バーチャルオフィスに関連するサジェストキーワードには「バーチャルオフィス 違法」と頻繁に表示されます。これは、それだけバーチャルオフィスについてリサーチしている方が、「バーチャルオフィスは違法なビジネスなのではないか?」、「バーチャルオフィスを利用することは合法ではないのではないか?」という心配・疑念を持っている表れだと思われます。
この記事ではバーチャルオフィスに違法性があるのか?について解説したいと思います。
目次
バーチャルオフィスで法人登記をすることは違法ではない
まず最初にバーチャルオフィスを利用して法人登記をすることは違法ではありません。実際当社がバーチャルオフィスを運営してきた中で、当社または当社サービスを利用した人が違法性を指摘されたり、違法として処罰されたことはありませんので、安心してご利用していただければと思います。
バーチャルオフィスが違法という人は何が違法と言っているのか?
バーチャルオフィスが違法であるという具体的な主張については、ネット上でほとんど見かけることがありません。ごく少数ですが違法と主張している論もあります。そのひとつをご紹介したいと思います。
「会社法第27条3号にて会社の成立・存続に際して「本店所在地」を定めることが求められていますが、この「本店所在地」は営業実態がない住所を使ってはならず、営業実態がない住所を使った場合は公正証書原本不実記載等罪(刑法第157条1項)が適用される。」
というものです。
この主張がそもそも正しいのかについては後述させていただきますが、仮に正しいとした場合の当社の見解を述べさせていただきます。
法人登記は手続き的にはどんな場所でも登記ができてしまいます。例えば住所があれば建物が立っていない草原などに法人登記することが可能です。しかしそれでは郵便物を送ろうにも送れませんし、そもそも尋ねた人がその会社にリーチすることが全くできません。そういった場合においては、全く実態がありませんので公正証書原本不実記載等罪が適用される可能性はあるかもしれません。
ではバーチャルオフィスを利用した場合、営業実態がないと言えるのでしょうか?当社の見解としては、バーチャルオフィスを利用していても営業実態はあると考えています。
なぜなら、下記のようなことが可能だからです。
①届いた郵便物が利用者に送られる
②必要に応じて会議室が利用できる
③来館すれば契約者につながる来館者用連絡端末から利用者にコンタクトがとれる
④利用者宛に届け物等があればスタッフが預かることができる
以上の点から仮に営業実態のないところに本店所在地を置くことが違法だったとしても、バーチャルオフィス(少なくとも当社のバーチャルオフィス)を利用することは何ら問題ないと言えます。
本店所在地について営業実態の有無は求められていない
今までは、ある方の主張に対しての見解を述べさせていただきましたが、そもそも本店所在地について営業実態の有無は求められていません。(当社顧問弁護士に確認済み)
上記で述べたこととも関連しますが、逆にバーチャルオフィスを利用せずに、賃貸オフィスを単独で構えたとしても下記のような場合、実態があると言えるでしょうか?
①常に出払っていて誰もいないので、その法人の人と会えない
②オフィスに誰もいないから電話に出ない
③オフィスに誰もいないから宅配便や書留を受け取ってもらえない
④オフィスに行かないから郵便物は郵便受けに溜まっている
⑤社名の掲示がないので他人からはそこに法人があるかわからない
これでは営業実態があるとは言いにくいのではないでしょうか?
しかしながら、こういう状態のオフィスでも本店所在地として登記をすることは問題ありません。もし問題があって違法となるようでしたら、多くの法人が違法になっているのではないでしょうか?極端な例では、全く仕事に使用していない代表者の自宅に登記することさえ違法になってしまいますが、それが違法として処罰されたという話は聞いたことがありません。
よってバーチャルオフィスの住所に法人登記をすると言うことは何ら問題がないのです。
特定商取引法に基づく表記にも使用可能
また、かつては「特定商取引法に基づく表記」についてバーチャルオフィスの住所を使用することはできないとされていましたが、「特定商取引に関する法律・解説(平成28年版)」において実態があればバーチャルオフィス等の住所を使用できるように解釈が変更されました。
「住所」については、法人にあっては、現に活動している住所(通常は登記簿上の住所と同じと思われる)を、個人事業者にあっては、現に活動している住所をそれぞれ正確に記述する必要がある。いわゆるレンタルオフィスやバーチャルオフィスであっても、現に活動している住所といえる限り、法の要請を満たすと考えられる。また、「電話番号」については、確実に連絡が取れる番号を記載することを要する。発信専用の番号で消費者側から架電しても一切つながらない等のような場合は、確実に連絡が取れる番号とはいえない。
(引用)
消費者庁・特定商取引法ガイド
特定商取引に関する法律・解説(平成28年版)
第2章 訪問販売、通信販売及び電話勧誘販売 → 第3節 通信販売
83ページ参照
上記のように現地に行ったらコンタクトが取れる、郵便物が届く等のしっかりと連絡手段が確保されていればバーチャルオフィスも特定商取引法に基づく表記にも使用することができます。
違法というより怪しい
「バーチャルオフィス 違法」といったサジェストキーワードが表示される理由としては、「バーチャルオフィスは怪しいけど違法なんじゃないの?」というバーチャルオフィスに対する怪しさを感じて検索されている方も多いかと思います。
実際のところ、しっかりとした審査体制を持っておらず犯罪目的での不正利用や公序良俗に反するようなビジネスができてしまうバーチャルオフィスもあり、「バーチャルオフィス=怪しい」といったイメージを作り出してしまっているところもあります。
また、本店所在地に行っても誰もいないし、コンタクトを取ろうにも手段がないというバーチャルオフィスもあったりします。
しかしそれは個々のバーチャルオフィスの問題であり、バーチャルオフィスそのものが怪しいというわけではありません。そのためにも信頼性が高いバーチャルオフィスを選ぶ必要があります。
信頼性が高いバーチャルオフィスとは?
では信頼性が高いバーチャルオフィスとは一体どういったものでしょうか?
住所で検索しておかしな会社・怪しい情報が出てこない
まず大切なことは、借りられる住所を事前に検索しておかしな会社が出てこないかを確認してください。
「使用できる住所+犯罪」
「使用できる住所+詐欺」
「使用できる住所+ギャンブル」
といったキーワードで検索しておかしな会社がヒットするような場合は避けておいた方がよいでしょう。
入会審査を行っている
おかしな会社・怪しい情報が出回らないためにも、入会に対してしっかりとした審査を行い、信頼できない利用者は入会を断る可能性もあるバーチャルオフィスは信頼性が高いと言えるでしょう。
信頼度の高いバーチャルオフィスに法人登記すれば安心
以上、バーチャルオフィスを利用することは違法なのかという点についてみてきましたが、バーチャルオフィスを利用することは違法ではありません。しかし、バーチャルオフィスの選択については慎重に行っていただく必要がありますので注意をしてください。
この記事の執筆者
久田敦史
株式会社ナレッジソサエティ 代表取締役
バーチャルオフィス・シェアオフィスを通して1人でも多くの方が起業・独立という夢を実現し、成功させるためのさまざまな支援をしていきたいと考えています。企業を経営していくことはつらい面もありますが、その先にある充実感は自分自身が経営をしていて実感します。その充実感を1人でも多くの方に味わっていただきたいと考えています。
2013年にジョインしたナレッジソサエティでは3年で通期の黒字化を達成。社内制度では週休4日制の正社員制度を導入するなどの常識にとらわれない経営を目指しています。一児のパパ。趣味は100キロウォーキングと下町の酒場めぐり。
【学歴】
筑波大学中退
ゴールデンゲート大学大学院卒業(Master of Accountancy)
【メディア掲載・セミナー登壇事例】
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