎると生産性を低下させるようなこともあるからに他なりません。
もちろんここでは生産性を低下させるようなコストカットの話をしているわけではありませんが、そのような違いについても理解するためには一定以上の経営感覚が必要になるのは間違いないでしょう。
この経営感覚という言葉が意味することは多岐にわかるかもしれませんが、簡単に言ってしまえば攻めの姿勢と守りの姿勢と表現出来るかもしれません。
数値化こそ出来ないにしてもこのような攻撃力と防御力は起業したばかりの人の場合は、あまり高い数値ではないケースが多いと思います。そしてシェアオフィスを利用するということは、どちらかというと防御力をアップする要因になるかと思います。
シェアオフィスを利用して支出を抑えてはいるものの、営業にはいかずにデスクに座って延々とネットと向き合いながら情報収集ばかりとしていたら売上を上げることが一向に出来ない様に、防御力が高くても攻撃力が低くては勝負に勝つのは容易ではなくなります。
起業時における支出抑制に意識が向くようなバランスが整っているような人であれば、節約した部分をため込んで「もしもの為に備える」のではなく、節約した分は攻勢に転じて売上アップのための投資側へ意識を向かせるようにするのが、少しでも成功率を高めるためには必要となる姿勢かもしれません。
この記事の執筆者
久田敦史
株式会社ナレッジソサエティ 代表取締役
バーチャルオフィス・シェアオフィスを通して1人でも多くの方が起業・独立という夢を実現し、成功させるためのさまざまな支援をしていきたいと考えています。企業を経営していくことはつらい面もありますが、その先にある充実感は自分自身が経営をしていて実感します。その充実感を1人でも多くの方に味わっていただきたいと考えています。
2013年にジョインしたナレッジソサエティでは3年で通期の黒字化を達成。社内制度では週休4日制の正社員制度を導入するなどの常識にとらわれない経営を目指しています。一児のパパ。趣味は100キロウォーキングと下町の酒場めぐり。
【学歴】
筑波大学中退
ゴールデンゲート大学大学院卒業(Master of Accountancy)
【メディア掲載・セミナー登壇事例】
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